筋肉は裏切らない
筋トレが好きだ。最近はサボり気味なので、肉が重力に負けそうになっているが、少し鍛えればすぐ復活する。
他のエッセイにも書いたことがあるが、私は筋肉と骨を愛するあまり、アイドルのポスターのように筋骨格図を机の前に貼って、日夜各部位の筋肉を鍛えていた。
ある日、彼氏とおうちデートをしようと出かけた。自転車で彼の家まで走っていると、向かい側から自転車でやってきた若い男が、すれ違いざまに私の胸筋を一瞬鷲掴みして去って行った。
おっと。
秒でスルーと泣き寝入りは別モノである。すぐさま方向転換して、立ちこぎで後を追う。鍛えた太腿の筋肉に乳酸が溜まるのを感じながら、自転車の男を追い越して道を塞ぐ。
追いかけてくると思わなかったのか、怯えた顔をした男の自転車を足で蹴り倒した。
彼氏にはちょっとお聞かせできない罵詈雑言を添えて♡
当時握力40㎏以上だった私が、力いっぱい男の胸倉を掴んだら服が破れた。でも痴漢に素手で触るのは嫌だったので仕方ない。男の自転車の後輪が事故にでもあったかのようにひしゃげたが、知ったことではない。
過剰防衛?知らん。(良い子は真似してはいけません)
泣いて謝る男を許す気にはならず、交番に引き摺って行こうとしたが、隙を見て逃げられた。
くそう。
私は渋々自転車を起こし、警察に届け、彼氏の家まで走った。事情を話して「こわかったぁぁ」と泣きついたが、多分怖かったのは痴漢の方だ。乙女の怒りを思い知るがいい。でも彼氏には痴漢をボコボコにしたことは内緒。(言ってるよ)
そのことも後で小説にした。素晴らしきかな、筋肉。
つづく
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