第58話 タマ城攻略戦 最後の煙

 ガランとした城の中を、城主だけが使える通路を辿って裏側に出た。


「まったく、愚かなことだ」


 キッシーの口からポロッと出てしまった言葉は、ため息に紛れていた。


「ん? 何か言ったか?」

「いえ。お館様、急ぎましょう。まもなく混乱が始まる頃合いですから」

「うむ。キッシーよ、守護将たるお前が頼みだぞ。しっかりと頼む」

「はっ」


 ハイワット家騎士団副騎士団長は、つい先ほど領主の謁見室にて「守護将」という名誉ある称号を直々に授かったばかりだ。


 ただし、キッシーの知識の中に、そのような役職は存在してないだけのこと。


 お館様とダッキ様から「ハイワット家始まって以来、唯一、ただ一人に授けられた名誉ある称号だ」と褒めそやされたが、釈然としない。


『ってことは、今回、でっち上げた称号じゃね?』


 確かにもらった「名誉メダル」は見たことがないものであるのは確かだ。古色蒼然としたメダルが由緒ありげなのも不思議だった。これでは「宝物倉からそれっぽいモノを持ち出した」としか思えない。


 しかし、頭に浮かんだ疑惑を言葉にしない程度に礼儀正しさは身につけている。たとえ「守護将」なるものに全く意味がないとしても、騎士団にいるモノとして、任務を放り出すわけがない。


『まあ、ヒカンほどの熱意は見せらんねーけどな』


 忠義に熱く、命がけでハイワット家に尽くすことを本気で信じていたヒカンと違って、どちらかと言えばキッシーは醒めている。親友が忠誠心に燃える分だけ、自分が中立的でいられるようにと意識してきたからかもしれない。


 その忠誠心溢れるヒカンは、この後で絶望的な突撃の先頭に立つことは前提となっていた。


 一方、キッシーは当主からの命令で「裏から逃げる」メンバーの一員である。


「質問をしてもよろしいでしょうか?」


 歩きながら言葉に出すと、上機嫌のダッキは「許しましょう」と応じた。


「裏から逃げることをヒカンは知っておりますか?」

「この件を知っているのは、ここにいる者だけです」


 サラリと言った。


 当主とダッキ、実の子どもである次男と三女、そして長年側仕えをしてきたメイドが1名。あとは、キッシーが「最も口の硬い、信頼できる部下を極秘で10人連れてこい」と言われて手配した騎士団員だけだった。


 騎士団員は「城内巡察」としか言われてなかったため、平民に扮し、あまつさえ姫君が少年の姿をしていたので目を丸くした。


 そこで初めて「当主が城から落ちる」という目的を聞かされたのである。


 今いるのは、城の大手門とはちょうど反対側になる裏の建物の一番奥だ。女たちを全員尾根道へと送り出し、そこに続く総攻撃に備えて、事実上、全員が配置についている。


 バックヤード的な場所である裏手からは見事に人がいなくなっていた。


「万が一、人がいたら敵前逃亡とみなして、全てその場で切れ」


 ダッキからの最優先命令を受けて、騎士達は人がいないことを祈りつつ、ここまでたどり着いたのである。


 念の入ったことに「後顧の憂いを断ち切るために」と称して、裏手の建物には手前側から火を掛けてもいるから、潜んでいた者がいても外に飛び出してくるはずだ。


 思った以上に忠誠心が溢れているのか、それともそれ以外の理由なのか。裏手に隠れているような不忠者は一人もいなかったのは幸いであった。


「火を付けた一角の倉庫で何をするのか?」


 あと一時間と経たずに火が回ってくる建物だ。しかも城の裏は単なる崖。


 ここに来て何の意味があるのかと誰もが思う。


 ここからの脱出など不可能だと。


 しかし口の硬さも相まって、疑問は目に浮かんだだけである。


 倉庫のカギを開けさせたセンは、素早く皆に中へ入ることを命じてから初めて説明した。


「ここは代々の当主が嫡男だけに伝える場所だ」


 騎士達は無言でどよめいた。


 当主のこのセリフでピーンとこないほど鈍くては、騎士など務めていられない。


「秘密の脱出口がここに!」


 どんな城にも噂はあるが、実は絶対にないと言われる伝説の存在だ。


 しかし、崖に囲まれたこの城に脱出口など本当に存在するのだろうか?


「その祭壇をどかせ」


 古い祭壇にホコリが積もっている。あちこちの塗装がはげ、相当に古いものだとわかる。


 ものがモノだけに、簡単に捨てられないから、こういう場所に置き忘れられることは珍しくない。


 騎士が二人がかりでホコリだらけの祭壇をずらす。普通の壁と床だ。


「そこの壁を蹴り破れ。開くようになっている」


 センが命じた。


 瞬時に騎士の蹴りが入って壁が破壊された。なるほど、ここだけ心材が入ってない。見かけは普通だが、その気になれば蹴り破れるシカケだ。


「穴が」


 狭い穴が空いた。隣の小屋に入れるようになっている。


「ここは一番奥ですよね?」


 事実上、裏手の建物群の行き止まりとなっているはずだ。


『確か、ここは古い風車小屋になっていたのでは?』


 キッシーは思いだしていた。自分が騎士として承認された頃には、すでに朽ちた風車の残骸が屋根に残るだけの小屋だったことを。


「入り口は封鎖されておりましたね」


 騎士団員として当然ながら、キッシーは城の裏手にある一連の建物群も全て調べたことがある。


 ここだけは入り口が封鎖されていた。辛うじて、小さなすき間から覗けば、古い、古い、しかも実用に耐えないほどに小さな、風力で動く臼が置かれているのが見えたのを覚えている。長らく使われていない建物を、いつしか忘れていた。


「ご先祖様は偉大だ。風車で動く臼がある以上、縄も置いてあって不思議はない」


 センが一人ごちたあと天井にグルリと巻き付けられている長いロープを指さした。


「この縄を、これに取り付けよ」。


 臼を動かす仕掛けに見えたが、それはロープを巻き取るシカケが擬装されたモノだったらしい。


 小さな臼を動かす仕組みにしては骨組みが頑丈なわけだ。


 ロープを手にして驚いた。

 

「ずいぶんと軽い。それに、数世代は放置されていたはずなのに痛んでない」


 頑丈そうで、それでいてヒドく軽いロープに驚くキッシーをみて、領主は「ご先祖様の知恵だ」と自慢げに声を出した。


 えっと振り向くと、巻き付けられていくロープを指さしながらセンが説明する。


「言い伝えによれば、これは人毛を編み込んで作られたそうだ。私も初めて見たが、なるほど。いろいろな色が混ざっているな」


 毛髪は、同じ太さの鋼鉄と同等の引っ張り強度を持つ。ロープの材料としては最高であるのは確かなこと。しかし「量」の確保をするには、膨大な数の人間が長い時をかけて十分に髪を伸ばす必要があるはずだ。


『確かに、長期間のメンテナンスが必要なくて、人を吊り下げる十分な強度を持つロープの素材として理屈上は最高なんだろうけどよ。その髪を提供した人間達って、その後どうなったんだよ?』


 おぞましい背景をキッシーは想像しまいとした。


 しかし、騎士達が内面でどう思っていようと、その手はテキパキと動いている。


 長い長いロープを巻取機に取り付けていくのを横目に、センがさらに命じた。


「この臼を取り除け。下に穴があるはずだ」


 センも実際に自分の目で小屋の中を見るのは初めてだけに、自信はありげに見えても実際には、全てが「はず」なのである。


 しかし公爵家の最大の秘密は正しかった。


 この小屋の臼のある位置は、崖から突き出していたのだ。


 臼を蹴り飛ばして動かせば、直下に見えるのは遙か下の山肌である。


 しかも、この部分は下からえぐれたカタチの崖。いわゆる「オーバーハング」となっている。どんな超人を連れてきても、ここから登ることは不可能であった。


 仮に敵が城の背後から登ることを考えても「ここから登る」ことだけは考えない場所となるはずだ。しかし「登れないこと」と「降りること」とは全く別の話だった。


 なるほど、ここにあるロープで吊り下げて降りるのなら、えぐれた崖はむしろ有利に働くだろう。


「下は、城正面の尾根とは別の山から続いておる。回り込むには相当な大回りが必要なんだぞ」


 センは自慢げに周囲に言った。


 下に降りることができれば、尾根の反対側に出たことになる。もしも城から逃げたことがバレても、追いかけてくるには隔てる谷を回り込む必要があった。


 険しい山々の道なき道を大回りするには、相当な時間をかけねばならないというよりも、普通の人間には歩いてくることすら不可能だろう。


 実は、この位置関係こそが「孤独峰」の崖に、この城を作った決め手であった。


 城に突入した敵が気付いて、どれほど強行軍で追いかけてこようとも、降りる仕掛けに気付かなければ、すぐには追ってこられない。高さがあるだけに、普通のロープでは下りることも不可能だろう。


 深い山の中を歩いて谷を越え、再び稜線上に出る必要がある。控えめに見ても山になれた猟師のような人間が一週間は丸々余計にかかる計算となるはずだ。


「では、先に三人降りよ。下を確保したら順番に我らも降りることとする」


 高さが相当であることは事実だが、ロープで釣り下ろすだけなら誰でも降りられる。しかも、穴の上に組まれた軸組のシカケのお陰で、滑車と歯車の仕組みで、ゆっくり安全に下ろすことができるようになっていた。


 その時、微妙な空気が伝わってきた。


『この気配は…… 始まったか』


 遠くで、ざわめきが大きくなったのだ。


 どうやら女たちが歩き始めたのだろう。


 ダッキは「ふふふ」と笑って見せた。こういう時に、得意になって喋らねば気が済まない性格である。


「血の継承? 身分の低い母親の子どもを生き延びさせて何の意味がありましょう。それに、大方、捕まるに決まっておろうに」


 クッ、クッ、クッ


 実に楽しそうに笑うダッキだ。


「え?」

 

 無礼だとか、何だとかを考える前にキッシーは思わず声を出してしまった。


『親友であるヒカンが、血涙を流して命じた作戦なのに捕まるに決まっている?』


 キッシーの疑問の顔を見て、ダッキは得意顔だ。


「こちらを囲んでいた賊どもは手に入れた女たちを相手に欲望を満たして夢中になるかも知れぬ。その時は逃げられるかもしれぬな」


 無理だ、と顔に書いてあるが、ダッキは、その後をこそ喋りたがったのだ。


「体力のない未熟な子達じゃの。どれほど逃げられると思うのだえ? すぐに捕まるに決まっておる。誰か一人が捕まれば他にもいるだろうと探し回ることになるであろう」

「ということは、お子達は囮になったということで?」

「逃げられれば、それはそれで良い。母親どもは賊どもにたっぷりと可愛がられて、思い知っておるだろうからなぁ」


 鷹揚に頷いて見せるダッキは、冷酷な笑みを浮かべた。


「まさかと思いますが、エレーヌ様を始め、側妃のみなさまが先頭になったのは?」


 エレーヌとは、最も後に迎えられた側妃だ。出自は子爵家と低いが美しさでは有名である。


 ダッキは冷酷な笑みを浮かべるのみ。


 キッシーは理解してしまった。


『このメギツネは、始めから仕組んでやがった。逃がすつもりなんかこれっぽちも考えてない。ただ、ライバルを裸に剥いて男達に投げだすことしか考えてねーじゃねーか。自分のライバルだった女達に最悪の仕返しかよ!』

 

 キッシーは怒りを感じるはずだった。しかし、あまりの冷酷であくどい計算をするダッキに対して恐れと深い嫌悪を感じてしまったのである。


 しかし、哀しき騎士団員の習性が、心の悲鳴とは別として、実に能率的に主達一行を逃がす作業を続けていたのである。



・・・・・・・・・・・


 大広間。


 誰とも喋ることなく、温かいスープでやっと人心地が付いた時だった。


 スッと近寄ってきた男達の気配。両サイドを挟まれた。


「エレーヌ様ですね」


 片方の男が慇懃に尋ねてきた。いや、尋ねたというよりも、断定である。


「ち、違います。わたしは、はしための」

「ご同行願います」

 

 有無を言わせない行動だ。乱暴さは一切感じないが、それでも抵抗も否定も、すべてをムダだと思わせる断固たる動き。


 それにしてもなぜバレてしまったのか。誰かに「売られた」のだろうか?


 連れ出される中、ふっと壇上を見ると少女がいた。見覚えがある。


『誰だったかしら? 見た覚えはあるのに』


 少女は側に控える男に耳打ちをしていた。耳打ちされた男は、後ろに並ぶ男達に何事かを伝えている。


 どうやら、あの少女がこちらを見破ったのだろう。


『パーティーで会ったことがあるかも知れないけど。名前なんて思い出せないわ』


 恐らく挨拶はしたことがある誰か、その程度だ。もちろん、子爵家の娘として教育され、公爵の側妃でもあったエレーヌだけに、人の名前を覚えるのは得意な方だ。

 

 それなのに思い出せなかった。


 だが、その少女が誰であるのかどうでも良いことだろうと思い直した。「叛乱した公爵家の側妃」と分かってしまった以上、運命は決まってしまったのだから。


 その日、逃げ出してきたはずの側妃、愛妾、そして4人の子どもたちにいたるまで、全員が集められたのが現実であった。


 せめて、子どもだけでもと思ったが、叛乱を起こした家の一族に待つ運命など、わかりきっていることだった。


『なんとかして、泣きつける相手を見つけなければ』


 どれほどムダであったとしても、我が身はともかく子どもの命を諦めることなど「母」にはできなかったのである。



・・・・・・・・・・・


 その日の夜「家族」水入らずの部屋である。


「お疲れ様でした。お見事なご活躍でした。私など足下にも及ばない才能ね」

「真心を尽くしていたからこそ、今日のご活躍があったのですね。素晴らしいわ」


 この日、大広間で並んだ女性達を見つめて、側妃達を浮き上がらせたのはシャオの「対人記憶能力」によるものだ。 一度でも見かけた人間の顔と名前は全て記憶しているという才能は、貴族の中でもとびきりの能力である。


 しかし、迦楼羅隊の面々とサラッと進めてしまったため、この事実は誰にも知られてないまま進んだのであった。


 大声で誉められはしなかったが、個人として最大の働きであったと言っても良い。


 その分だけ、正妃の二人がシャオの見事な働きに一ミリの嫉妬も見せず、まるで「妹の活躍だ」とでも言うように心から誉め称えてくれた。


「お陰で助かった。ありがとう、シャオ!」


 ギュッと抱きしめてくれるショウ様の胸は、とても温かかった。

 この人を愛せて良かったと、心から嬉しくなるシャオであった。


・・・・・・・・・・・



 何だかんだと2時間もかけて全員が降りてきた。


 最初は良いが、ロープを巻き上げる人間がいなくなれば、後は自力で降りる必要があったため、 時間を要したのである。


 落下こそしなかったが、自力で降りてきた騎士達は、握力を失うほどの難事であったのは確かだ。


 最後の一人が降りてきたころ「上」では小屋に火が回った。


「よし、これで、証拠は消えた。あとはゆっくりと「お館様、お下がりを」なに?」


 気付けば、下の茂みの間から続々と男達が出てきたのである。


 騎士達は抜刀したが、軽く見ても敵は50人以上いる。しかも、全員の動きに一切の隙が無い。


 ヤリを装備していた。


 山歩きをしてきたにしても、軽鎧を着けており、戦いを前提としての装備であるのは一目瞭然である。


 自分達を取り囲む大人数。装備も上、武術もおそらく全員が自分以上。


 キッシーは、死を覚悟した。これでは「先にお逃げください」も通用しない。 


「なんとかせよ!」

「キッシー!」


 当主とダッキの言葉が飛ぶが、なんともならない。どれほどの覚悟で戦っても、一方的な結果になることは目に見えていた。


「お前達。話ができるなら乗らんか? 褒美は弾むと思うぜ」


 せめてもの一手は、敵が山賊であること頼み。しかし、相手は明らかに「プロ」であることはハッキリしている。


 ダメ元の交渉であった。


 一際大きい男が前に出てきた。


「サスティナブル帝国ゴールズが迦楼羅隊ムスフスである。ハイワット家ご当主一行と見受けいたす。ことは決したのだ。剣を置き大人しくご同道いただこう」

   

 無理だ。敵わない。


「な、なんだと! たかだか賊軍の分際で! ガバイヤ王国公爵に剣を向けるとするか! 無礼者め! キッシー、何をやっている。撃ち果たせ!」


 瞬間的に出たのは、ため息である。


 次に出たのは配下への命令だった。


「全員、剣を置け。抵抗するな」

 

 自身も剣を投げ捨てた後「無抵抗の人間を皆殺しにするような真似はしないよな?」と苦笑いをしてみせたのは、せめてもの抵抗だったのかもしれない。


「それにしても、よくわかったな。オレですら、ここのことは初めて知ったのに」

「あぁ、オレ達もどこから降りてくるのかは分からなかったよ。ただ、我らが皇帝陛下が、最も時間のかかかる位置に回り込めと仰ったのでね。さんざん探したが、時間的には余裕だったな。待ちくたびれたぞ」

「まさか、予測したとでも?」

「裏から逃げるなら、ここしかないってことがわかるのに丸一日かかったな。まあ、十分に余裕を持って来てたんでね。後はじっと待つだけだったぞ」


『この深い山の中で、こんなに大人数が潜伏していただと? しかも、口ぶりではとっくの昔に「裏から逃げる」が読まれていたことになるぞ』


 ゾッとした。


 そんなに先読みをする相手に勝てるわけがない。


『ガバイヤ王国は始めから負けが決まっていたんじゃん』


 はぁ~とため息をつきつつ、座り込んでしまう。あちらではダッキと当主が暴れているのを押さえつけられていた。


 もはや、終わりである。


「ん? あれは?」


 一人の男が、さらに山肌を上がっていき、屈み込んで何かを始めたのを見とがめたのだ。


 いっそふてぶてしく、相手の隊長らしい男……ムスフス……に話しかけると、褐色の顔にニカッと白い歯が見えた。


 あまりにも清々しい笑顔で、敵の隊長ムスフスは答えた。


「あれは、この戦いの最後だって合図さ」


 早くも日は傾き始めた青空に、二筋の赤い煙が立ち上っている。


 赤い煙が立ち上ったのは、確かにガバイヤ王国の組織的な抵抗が終わった時を告げる狼煙となったのであった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

作者より

 ムスフス君を派遣したのはこのためでした。さすが「特殊作戦群レンジャー」のみなさんですね。山越えの領主捕獲作戦を見事に実施しました。(レンジャーと習志野は違うで! と言うのはお許しください)

 タマ城の「戦後処理」は、この後に出てきます。

 ところで「城の秘密の抜け穴」というのは、必ずウワサになりますが、現実に存在した例がありません。伝説はすごく多いのですが、後から発見できた例がないんです。代わりに山城とか、全周を囲むのが不可能なほどに規模の大きい城……だと裏道みたいなモノがあったという説もあります。日本最大の江戸城も、秘密の抜け穴と言われる伝説は存在しましたが、実際問題として、あの「堀」のさらに下を掘ることは不可能だったでしょうね。ただし、秘密の隠れ場所を作った例は特に西洋のお城には多いです。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 



  

  




 

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