第39話 冷たい計算

 いったん、総攻撃を終了した。あとは城兵への嫌がらせ的に散発的な弓と、外堀の埋め立て作業とを行うだけに絞る。


 兵のムダな損耗を押さえることを第一としているので、ここから大きな動きはないだろう。


 初日の攻撃は、城の様子を確かめるのが目的だ。昼までの攻撃で一通りは分かったと思えた以上、無理やりな攻撃は意味がない。


 徴兵を中心とした予備兵達によって、陣地のテントも張られている。夕食の準備も始まっていた。


 この辺りの「仕事分担」はコーエンの領分だが、予定通りにいきそうで満足ししていた。


 司令部テントにサルードが入って来た。


「少々、厄介な城だぞ」


 開口一番、そう言ってから「かなり硬いな」と付け加えてきた。


「そうか? ここから見ると、思った以上に守備兵は少なく感じたが」

「そうだな。遮二無二突っ込めば3日で落ちるかもしれない」


 城は動かない。


 突き詰めて言えば、一点集中突破をすればすむ。攻撃点を絞って守備兵の数十倍の人間を投入し続ける。それこそ、やられた人間を踏み台にするくらいに犠牲を考えなければ、突破できない城などないのだ。


 しかし、そんな無能なやり方を良しとしないだけの才覚は持っていた。


「とりあえず、わかったことを報告しよう」


 前線指揮をとったサルードの分析をどう使うのかが問題だ。


「作り自体はオーソドックスだな。山城とまではいかないが、元々の丘だった高低差を上手に利用してる。城を作った司令官はなかなかに優秀だぞ」


 敵を褒められるのは、ベテランの将軍だけはある。守城の将がカインザー家の長男で、まだ20代と言うことも調べてあった。


「丘とは言え、なだらかな部分は削り取って高低差はキツくしてある。外側には堀を巡らしてあるのも定石通り。それと堀の外側にはいくつも落とし穴があったぞ。この辺りは若さだな。悪質なことに削った竹が埋め込んである。見つけた穴は一通り埋めさせたが全周に掘ってあった。初戦で50人くらいは落ちたな。即死は10人だが、竹には何か塗ってあったらしくてな、今後どうなるのかは分からん」

「そこまで執拗なのか」


 コーエンは驚きつつも考える。


『竹に何を塗ってある? 毒の類いだろうか? いったいなんのために?』


 今ひとつ分からない。コーエンは首を捻った。


 落とし穴自体は珍しくはないが、底に手製の槍まで仕掛ける例は多くない。引っかかる確率とかける労力とを考えると、けっして割に合うシカケではないからだ。守城の将が真面目な性格なのか、それともバカなのか。


 しかしながら、これだけの城を作った人間が、単なるバカということはありえないのだ。


 恐ろしく手間が掛かったはずだ。しかし、城攻めで50人程度の損害というのは「6万の中の50人」でしかない。完全に許容範囲だ。味方の損害は少ない方が良いに決まっているが、損害を嫌いすぎれば城は落ちない。


 コーエンは敵の意図を掴みかねる顔だが、それでも相づちのようにサルードに言った。


「まあ、敵は手間暇を惜しまず、結果として我々に小さな損害を与えたというわけか」

「連中は本当に姑息だが、だぞ。片足を落とすような小さな落とし穴が無数に作られている。大した怪我もしないので効果はないが、兵士は嫌がっているな」


 サルードは「士気を下げたいということだろうが、我が軍にその程度は問題ない」と断言した。


「ふむ。それなら多少足下には注意しろと指示する程度で良いか?」

「まあ、わざわざ通達するほどでもないだろう。デカい落とし穴は今日だけでキッチリと対応できたしな」

「さすがだな。お前が前線に立ってくれると、城も最短で落とせそうだ」

「だが、安心するのは早いぞ。細かい細工が好きだということは、この先の壁にも何かが待っていると思うべきだ」

「あぁ、そうだな」

「堀の上に作られた防御壁はかなり硬い。まだ、そこに侵入してないが、これだけの城だ。おそらく3重程度にはなっているだろう。ただ、その壁に到達する前の方が問題だ。妙な鉄のヒモが張り巡らされている」

「鉄のヒモ?」

「堀を乗り越えるために橋を架けようにも、そいつが邪魔でな。切るのも簡単ではない上に、指間   ※ほどの距離でトゲが付いているのが厄介だ。大きな怪我をするものでもないが、兵が無視できるほど小さくもない。こいつが邪魔をするから、堀に橋を架けるのが難しいだろう」

「ふむ。それを最初に切らねばならないな」

「何カ所かは鈎をかけて引っ張らせてみた。だが、どうしてどうして。柱は埋め込んである上に、鉄でできたヒモが強い。わざとカールさせる形で弛ませてあるから、3頭引きでやっと一箇所切れるほどだ。柱がビクともしない上に、連鎖しないようにつないである。今後を考えると律儀に一箇所ずつ始末していくしかないだろう」


 もちろん、そういう作業を城兵が大人しく見守っているはずがない。


「時間が掛かりそうだな」

「あぁ。しかもそれを邪魔してくるのが上からの矢だ。ここからでも見えるだろう? あの柱だ。あそこに弓兵が乗っていて、狙ってきやがる」

「あの高さだと、こちら(の矢)は届かないってことか」


 細い、長い棒杭が点々と立っていた。


 二人は知らないが、それは現代日本の4階建てのビルに使われていた「H形鋼」と呼ばれる素材だ。単体で柱にすると、尻を地面に埋め込んだとしても20メートル以上の高さとなる。

 

 その天頂部に3人ばかり立てるスペースと矢を大量にため込んで「矢倉」にしているのだ。なお、張り出したところに滑車が取り付けられて、荷物や交代要員はエレベータのように登らせることができるようになっていた。


 風が吹けば多少は揺れるが、人間が3人プラスα程度の重さでは折れる可能性などほとんどない強度を持っている。


 上から狙いを付けて、矢を射かけてくる物騒な塔が外壁に沿って20メートル間隔で立ち並んでいた。


「あれだと、やられっぱなしになるな」


 両将軍は、顔を見合わせてシブい顔となる。


 鎧を着けていた場合、弓矢というものは平地同士で80メートル程度しか有効射程がない。まして、重力に逆らって20メートルも打ち上げる形だと、50メートル離れると鎧を貫通する力などなくなってしまう。


 一方で、打ち下ろしてくる場合は重力が味方する。つまりは「一方的にやられ放題」が成立してしまうのだ。


「柱自体に火矢をかけて燃やしてしまえば良くないか?」

「少しやってみたが、あれは全部が鉄だな。下に薪でもくべられるなら別だが、火矢は刺さらないし、かぶら矢を使っても傷が付いたかどうか」

「弩を使うか?」


 固定式の弓だ。三人がかりで引くだけに、普通の弓の3倍程度は射程がある。


「それも、もうやった。辛うじて届きはしたが、周りを囲んでいる防御板に簡単に弾かれてしまった。おそらく、あの板も鉄だな。オマケに、あっと言う間に狙われて、こっちをツブされた。高さの差はかなりヤバい」

「となると投石機カタパルトか」


 コーエンは「それだと、間に合うかどうか」と渋い顔。


 今回の最高指揮官は形式上コーエンだが、長く同格であった二人に上下の感覚はない。あるのは現場で見てきたサルードと全体像を見ているコーエンという「役割」の違いだけ。

 

 全体を見ている分だけ「投石機を作るだけの余裕がない」ということに頭がいってしまう。前線に立たない分だけ「この後」を考えていたし、攻城戦に付きものの大型兵器をどうしようかというのを考えるのは総司令官として普通のことだ。


「あぁ。作るべきだと思う」 


 肌で敵を感じてきたサルードはキッパリと断言した。


「だが、運用するとしても、どのみちなだらかな斜面に置くわけだからな。相当近づかないと届かないぞ? それに、この辺りに木が無いのも地味に痛いな」


 大型の攻城兵器の大半は、現地で調達した木を使って現場で作るものだ。それなのに、この辺りには手頃な木が少ない。おそらく敵が城を作るときにでも切り倒してしまったのだろう。


 オマケに砲弾として打ち込むのに適当なサイズの巨石を探すのも大変そうだ。


 だが、マイナスがあるにしても、サルードが態度を変えない以上、意見を尊重するべきだと思った。


「仕方ない。材料は早めに手配しよう。2~3日あれば調達できるはずだ。そこからこさえれば10日後には完成するだろう」

「いや、1台では無理だ。5台、いや、最低3台はないと厳しいぞ」


 「さすがに5台は」とコーエンはなだめに掛かる。


「5台も作ろうとしたら下手すりゃ2週間は掛かるぞ。そんなに待てないのはわかってるよな?」

「あぁ。持ってきている兵糧は1ヶ月分だったな。追加をもらうにしても、今の国内だと3ヶ月以上も掛かったら、逆にこちらが兵糧攻めをされるのと同じになる。だが、今から取りかからないと間に合わないかもしれない」


 サルードの見立ては「投石機がない限り、城攻めが膠着する」ということなのだろう。こうなってしまうと、前線で掴んできた感覚に反対する理由はない。


「それはわかっているが…… とにかく、投石機を作るのを諦めないにしても、なしでいけるように弱点を探るところも試してみてくれ」

「それはわかってる。落とし穴一つにしても手間暇をかけた城のようだ。まずは、3日かけて弱点を探してみよう」


 こうして、ベテランの将軍は、短期戦を諦めるしかないという点で合意ができたのである。


 間もなく夜。


 とりあえず、初日から夜戦を持ちこむ必要はないだろう。


 二人は「全軍、戦いをやめよ。野営の用意だ」と命じたのである。  


・・・・・・・・・・・



「初日は、上手くいきましたな」


 ドミンゴは、被害の集計と敵の損害予想を持ってきた。マトリックスの手法を学んだお陰で数字が掴みやすい。


「こちらの死者はゼロ、軽傷30で初日が終わったのは奇跡です」

「あちらさんも小手調べであったな。それに思った以上に『デカい落とし穴』に掛かってくれたのはラッキーだった」

「落とし穴の撃破は20~25。も塗ってありましたから、落ちた者は遠からず命を落とすでしょう。それよりもむしろ『画鋲作戦』か。あれは恐ろしい」


 ドミンゴは本気で身体を震わせた。


「あぁ。ショウ閣下は大人しそうな顔で、なかなかどうしてエグい所をお持ちだ。オレンジ領で、尊敬されつつも恐れられているというのが分かる気がするぞ」


 立ち寄ったときにサジェストされたのは「落とし穴」だった。それ自体は珍しくもなんともない。底に竹槍を埋め込んでおくのも手間は掛かるが、守城の技術が書かれた本で読んだことがある。


 しかし、示されたのは、それを「おとり」にすることだだった。


 狙いは、子どもだましのような小さな落とし穴。兵士達は親しみを込めて「とし穴」と呼んでいるらしい。


 それ自体は本当に簡単なものだ。深さも10センチほどで片足が落ちる程度の大きさだ。歩兵の持っているスコップで10分ほどもあれば掘れる。その底に15センチの鉄の杭を5センチほどの尖った先端を出して埋め込んで、ごく薄い板で覆ってから土をかける。ご丁寧に、その辺の雑草まで植えつけた場所もある。


 この程度だと落ちた者は「イテッ!」くらいのものだろう。戦いで気が立っている兵士にとって、小さな傷など「この程度で良かった」とかえってホッとするものだ。


 ショウ閣下は、これを「上履きの中に画鋲を入れたようなものさ。イジメの定番だよね」とわけの分からないことを言っていたが、正しく、これは「チクン!」と刺すだけが目的なのだ。


 なにしろ、傷ついたところに馬糞を中心にした泥が入りこむのだから。


 兵士の靴底は牛その他の獣皮をなめしたものだけに、足の裏に傷を作る程度の刺さり方をするだけなら簡単なこと。しかも、兵士自身だって戦の最中に小傷を一々大げさにすることなどない。


 ベテランとして戦場の兵士の気持ちを知っているドミンゴは「ちょっとひっかかちまったーい的に思っていると、そこから、が入り込む、ですか。なんと恐ろしい」と身震いした。


 なまじ、大仕掛けで手の込んだ落とし穴を目にしている。敵の指揮官はいち早く、それを徹底して対策し、埋める作業を進めていた。


 それだけに「こんな小さな落とし穴など、引っかかってしまった自分が恥ずかしい」と兵士は知らぬ振りをするのが普通のこと。それだけに、上官が把握するのは難しいし、まして、その対策を組織的にしようなどとは考えない。


「ま、1週間から10日後ですね。腐り病ならまだしも、震え ※だとしたら大半は死にますからな」


 ドミンゴの言葉を聞きつつ、テノールは作戦をサジェストしてきたときのショウ閣下の顔を思い出していた。


「画鋲というのは、絵を壁に止めるピンのようなものを言うらしい。閣下が『上履きには画鋲が付きものなんだよ!』と、怯えたようにも見える顔を再三なさっていたくらいだから、本当に怖い作戦ってことなんだろうな」

「そうですね。後のコトを考えると、怖いですね」


 ドミンゴは、集計しきれなかった「小とし穴」に引っかかった兵士は今日だけで700~1000だろうと考えていた。傷口から入った、病の小鬼が取り憑き暴れだせば、その者達は戦いに参加できなくなる上に、看病の手を必要としてくる。


「とりあえず、小とし穴は4千箇所は作りましたからな。引っかかり続けてくれる限り、数日後からは黙っていても戦線離脱者が増え続ける……といいんですが」


 前代未聞の作戦だけに、願望が混じるのは仕方ない。


 ところで、とドミンゴは報告を続けた。


「矢倉からの攻撃の集計は撃破数が少なくとも100。腕や足などに当たった者は400を越えているはずです」

「意外と少ないね」

「最初に取り付こうとしてきた部隊を撃退してからは、相当に警戒されています。そのため、鉄条網にたどり着いた兵に対して狙撃方式にしております」

「なるほど。あれを超えない限り堀を埋められないもんね。上出来。何とか堀を埋められるまで1ヶ月は頑張りたいね」

「今日のように散発的ならともかく、攻撃箇所を絞ってくるでしょうし、そうなるとなかなか……」

「そうだね。支城の方も、まだ手を付けてないみたいだし様子見か。敵が落ち着いているっていうのは、あまり嬉しいことじゃないけど。さて、明日はどうなるかな。あ、夕方の信号『我健在なり』の狼煙を上げておいてね」

「はい。ただちに、健在の狼煙を上げます」


 ドミンゴが敬礼して出て行った後で、司令官室に一人残ったテノールは、ふぅ~っと、心からの安堵のため息を吐いたのだ。


「さて、見た感じ予定よりも敵さんが多そうなんだけど、せめて半年は頑張らないとだなぁ」

「若様なら、きっとおできになりますから」


 完全に置物と化していたメイドが初めて口を開いたのだ。 


 カインザーの実家から連れてきた、テノールの幼いときからの専属メイド。貴族だけに「城に専用メイドを置くこと」は慣例になっている。この辺りは司令官としての特権を使うのをためらわないのだろう。


「ワインとちょっとしたものでも持ってきてくれ」

「ツマミではなく、きちんとしたお食事をお召し上がりになるべきかと存じます」

「ふふふ。相変わらずカタいなぁ。戦場で栄養なんて考えてられないよ」

「そういうわけには参りません。若様のご健康第一にする務めがございますので」

「そんなのは後で良いから、ニィルも一緒に飲もうよ」

「まだ、勤務中ですので」

「いーじゃん、ウチの人間なんて見てないんだしさ」

「若様には長生きをしていただき、やがて、お生まれになるお子様のお世話をさせていただくのが夢でございますから」

「でもさ、とりあえず、10年後よりも年を越せるかどうかなんだよ?」

「若様を信じておりますので問題ありません」

「また、それだ。そもそも、ここに来るのだって、ニィルが来る必要なんてなかったのに」

「若様のお世話をするメイドが一人だけ選ばれるなら、私しかおりませんから」


 そこで立ち上がったテノールは専属メイドをいきなり抱きしめる。


「バカだよ。こんなところまで来なくたって。年は越してみせるけど、その先がどこまであるか保証できないって、あれほど言ったのに……」

「若様の年越しのお世話を一人でさせていただけるなんて、専属メイドの本望でございますので」

「こら、ニィー? ちゃんと言えよ。二人きりなんだぞ」

「……」

「ニィー オレを寂しく死なせる気?」

「……」


 背中を撫でる手は優しい。そこからポツリと「ズルい」と小さな声。


「ズルいですよぉ、わかさ…… テノ君ってばズルいです。そんな言い方をしたら、そんなこと言われたら……」


 胸にピタリと顔を押しつけるニィルは「でも、絶対大丈夫。信じてますから。テノ君ならちゃんと大丈夫って」と、今度は自らの手を背中に回して抱きつく。


「我慢してたのに。ずっと、ずっと我慢してたのに」

「我慢するなって、あれほど言ったんだけどな。正直に言ってくれって何回言った?」

「あの…… テノ君が守るんだもの。私、ぜったいに、ぜったいに。大丈夫だと思ってます。でも、もしも敵が来て、本当に最後になったら私が絶対に守りますから。何があっても、私が命をかけて守りますから」

「大丈夫。守るのはオレの仕事だ。全力で君の命は守る。でも、言って欲しいのは、それじゃないって分かってるだろ。ニィー?」

「……」


 小さなアゴにクィッと片手を添えて見つめてくる目。


 ニィルは潤んだ瞳で見上げる。


「愛してるよ、ボクだけのニィー」


 あぁと、小さな声を上げてかぶりを振る。長い間、心に隠していた言葉を押さえられない。


「愛してます。愛してるの。テノール」

「よかった。君の気持ちが聞けた」

「もう~ メイドなんかに」

「メイドなんか、じゃないさ。子どもの時から、オレのことだけを考えてくれた優しい女の気持ちが聞けたんだ。嬉しいに決まってる」

「あの…… 愛してます。だから、最後の最後まで絶対に一緒にいますから」

「あぁ、きっとまで側にいてくれ。でもね、それは、こんな殺風景な場所じゃないぞ。オレ達の子どもに大勢取り囲まれて。一緒だぞ?」

「あぁ、テノール。もう~ おバカさんなんだからぁ。私、三つも年上よ?」

「年上の気立ての良い妻は、金の靴を履いてでも探せって言葉があるんだぞ。俺の場合は、探しに行かなくても、ここにいてくれた。なんてラッキーなんだろうね」


 むぅ~ とちょっと頬を膨らませてから、ニィルは「愛してる」と囁いた。やはり自分の気持ちは、誤魔化せないのだ。


 テノールは、幸せそうに「愛してる」と囁いて、唇を重ねたのだった。


 その夜、城への夜襲もなかったためか、司令官室のドアは閉ざされたままだった。




※指間:親指と人差し指を広げたくらいの距離。だいたい17センチ程度。

※震え病:今日の日本における破傷風のこと。嫌気性の菌で家畜の腸内や土の中に住んでいたりしますので、もしも馬房で怪我をしたり、土汚れのある怪我なら傷口の消毒をした上でワクチンを打つことをお勧めします。現代医学で治療しても一度発症してしまうと死亡率は20パーセント近くなり、重篤な後遺症もあり得ます。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

作者より

弓の射程は「届く」のと「有効射程」では大きく違います。鎧を着けた状態で効果を上げるなら100メートル以下になります。

投石機は「カタパルト」とも呼ばれ、城攻めの定番兵器です。いろいろな文献を読みましたが50~100キロ程度の石を200~400メートルは投げられたらしいです。つまり「大人一人分の重さの石をメジャーリーグの球場で場外ホームランができてしまう」という感じみたいです。

破壊力はデカいですけど、作るのは大変です。まして、100キロの大岩を遠くから持ってくるのも一苦労。

それと「画鋲作戦」の怪我ですが、我々と感覚が全く違っています。足の裏に釘が3センチ刺さったと考えてください。「チクッ」ではすまないです。ただ、戦場にいると、この程度の怪我は怪我のウチに入らないという感覚に過ぎません。

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