第44話 許可されちゃったよ
「うぅ、うらやましくなんか無いんだからね」
いや、マジで。
目の前では、フォルが幸せそうな顔でコクコクとオッパイに吸い付いてる。顔よりもでかいオッパイに取り憑いている図は、圧倒的な破壊力だ。
実は、自分の嫁にだけできる、しかも期間限定プレイってことで試してはみた。何を、とは聞かないでくれよ?
案外と難しいんだよね。意外と出て来ない。
「ふふふ。こればかりは、フォルの方がお上手ですよ」
「うぅ、娘に負けたか」
クスクスと笑って見せるバネッサの表情は慈愛に満ちた「母」の顔だ。オレが吸い付いたのも「母親として」許してくれたっぽい。当然、エッチな反応は皆無だった。
っていうかさ、あれほど柔らかかったオッパイにグッと芯が通るんだ。これだけ見ると別の物体だよね。
1回試させてもらったから、それ以後はしてない。フォルの幸せそうな顔を見ているだけで、こっちまでホンワカしてしまうから邪念の浮かぶ余地がないからね。
「ってことで、オレは10日ほど滞在しようと思うんだけど」
生まれたその日のうちに、ソラにお願いに行ったよ。
「いや『ってことで』がなんなのかは分かりませんけど、こっちの方はお任せください」
ワガママを承知で「休暇を取るから、この後をお願い」って頼んだら即座に引き受けてくれた。やっぱり優しくて良い人だよなぁ。この人が王立学園、最長停学期間の記録ホルダーだってのが信じられないくらいだ。
あ、なんか妙な縁だけど、東部方面騎士団だったエン君はその時の「被害者」だったらしい。そいつがウチの領の端っこに隠れていたのが見つかった。捕虜にした中隊長達から評判を聞いたら、苦笑いとともに全員が「聞かなかった」ことにしたがったんでジュツ家に強制送還しておいた。まあ、ホントは他の人達と一括で駐留拠点に帰らせて上げても良いんだけど、相当に怖かったらしくって「お家に帰る~」って泣いていたらしい。
彼にも使い道がどこかでできると良いんだけどなと思いつつも、捕虜のことなんていつまでも考えている余裕はない。
オレの代わりにって言っちゃぁなんだけど、王都への道行きにはネムリッサ先生を同行させて上げた。一応形式上は学園に戻るってことになる。当然、ずっとこっちにいた学園のみなさんも一緒に連れて行ってもらうことになる。もちろん、経費は全部ウチ持ちになる。将来の大事な人材だもん、逃さないよw
王都の方はへクストンに手を回させて、ソラ達に大きめのアパートメントを「借り上げ社宅」扱いだよ。ネムリッサ先生もウチに来る以上、学園の寮にいられないので、喜んでくれたよ。
こっちの世界では前例のないほどの厚遇らしいけど、オレの代わりに重大な「選抜」の仕事を任せたんだ。そのくらいは、してあげないとだよ。まあ、ソラ達も自分の部下を選ぶんだってことが分かってるだろから、オレ以上に真剣に選ぶはずだしね。
とにかく、一切合切お任せだ。なにしろオレは忙しいんだから。
だってさ、だってさ。
フォルを見ているだけで時間がドンドン経っていくんだもん。
時々、ニヘラと笑う表情になる瞬間も可愛いし、歯のない口でアクビまでしてみせる姿が愛らしい、オマケに抱っこすると、全面的に幸せオーラを出しまくって眠る姿は、オレの心を根こそぎ持って行く感じなんだよ。
そして、やっぱり一番可愛いのは、コクコクと
だから「母乳プレイ」は諦めた。だって、あの唇の使い方って赤ん坊は本能でできるけど、逆に「男」には難しいんだよね。
「う~ん、神から与えられしテクニックはさすがだ」
母上から聞いたんだけど、胸が大きいからたくさん出るってわけでもないらしくって、逆にホドホドの大きさでも赤ちゃんが必要なだけ出るらしい。
よくわからいけど、自然は偉大だ。
「ショウも、こんな時があったのよ。でも、あなたは飲むのが下手だったんだから」
いきなり横から、とんでもないすっぱ抜きが……
「まあ、ショウ様の赤ちゃんの時の話! 聞きたいです、お母様」
ニアの食いつきが凄い。
「え? 吸うのが下手? オレが?」
「そうよぉ。ふふふ。聞いたわよ。今でも吸うのは下手なんですって?」
うわああああああ! ばれてーら! 母乳プレイが、まさかの母バレとか。
「いーのよ。お館様も、同じ事をしてたから。でも、お館様はけっこう上手だったわよ。あなたが残すとぜんb「待って、待って、待って」」
父親の、そのあたりの話は聞いちゃいけないところだよ。
その時、トテトテとリーゼが膝に乗ってきた。
「おにぃちゃま」
「なんだい?」
「リーゼが赤ちゃんを生んだ時は、一杯吸っていいからね」
ぶほっ!
妹に気を遣われて…… しかも、絶対に使ってほしくない方向性で気を遣われるって。
「あ、おにぃ、出ないけど、今、吸ってみる?」
あどけない顔のリーゼから無邪気な爆弾発言。とっさに反応に困って「あ、えっと、そんなに年中吸ってないから」って妙な感じで答えてしまった。
「え? でも、バネッサねぇだけじゃなくて、前からニアねぇのとか、おねぇのを吸ってるんでしょ? おにぃは、おっぱい吸うのが好きみたいだからリーゼのも吸って良いよ?」
あどけない顔でコテンと首を傾けながらの爆弾発言。っていうか、クリスのはまだ吸ったことがないからね!
「ね? そうだよね? クリス、まだだよね!」
クリスは、目をイタズラにキラリンとさせた。あ、ヤバい、こういう時って、絶対に狙ってくるよね。
「え? 覚えていてくださらないなんて」
わざとショックな顔で崩れ落ちてみせる。
「く、クリス、ね、マジで誤解を生むから」
「誤解じゃ無くて…… あぁ、ね、もういっそ、今晩にでも復習なんていかがですか、お兄様」
「復習だなんて、良い心がけね。さすが私達の妹だわ」
ニアが言葉を挟んできた。
「じゃあ、後で私達でよーくお話ししましょうか」
と笑顔でクリスの手を取って、目がキラリン。
ね、マジでやめて。母上がニコニコしてるじゃん。
「ショウ?」
「はい、母上」
「クリスは、あなたのお陰でデビュタントをすませることができたわね」
「いえ。私のお陰だなんて「だから、構わないわよ」わっ、わっ、わっ」
母親から「妹に手を出して良いのよ」発言。
そりゃ、オレのフィアンセになるのは確定路線だけどさ、さすがに、みんなのいる前で堂々と言われても、どんな顔をすれば良いんだよ。
「そう言えば、ニアちゃん、もうお話ししたの?」
ニアが慌てて立ち上がると、カーテシーをしてから「ごめんなさい。まだなのです」と頭を下げた。
「ん? なんか大切な話?」
話題を変えられるなら、なんでもいいよ。ニアの話を聞いちゃおう。
「父から手紙が届いたんです」
ニアの嬉し恥ずかしそうな笑顔。
「?」
「正式に許可が出ました、というか、励むようにとのお言葉です。アマンダ王国の方も落ち着きそうなので、年内にも父が王都にご挨拶にうかがうとのことでした」
あ、やっとお
ん…… 待って。な~んか言葉が挟まってたぞ? 許可…… 挨拶…… その間にあった言葉。
『励むように?』
それって……
ニアが、ニッコリ。
そして、ちょっと肩をすくめてみせてからクリスと身体をくっつけた。
「はい。お義母様のお見立てでは、私ももう、大丈夫そうなんです」
「そうよぉ。ニアちゃんって細いけど身体の線がしっかりしていらっしゃるし、お尻の形も素晴らしいわ。今からなら、卒業式にはお腹も目立たないからね」
アウチ! まさかの子作り許可宣言! しかも「今なら」って。
「だから、クリスちゃんと私が今日からお願いしま~す。あ、ミィルに教えてもらいながらの方がイイかしら?」
真面目な顔で話を振るニアだ。
「申し訳ありません。まだ、フォル様のお世話がありますので」
一晩中、付きっきりになってくれてるミィルだけど、これは明らかに「気を遣って」のお返事だよね。
「ふふふ。フォルもお眠ですから。ショウ様も今日のところは、お早くお休みになってくださいね」
まるで、サッサと寝室に行きなさいとばかりに、バネッサからの援護射撃だ。
「でも、寝顔を見ているのも可愛いからさ」
「そうおっしゃって、もう3日目ですよ。嬉しいですけど、パパのお身体も大事ですからね」
「さ、パパ様? パパになる練習に参りましょうか」
ニアが強制的に腕を取ってくる。
「え、あ、えっと、えっと、きょ、今日は、あの!」
「さすがに、同時には恥ずかしいので、今日はクリスちゃんの番です。でも、お風呂は、ご一緒でも良い約束なので」
「リーゼもいっしょぉ!」
すかさずリーゼがしがみついてきた。
なんか、マジ、カオスっぽい状況になるのかと思ったら「リーゼは、さっきお風呂に入ったでしょ」と母上がキッパリ。
「もういちど、はぃるぅ~」
「リーゼとのお風呂は明後日よ。順番をちゃんと守るのは、旦那様を困らせないための、女としての義務ですからね。リーゼもちゃんと守れるわね?」
「はーい」
え? 母上、旦那様をって……
「クリスだけってことにしたら泣くわよ、この子。それも一生」
「デスヨネ-」
こうして、またひとり嫁が増えた、今日この頃。
カーマイン家の領館にシーツが翻ったのは翌日のことであった。
主な街々では、ワインとエールの在庫が空っぽになるまで、人々は楽しんだんだのだとか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
作者より
ニアに対して、まさかの子作り許可。なお、おっぱいの大きさと母乳の出方は、ほぼほぼ関係ないです。
ハーバル領のパール・タック=ニルベンガー子爵は、アマンダ王国で起きたことが「ゴールズのショウ」のお陰だと言うことは知っていました。けれども、それが「娘婿である伯爵家の息子」であるとは本気で結びつけていませんでした。それが本当であることを知って慌てて動いたわけです。 現在、王都に向かう準備中です。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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