第32話 野外演習 3
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
作者より
2月2日の近況ノートに、演習場の地図がございます。
位置関係と道筋が文章だとわかりにくいため
ご一覧されることをお勧めいたします。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
6月30日。殺人的な暑さが、ようやく和らぎ始めた夕刻である。
南軍、北軍は、それぞれが演習場の外にある陣地のそばの広場に着いた。一同は、与えられた水を飲み、学園の配慮で立てられたテントにサッサと潜りこんだ。
ここでの夕食が最後の配給である。食べたら、サッサと寝て明日に備えるという知恵を生徒達も持っている。
と言っても、幹部の戦いはもう始まっていた。
到着したらすぐに、学園側が昼に行った最終点検の結果を「将軍」あてに通達してきたからだ。
「異常なし。熊、イノシシについてもクリア。ただし、全ての道は、昨年のモノとは作り変えてあるので上級生は注意すること」
親切な注意書きまで付いていた。
これは、別に今年に限ったことではない。
全ての生徒が同じ条件で道に迷うように配慮され、毎年、道を作り変えてあるんだそうだ。ノーヘル副官に言わせると「去年、一番使いやすかった道は、たいてい行き止まりにされているそうです」という貴重な経験談。
ここまで来てドタバタしても仕方ないので、一般の生徒は寝てもらうけど、指揮官にとっての戦争とは「敵が見える前がお仕事です」だ。
ノーヘル副官と最終打ち合わせだ。
ここで初めて、作戦を明かしたら目をパチクリして、開口一番「それ大丈夫なんですか?」と心配されたよ。
根が真面目なんだよね~
「大丈夫。禁止事項は指令書には書いてあるけど、これがダメって一切書いて無いもん」
ダメって書いて無ければやって良い。指令書に忠実に、とはそういうことだよw
例えば、主な禁忌はこうなっている。
「演習期間中に外部の人間を入れてはならない。また差し入れを受け取ってはならない」
これは当然だよね。傭兵をありにしたらヤバいことになる。
「個人武装の持ち込みは禁止。演習場内では学園の用意したヤリまたは剣のどちらかとする。武器以外の私物に制限はつけない。ただし学園指定の
「道を作り変えるのは禁止。したがって新たな道を開削してはならない。ただし防御用の構築物は自作して良い。」
「明らかに割板以外を狙った、過度に危険な攻撃は禁止。特に騎馬による一体化突撃は禁止。」
最後の奴は、いわゆる「騎兵突撃」のこと。ヤリを構えたまま馬の力で当てていくと、刃引きをしてあろうと無かろうと人は死ぬ。騎兵の攻撃力の最高峰だからね。
さすがにそれを禁止行為にしたのは当然か。
それと、ちょっと変わったルールがこれ。
「維持できないと審判が見なした場合は「馬の死亡判定」を行う」
騎士であれば当然、馬を自分の一部のように大切にするものだけど、生徒は未熟だ。演習に熱中して馬の世話どころではなくなるケースがあるらしい。そうなると馬が可哀想なことになる。きちんと世話ができてない場合は「死亡判定」をして取り上げられてしまうってことだ。
縦に20キロあるんだ。馬が使えないと移動だけでも苦しいもんね。
夜中に陣地入り。南軍、北軍ともそれぞれ「裏口」からヒョイッと入れてもらうと、そこが陣地ってわけ。
つくづく、余計な情報を与えないように配慮されてるんだよね。
薄らと明るくなってきたのが朝4時。
2人の王子が抜けたのと、もともと2年生は退学者の4人分が減っていたので両軍併せて154名。
北軍の2年生からはノーヘル副官と、その友人達の6名が来て、南軍の1年生からミガッテ、オイジュ君達と、その取り巻きを合わせて8人が出た。
北軍76人
南軍78人
一見すると南軍が有利だけど、平民枠の一年生なんて戦力と見なされてないのと、アベレージで体格の違いがある。圧倒的に不利なのは変わらない。
お互いの「本陣」は規格が一緒。
オレ達がいる「陣地」用の広場は、テニスコート二つ分くらいの広さだ。広いと思うかも知れないけど、お馬さんが一緒だから狭く感じる。
ここに運動会で校長先生が座っているテントみたいなのが二張りあったよ。まあ、ご親切なことw
本陣の施設は、ただ、それだけ。でも、それは知らされていたから、本陣用の荷馬車にはブルーシートが積んであるよ。
まあ、ホントに積んだのは2枚だけ。荷物を下ろすドサクサに紛れて30枚ほどに増やしておいた。後はアルミの柱を立てて、コイツの四隅を「ビニール紐」で結びつければ日陰が作れる。荷馬車には空の段ボール箱(スーパーによく空き箱が置かれてたからね)を徹底的に積んであった。だって、四角いと一番容積効率が良いじゃん。箱の中に何が入っていたのかは、誰にも見せないよw
とにかく、演習の勝負は水と日陰だ。
王国の7月は、雨が極端に少ない。今日も殺人的な直射日光が待っている。
とりあえず、日陰で休めるようにしておくのは生命線。森に入る子達はともかくとして、残る子達の序盤は陣地構築がお仕事。だから、ここは「工事現場」だもんね。休み休み行くよ。
さもないと、戦う前に負けてしまうから。
最初からある「テント」は、四方をブルーシートでグルリと巻いて、ダミーのテーブルや椅子、小物を置いて本部っぽくした。折りたたみ式の軽い奴だ。その分の重量と体積を使って運んできたのはFRPの浴槽だった。
これが今回の生命線。開始と同時に、陣地の後ろに隠すことになってる。これは戦略研の子達にお願いしてある。
そして用意しておいた軍旗はテントの中で吊しておいた。これなら、用事で中に入ってきたら、パッと見える。
もうすぐ夜明け。ルールでは、のろしを見るまではこの広場からは出られない。
それまでの時間を利用して、外ではノーヘル副官が昨日決めた配置と作戦をみんなに伝達中。
オレはシートで囲まれた本部テントでカクナール先生と二人きりだ。美少女との二人きりなら嬉しいけどw
などと言っている場合でも無い。この部分が、すっごく大事だ。
オレが作業している背中にカクナール先生が話しかけてきた。
「本当に勝つつもりなのかね?」
「もちろんです」
審判役にカクナール先生を配置してくれたのは、学園の良心だったのかも。いや、面倒な仕事を押しつけられたのかな?
余計な仕事を押し付けられたとしたら先生には申し訳ないけど、真面目で優秀な先生だし、信頼できる先生が来てくれて良かったよ。
これで、安心して戦える。
「しかし、いくら君でも戦力差がありすぎるぞ」
「大丈夫です。ちゃんと防御するべきコマさえ間違えなければ、やりたい放題できますから」
オレの作業を見て、カクナール先生は目を見開いた。
ついでに、こちらの「作戦」も説明しておく。先生に理解してもらわないと、間違った判定が出かねないからね。
一通りの説明を聞くと、先生は一言言った。
「美濃囲いか」
「はい! おっしゃる通りです。まあ、ご覧の通り、いろいろと小技も使いますけどね。最後は相手の二歩で勝つのが理想です」
「二歩で?」
「はい。それが一番苦労しませんから」
さすがだよな。今までの常識が邪魔していただけで、カクナール先生のセンスと頭の良さは抜群だと思う。オレのやろうとしていることを一発で理解してくれたみたいだ。
「つくづく、君は敵に回したくないものだな」
「ご安心を。先生は味方だと思ってますから」
マジでウチの騎士団辺りに来てくれないかなって思うよ。
おっと、忘れるところだった。
面倒だけど、コイツを付けて出ないと、ダメだよね。
将軍に与えられた真っ赤な羽根で作られた1メートルもあるカブト飾り。名誉の証しだ。
南軍は赤、北軍は白。負けた将軍は、相手にプレゼントする習慣があるといういわく付きの飾りだ。
ケチな学園が、珍しく「与えて」くれただけに、将軍を務めて勝利した生徒は、生涯、紅白セットで飾っていると言われている。もちろん、御三家当主は全員が王都邸の自室に飾っているよ。
「貸せ。ワシがつけてやる。この程度は、ルール違反にはならん」
「ありがうとございます。先生」
カクナール先生とテントを出ると、目の前に1年生全員が整列していた。2年生は士官の扱いで別に整列してる。
ノーヘル副官の見せ場だよ。
「そーいん! 南軍、総司令官殿に敬礼」
ザッ
ここで、偉そうに答礼するのも「士気向上」のためだ。指揮官が堂々として見えると、それだけで「頼りがい」があるように見えるからね。
そして、もはや太陽が見えてくるこの瞬間を狙って、ノーヘル副官が下級生達に最後の訓示だ。
「いいか! ちゃんと勝つ方法は考えてある。今日だけしのげれば、オレ達の勝ちだ。絶対に、今日は死亡判定を受けないこと。いざとなったら逃げて良いぞ」
「はーい」
ん~ 1年生君達は素直にお返事してくれるんだけど、迫力が無いことおびただしいよ。
でも、気負わないくらいでちょうど良いんだ。
予想通り、こっちへの嫌がらせがひどい。なんと、陣地からは騎乗だと「道」へ出られないというこのひどさ。特に左側の水量のある泉への道は大回りが必要になってる。まあ、逆に「守りやすさ」にもなるけどね。
普通だと、演習場の真ん中にある橋を先に渡れば勝率8割だ。もう、この道の作り方を見た時点で「絶対に南軍には勝たせない」という意志が見えて面白い。
『しかも、こっちの道はわざとわかりにくくなってるし、あっちはど真ん中をほぼ直線だもんなぁ。露骨過ぎぃw』
でもね、ある程度は想定内なんだ。
昨夜、ノーヘル副官と一緒に見たマップは、もうグループごとに2枚ずつ渡してある。行き止まりの道まで記されている「ロードマップ」は、今回の重要アイテムだ。
え? なぜ、昨夜のうちに地図があったのかだって?
決まってるじゃん。スコット家の影のみなさんのおかげだよ。何日も前から演習場内を徹底的に調べてもらったんだ。しかも学園は最終点検の時に道の一部変えてきたらしい。
『学園も、ある程度は想定内ってわけね』
今までも、自家の影を使って事前に情報を集めていた人はいたのかも。だから、前日に点検と称して道の作り替えまでやっている。
『ホントに執拗だけどさ。スコット家の影にとって、演習場のマップを夜に調べるくらいはどうということはないわけさ』
ずっと調べていた演習場の中だ。ちょっとでも変更すれば、それを見逃す人達じゃないんだろう。
言っておくけどルール違反じゃないよ。だって「演習期間は」外部の立ち入りが禁止だけど、のろしが上がった時からが「演習期間」になるんだから。
演習期間でなければ、なんの問題もない。ちゃんと「指令書」通りにルールを守ってるからねw
それに、これがルール違反だったら、リンデロン様が黙ってやらせるわけないじゃん。規則違反がバレたら退学なんだ。
スコット家の影が黙って従っている時点で、ルール違反である可能性はゼロだと思って大丈夫。
そして、これが大丈夫な以上、シュメルガー家の影のみなさんにお願いした分だって、ちゃんと上手く行ってるはずだ。
とりあえず、地図を徹底してみんなの頭に叩き込んだし、開始して最初にするべきは各自の水袋を満たすこと。昨夜支給された水は、けっこう減ってるはずだ。
昼の暑さで水が無いとヤバいからね。
「水袋を満たす間に、馬たちを道に引いていくんだ。大丈夫。誘導さえすれば、ちゃんと馬が勝手に歩いてくれるからな」
副官の的確な指示。
いや~ 楽ができるぅw
のろしが上がった。ここでの一言は総司令官の義務だよ。
「勝つ方法はできている。後は、みんなが仕事をすれば自動的に勝利できるよ。落ち着いていこう。しっかり水を飲んで、身体をケアだよ」
オレが一つ頷くと同時に、ノーヘル副官が声を張り上げた。
「作戦を開始する! 各自、任務にぃ、つけぇえ!」
ザッともう一度敬礼をすると、バラバラと動き始めた。
1年生の中でも武力のある子を中心にして本日の「主力部隊」を編成している。隊長はトビー。こちらの左の三日月池に来た水汲み部隊を「狩る」のがお仕事だ。
副官以外の2年生5人と馬に乗れる1年生4人が右の湧き水のさらに右側に秘密前進基地を造りにいく。彼らは、明日まで待機だから、たっぷりの水と食料が必須。こちらが持って行くアイテムも勝利の手段だ。
ヤツらがいつ気付くのかってこともあるから、時間との勝負だよ。今回の攻撃での最大のポイントと言っても良いよ。
そしてオレを中心にした別働隊が6人。
本陣の後ろに「秘密基地」を作ってFRP浴槽を移動する。実は、今回の最大のポイントがここ。見つかると不味いので、とにかく偽装工作に半日掛けるよ。
そして、ここには「災害用の保存水」を大量に出して浴槽に満たし続けるのがケン達の仕事だ。この水を使ってひたすらみんなの水袋を満たし続ける。すっごく地味だけど、これが今回の最重要ポイントになるんだ。
ノーヘル副官が、みんなに注意してる。
「水場は本陣のみとなる。馬たちの飲み水も忘れずに持っていくこと」
ちなみに、お馬さんは飲む量がケタ違い。1日30リットルは最低限だ。
この意味を、北軍のみなさんは、間もなく思い知ることになる。
・・・・・・・・・・・
ドーン・サウザー=ドミナドは、演説台に登ると、その長身で一同を見渡した。将軍に与えられた「カブト飾り」の純白のハネがすっくと天空をさしている。
わずかに風が吹き、朝日を散らすように羽前を揺らしているのも、また劇的であった。
次第に昇ってきた朝日に自分が照らされることを十分に計算していた。背後に、緩やかに上がっているのろしが延長上に見えることまで計算に入れているのだ。
まさに、芝居に出てくるヒーローの姿である。
「諸君。相手は我が国の栄誉勲章を受けた現代の英雄である。ひょっとしたら、この中には密かに恐れを抱く者もあるかもしれない。だが、それを恥じる必要は無い。王国から与えられた名誉というものは、かくも重きものなのだ。サスティナブル王国に栄光あれ!」
うぉおおお
これは王国を持ち上げることで「誰もが参加可能な形」で声を出させるという定番の煽りである。
ひとわたり声が収まったところでドーンは声を張り上げた。
「では、諸君に問おう。南軍の将軍は、諸君が及ばないほどの英傑なのかと言うことを」
ここで、すかさず「断固として否である!」と大きく右手を振って見せた。
「諸君は、いまだ栄誉なき身ではあっても、それは能力無きを意味しているのではない。ただ、これまでにチャンスが与えられてこなかっただけなのである!」
おぉ、と小さなどよめき。誰もが心の中にあったコンプレックスを見事に解き明かしてくれた一言であった。
「今は名も無き身ではあっても、ここに並ぶ一人ひとりが英雄であることを私は知っている。私が保証しよう。諸君は王立学園が生む未来の英雄なのであーる」
おぉおお!
「諸君が、南の将軍よりも、優れた人物たるところを王国の英傑、英霊達、そしてあれなる本部山から観戦している人々に示そうではないか!」
ここでさりげなく「実利」を誘導するのは、少年ながら、なかなかに人の心理を読んでいる。
「我々は、優れているのか?」
「おう!」
「我々は、英雄であるのか?」
「おぉお!」
「我々は、勝利者たるか?」
「おぉおぉおおお!」
うぉおおおおっと、少年達は吠えたのである。
「諸君の活躍に期待する」
演説を締めくくったドーンは答礼をすると身を翻した。長身にふさわしい見事な動きに、人々はさらに戦意が高まるのを感じた。
次に家格ならば同じ、侯爵家のオイジュが渡された紙を読み上げた。
「手はず通り、まず橋向こうまでの強行偵察と橋頭堡の確保だ。アップルには1番隊から3番隊まで。中央のブルーには4番隊から6番隊まで。左のチャーリーには7番隊から9番隊まで。残りは1年生部隊を中心に北部陣地の水場の確保に動く。では、かかれ!」
さすがに学園生である。キビキビとした動きで、各部隊は、決められた指揮官に従って出発していく。
それを送り出すドーンは、自らの姿が絵画的な美しさを保つように、縁台での角度を計算に入れていた。その後ろには、北軍旗が水を含んでどんよりと垂れ下がる。火を掛けられた時の対策だ。これから、軍旗には絶えず水を掛けられ滴る状態が維持されなくてはならないのだ。
水を掛ける仕事をするために、平民枠の生徒をひとり当てているほどだ。
まずは、強行偵察部隊が結果を報告してくるの早くて昼ごろになるだろう。その間は、本陣を中心に陣地構築をしていけば良い。
当番兵(にした1年生)に紅茶を入れさせながら、ドーンは、先ほどの演説をした自分の姿を反芻していたのである。
しかし、それからわずか1時間後、思わぬ報告で慌てることになるのである。
悪い知らせは、水を確保しに行った1年生からもたらされたのである。
・・・・・・・・・・・
「ふぅむ。南軍は守りを固めるわけですな。水場を守るのはセオリー通りと申しましょうか。しかし、これでは勝てない」
シュメルガー家の騎士団長、トヴェルクは隣に立つ主人に聞こえるように独り言。
それを拾い上げたのはスコット家の騎士団総長のムスフスだ。
「というよりも攻める気が皆無のようですな。動き自体は早いが、陣地構築に力を入れるのかな? まあ、戦力的に守り重視になるのは、一つのセオリーではあるが」
それを聞いてニコニコするエルメス。
「北軍はセオリー通りに威力偵察と水場確保か。やるべきことをきちんとこなしている。カルビン侯爵家の嫡男はけっして無能な男ではないな。普通にやれば、戦力比からして夕刻までに勝負が付いてしまうなぁ」
なんだか声色が嬉しそうだ。
まるで、南軍が負けるのを楽しんでいるかの調子に、ノーマンもリンデロンも渋い顔だ。
「とりあえず、動くとしたら1時間後だろう。今のうちに、こちらは朝食と行きますか」
ノンビリした誘いに見えるが、ふとノーマンは気が付いた。
「北軍は威力偵察と橋頭堡。南軍に攻める気がないと言ったな?」
トヴェルクは「はっ」と答えた。
「では、なんで、1時間後に動くんだね?」
ノーマンのみならず、リンデロンの視線を受け止めたエルメスは「相変わらず、お前さんもいい性格をしているな」と、ニヤリとする。
シュメルガー家の影が「何」をしたのか、知っていて知らぬフリをしているのを察知しているのだろう。
「あぁ、そう言えばね、お二方」
エルメスは、さらりと「
「それは……」
ノーマンは困惑顔だ。
「だから言っただろう? 今回の小僧は、オレ達に借りを作ることを心がけているんだって。ちゃんと、オレにもおねだりしてきたってことだ」
「しかし、渡河演習にどんな意味があるというんだ?」
「あぁ、そうか。軍事はオレの専管だからな。ちょっと説明すると、簡単に言えば泳げない兵が川を渡るために柱をびっしりと立てていくんだ。上手く隙間を調節しないと、川をせき止めかねないのでね、常に訓練が必要なのだよ」
「そんなのを、なぜ?」
「ま、それは明日のお楽しみだな」
そう言いながら、当番の騎士団員が差し出した香ばしいトーストをかじる。
エルメスの言葉は当たった。
1時間後、水場に向かった北軍の部隊が、何やら騒いでいる様子が見えたのである。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
作者より
いよいよ始まりました。野外演習。
ドーン君は、わりと優秀です。年齢に対して背もあるし、カッコよくて、良いところのお坊ちゃま。自分が優れているということを自他共に認めているタイプですね。
そして御三家当主達と騎士団長達は、ワイワイ言いながら楽しんでいます。その横では、演習を見守るガーレフ先生や学年の担任団が渋い顔をして見守っています。
みなさま★★★評価へのご協力に、とっても感謝しています。
本当にありがとうございます。
お手を煩わせていただいたおかげで、順位アップできると
作者のやる気は爆上がりです!
応援してくださるみなさまに作者は大感激しております。
評価って言うか応援のつもりで★★★をお願いします。
ショウ君も新川も褒められて伸びる子です。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます