第8話 学校へ向かう道

【三日目】のタイトルのDVDを見る。

もう朝からずっとDVDを見ているなぁ。

食事やトイレを挟みながら

気が付けば夕方になっていた。


また飛島さんの部屋での朝御飯から

始まった。

今回は永山さんもいる。

「明子ちゃん昨日でかなり馴染んだ

 みたいだね。」

「はい、お陰様で楽しかったです。

 とびさんからも皆にドンドン

 ツッコんでって頼まれました。

 元気な人達ですよね。」

「アイツらはだからね。

 気楽に付き合ってやってよ。

 あと俺にもドンドンツッコんでよ。」

「鉄さんはちょっと気が引けますね•••」

「さみしいなぁ•••」

「大将。

 もっと信頼関係を作らないと

 駄目っすよ。

 俺達なんて昨日はもう

 んずほぐれつの大乱こ」

「最低!

 飛さん本当に最低です!

 恵さんが戻ってきたら

 すぐに言い付けてやりますからね!」

そう言えば恵さんの姿が見えない

竜一君のお世話だろうか。

「見て下さい大将。

 こんな感じで昨日はもう

 ツッコミまくりですよ。

 明子ちゃんはヤ○チンですよ。」

「女でヤ○チンはおかしいでしょ!」

「えっ!

 じゃあヤ○マンなの?」

「まだ処女です!」

「凄いな一日でこんな•••

 俺も行きたかった•••」

「なんで鉄さんが落ち込むんですか!」

「おっ!」

「おっ!じゃないですよ!

 なんで嬉しそうなんですか!」

「見て下さいよ大将。

 気が引けるとか言いながら

 すぐこれですよ。

 本当はツッコミたくて

 仕方ない女なんですよ。

 ふしだらですね。」

「ふしだらじゃないです!

 そっち方面にイメージ

 持っていくのめて下さい!」

「明子ちゃん凄い環境適応能力だなぁ•••」

「大将は良い子を見つけましたよ。

 俺達はこれから楽しみで

 仕方ないですよ。

 俺らみたいな野獣共に

 ツッコミまくりの女子高生•••

 ふしだらですね。」

「だからふしだらじゃないって

 言ってるでしょ!」

「明子ちゃん朝から元気ね。」

「あっ!

 恵さん聞いて下さい!

 飛さんが私をふしだらにするんです!」

「えっ!

 どういう事?!」

姉ちゃんは朝から元気だった。


竜一君はおむつを替えたら

また眠ってしまったそうだ。

「すいません恵さん

 朝から大声出して•••」

「良いのよ悪いのは

 ウチの人なんだから。

 兄さんも見てないで

 助けてあげて下さいよ。」

「いやスマン•••

 なんだか楽しそうで•••」

「メッチャ楽しいっす!

 家にはツンデレ美人妻!

 隣にはツンデレ女子高生!

 俺はマジモンの勝ち組ですよ大将!」

「私はツンデレじゃないです!

 1秒もデレてません!」

「メグミン凄いだろう?

 明子ちゃんのポテンシャルは

 目を見張るものがあるよ。」

「確かに凄いわね•••

 アナタや他の人達が喜ぶ訳だわ•••」

「明子ちゃんもっと厳しくツッコんでも

 大丈夫だよ。

 とび達は男子校みたいな

 ノリだから大喜びすると思うよ。」

「それは昨日で何となく分かりました。」

「やっぱり明子ちゃんは有能だね。

 流石さすがだ。」

そう言って永山さんは嬉しそうに笑った。


場面が切り替わり車の中の映像になる。

後部座席に座る姉ちゃんの横顔が映る。

「明子さん朝から楽しそうでしたね。」

運転しているのは桂木かつらぎさんみたいだ。

「もう朝から飛さんボケ倒しですよ。

 竜一君寝てるのに大声出して

 申し訳ないです。」

「飛さんの部屋に入ったら

 明子ちゃんが叫んでてビックリ

 しましたよ。

 もう私より皆に馴染んでますね。」

桂木さんの彼女の沙耶さやさんも

乗っているらしい。

「沙耶は人見知りだからね。

 最近は良くなってきたけど。」

「今日は沙耶さんお休みなんですか?」

「そうなのだからかずくんと

 この後お出かけです。」

「ごめんね沙耶が一緒の時じゃないと

 送り迎え出来ないんだ。」

「それは良いですけど•••

 沙耶さんまだ私の事疑ってます?」

「ごめんね。

 ただ明子ちゃんだけじゃないの•••

 和くんモテるから心配で•••

 信頼はしてるけど•••」

「まぁ恐いものは恐いさ。

 だから心配かけないように

 出来るだけ一緒にいるんだよ。」

「そうなんですか

 愛されてますね。」

「私、昔から嫉妬深くて•••」

「いやぁ沙耶の嫉妬は可愛いもんだよ。

 いざという時に手の平返してくる

 ヤツらよりはるかにマシさ。」

「いざという時ってのは前に話してくれた

 御実家ごじっかの危機の時ですか?」

「そうそう。

 あの時、俺は中学生でそれまでは

 楽しくやってたんだけど

 実家の商売がヤバくなった途端に

 親戚も学校の友達も離れていってさ

 学校なんて少ししたらイジメも

 始まって参ったよ•••

 自分で言うのは恥ずかしいけどさ

 俺サッカー部で割と人気

 有ったんだよね。

 でもそれも大逆転だよ•••

 部活も辞めて学校もあんまり

 通えなくなって たまに来たら

 無視や陰口たまに暴力もあってさ

 どうしようかと思ってた時に

 大将に救ってもらったんだよ。」

「苦労されたんですね•••」

「でもさ悪い事ばかりじゃないよ。

 周りが離れていく中で残る人達もいてさ

 その1人が沙耶だよ。

 女子でその時残ったのは

 沙耶だけだったな。

 幼馴染みで兄妹きょうだいみたいに

 思ってたけどその時から世界で一番

 大切な女性になったよ。」

「ウフフ♡

 私はずっと和くんが好きだったから

 このままずっとそばにいようって

 決めてたの♡」

「ありがたい事だよ。」

本当に仲の良い2人だ。


「そのあと、御実家は

 持ち直したんですよね?」

「うん。

 それどころか前より大きくなってさ

 車の部品メーカーとして

 いくつか工場を持ってるよ。

 【KATSURAGI】って言うんだけど。」

「知ってます!

 町工場からスタートして

 いくつも特許を取って大きく

 なっていった会社ですよね!

 ウチの実家の目標にしてました!」

「ありがとう。

 ただウチが大きくなったのも

 大将の力があってこそだからね。

 特許は取るまでも取ってからも

 金がかかるんだよ。

 個人でやるならともかく

 特許庁への費用やら

 商品の試作品製作やらさ。

 ただ利益が出るようになるまでの

 費用は大将が全部出してくれてさ

 【金は全部俺が出すから皆は

  技術とアイデアを出してくれ】ってね。

 明子さんの実家も

 そうなるんじゃないかな?」

「はい鉄さんは凄腕の

 経営コンサルタントを

 向かわせるって言ってました。」

「多分、大久保さんの事だろうね。

 その人に任せておけば間違い無いよ。

 ウチもその人に建て直して

 もらったからさ。

 •••もうすぐ着くよ。」

そんな話をしているうち

姉ちゃんの通う学校に近付いてくる。

「学校終わったら迎えに来るから

 連絡•••

 俺と連絡先交換したら沙耶嫌だよな?」

「うん•••

 明子ちゃん私と交換しよ。」

「はい、お願いします。」

そして姉ちゃんは沙耶さんと連絡先を

交換して車を降りた。

「いってきます!」

「「いってらっしゃい!!」」

姉ちゃんは2人に見送られ

元気に登校していった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る