第7話 染められていく姉ちゃん

※2日目の買い物の続きです。

昼食の後、服や生活必需品を買い

姉ちゃん達がマンションに戻ると

小柄な可愛らしい女性が出て来て

桂木さんに抱き付いた。

かずくん、おかえりなさい!」

「ただいま沙耶さや。」

桂木さんも抱き締める。

後から知ったが桂木さんの名前は

和馬かずまと言うらしい。

「一緒にお出掛けしたかったな•••

 仕事じゃなければな•••」

「看護師は土日も関係ないからね。

 今度は2人で出掛けよう。」

「うん♡」

仲が良さそうな2人に

「初めまして西条明子といいます。

 桂木さんには昨日からお世話に

 なっています。」

と姉ちゃんが挨拶する。

「初めまして話は聞いてます。

 和くんの彼女の堂本どうもと沙耶です。

 •••和くん、こんなに可愛い子って

 聞いてないよ•••

 心配になってきた•••」

それを聞いた飛島さんが

「大丈夫だよ沙耶ちゃん。

 昼飯の時にけい

 彼女がいるからって

 断ってたから。」

「だからフラれた設定にするの

 辞めて下さい!

 違いますよ!

 そもそも告白もしてないですからね!」

姉ちゃんは弁解するが

「和くん•••♡

 嬉しい•••♡」

「俺は沙耶だけだよ。」

2人はもう聞いていない。

なんなんですかコレ!」

「「「ギャハハハ!!!」」」

「その笑い声腹立つ!」

「まぁまぁ明子ちゃん落ち着いて。」

「誰のせいですか!」

短時間で姉ちゃんはすっかり

このメンバーに染まっていた。


その後、飛島さんの部屋で晩御飯を

食べながら翌日からの予定を話す。

竜一君は眠ってしまったようだ。

「どうかしら明子ちゃん?

 明日は月曜日だけど学校に通えそう?」

「問題ありません。

 色々予想外でしたけど•••

 今はここにこれて良かったと

 思う位です。」

「それなら良かったわ。

 明日からここの人達が車で

 送り迎えしてくれるから。」

「送り迎えなんてそんな!」

「そっちの方が色々と都合が良いのよ。

 兄さんは色々と働いてもらうって

 言ってたから•••」

「そういう事ですね。

 分かりました。

 それなら明日からお世話になります。」

「本当に理解が早くて助かるわ。」

すると飛島さんが

「明子ちゃんの送迎は誰が良いか

 指名して良いよ。」

なんかその言い方嫌ですね•••」

「別に変な意味は無いよ!」

「今日一日でとびさんの

 印象が変わりましたよ。

 いやな人ではないですけど

 いやらしい人ではありますよね。」

「ヒドい!

 ストレート過ぎる!」

「恵さん旦那さんの事

 こんな風に言って

 ごめんなさい。」

「良いのよ。

 全くもってその通りだわ。

 本当に良く人を見てるわね•••」

「メグミンヒドい!

 俺がいやらしくなるのは

 メグミンだけだよグヘヘへ。」

「そういう所よ!」

楽しそうな夕食だ。


「そういえば鉄さんはまだ

 お仕事ですか?」

その質問に陽気な飛島さんの

顔が変わった。

「大将は緊急の仕事が入ってさ

 遅くなるよ。

 もしかしたら泊まりかな?」

「•••そうなんですね。

 鉄さんも大変ですね。」

姉ちゃんも何かを察して

それ以上聞かなかった。

「明子ちゃんは頭も勘も良いから

 何となく気付いているだろうけど

 まぁ大将は仕事してるから

 そのうち見る事になると思うよ。」

「はい。

 覚悟しています。

 裏の仕事ですよね。」

「まぁでも大将は明子ちゃんに

 求めてないかな?

 出来れば堅気でいて欲しいと

 思ってるんじゃないかな?

 ねぇメグミン?」

「そうだと思うわ。

 ただ今はまず生活に慣れて

 その次に勉強ね。

 秘書検定は持ってた方が良いわね。

 私も一級持ってるから相談には

 乗れるわよ。 

 •••ごめんなさい

 あの子、起きたみたい。」

そう言って恵さんは部屋を出て行く。

「大将は明子ちゃんの希望を

 聞いてくれると思うから

 自由に話して大丈夫だよ。

 【他の人に迷惑をかけなければ

  どう生きようが個人の自由だ】

 が口癖だからね。」

「はい。

 まだ短い付き合いですけど

 そんな人だと理解してます。」

「やっぱ明子ちゃん賢いな•••

 うちのメグミンも前は

 大将の元でバリバリ働いてたけど

 今は専業主婦してもらってるからね。

 【それも自由だ!】って

 大将言ってたよ。

 【幸せならそれで良い!】ってさ。」

「本当に話の分かる人なんですね。」

「そうだよ。

 それに大将は【純愛派】だからさ

 明子ちゃんには

 【ずっと好きだった人】とか

 【幼馴染み】とかと

 結ばれて欲しいって言ってたよ。」

「そんな人いませんよ。」

「いろよ。」

「いろよってなんですか!

 いませんよ!

 急になんなんですか!」

「やっぱ明子ちゃん最高だね!

 今日で俺もアイツらも

 明子ちゃんの性格分かったと

 思うからさ、これから

 明子ちゃんの前で

 皆ボケまくると思うよ

 よろしくね!」

「よろしくって何ですか!

 バカばっかりじゃないですか!」

「うーん最高!

 ツッコミ女子高生!

 大将は良い子を見つけてきたなぁ!」

「目的変わってるじゃないですか!」

姉ちゃんはツッコミながらも

とても楽しそうにしている。

なんだか羨ましくなってきたな。

画面の中の姉ちゃんを見ながら

僕はそう思った。

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