record_013 gray area(1)
『さて、旧友諸君出てきたまえ!』
拡声器から鳴らされたのはEZ022の声だ。何となく、そうなのではないかと薄々と感じていたEZ136とEZ333両人は頭を抱えた。
EZ022には同胞に対する慈しみ等ないに等しい。彼にとってはそれが面白いか、面白くないか。それだけなのだ。故に、その
EZ333がEZ998を抱き抱えると、両人は呆れ顔を見合わせ、頷きあった。EZ136が先行して飛び出すと大きな声を鳴らした。
「トゥトゥ、こっちよ!」
いったい何を考えたのだろうか。EZ022はさらに
「殺す気か!」
「厭ですねえ。一応、
「後者か!何となくそんな気はしてたわよ!」
とつい大声で突っ込んでしまう。EZ333は顔を引き攣らせたまま、後ろの荷台の扉を開いていた。兎に角、あの執行官に気付かれる前に乗り込まなければ。そして厭たことというのは総じて起きうるのである。白煙の向こうに赤い髪が垣間見えたのだ。EZ333は急ぎ乗車し、扉を閉める前に注意喚起した。
「サーティス、トゥトゥ。来たぞ!」
EZ136は後方にその
「ちょ!」
思わずEZ136は声を上げる。まったくもって遠慮というものがない。〈キャリアー〉は
「ふう。そて、どうなりましたかね」
操作していたEZ022だけがけろりとしている。どころか、結果が気になって仕方がないらしい。唖然としているEZ136を小突き、「さっさと見てきてください」等という。新しい刑執行
渋々とEZ136は降車すると、〈カムイ〉を携えて忍び足で執行官の姿のあった辺りまで
「あなたがナインエイトを救ってくれたのなら、礼を言います」
EZ136の手に握られていた〈カムイ〉がふるい落とされる。その刃は鈍い音を立てて硬い執行官の頸を断ち斬った。執行官の身體は大きく跳ね、動きを留めた。
「取り敢えず、一時的に動きは封じたから連れて行くわ」
この執行官の
「ほう。あの攻撃を受けて動けはしていたんですねえ。いやはや、執行官の頑強さは実に興味深い」
「それ以上どうでもいいこと抜かしたら、あなただけここに置いて帰るわよ」
「それは恐ろしい」
EZ022は肩を竦めると、〈キャリアー〉は発進した。今度は常識的なの
//LOADING>>>PLAYBACK
r996a1支部の
「あ」
そこでようやく、EZ136は先程拾ったキューブのことを思い出した。そのキューブはEZ022の足許に転がり、EZ022はきょとんとしてそれを拾い上げた。
「ん?これは……」
その白銀のキューブを見て、EZ022は声を上げた。
「懐かしいですねえ!」
EZ022の言葉に、EZ136は眉を顰めた。それと同時に丁度EZ333もEZ998を抱きかかえて降車し、EZ022の手に握られていたキューブを見て同じく声を上げた。
「それ、若しかして」
「え?なんだっけ……私覚えはあるんだけど何だったか覚えてなくて」
EZ136は焦りを覚えながらも尋ねる。これは最早、記憶にない方がいけないやつか、と。そしてその予想は当たっていたらしい。EZ022が憤慨した様相で声を鳴らした。
「ワタシの一番最初の作品じゃあないですか!何忘れてるんですか、サーティス。その頭は空っぽなんですか!」
EZ022の、一番初めの作品。EZ136は記憶を手繰った。三人共通の記憶となれば、それは
「しかしこれ、ナインエイトに皆で渡しませんでしたっけ?」
「え、そうだっけ……」
「そうですよー。ナインエイトがあんまり泣くもんで」
「あいつが泣くう?そんなことはなかったと思うけど……」
「まったく。常々思っていましたが、馬鹿ですね貴女。でもなんでナインエイトの持ち物がこんなところ……に……」
EZ022の視線がEZ333の腕の中に留まる。其処には、抱き抱えられているEZ998の姿。その首筋には、その
「まあ、そういうことだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます