record_005 ruined city(1)
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其処はr996a1区。新型ウイルスの流行爆発により、大多数の市民が一夜にして死滅した危険地帯である。
白い高層ビルと電子パネルとブルー・ライトでできた無機質な街並みは既に多くの「異常動作」した白服の
そしてつい先程対処した
その身に纏うのは赤の特殊防護スーツ。常に装着しているヘッドセット型支援
EZ136は手に握っていた大刀型の装備を数度振るい、背に携えていた鞘へ収めた。簡易刑執行
「ここは
『ありがとーサーティス!さっすが
輸送装置の拡声器から鳴らされたのは96/97調査隊の隊員のうちのひとりのもの。EZ136は路上で壁に打つかって進めなくなっていた支援
オフライン専用のセンサーデータ解析プログラムが搭載されており、随時周囲の画像や音や熱を感知しては「正常」な
(まあ、旧時代のアルゴリズムを引っ張ってきたにしては判定性能は高いけれど)
EZ136は停車したキャリアーの扉を開け、中へ乗り込んだ。すると同時に、キャリアーはまた発車し始め、僅かにEZ136はよろめいた。
ふと視線を上げれば、奥に多量の機材が詰め込まれ、手前に五人座席を向かい合わせて配置されているのがよく視える。各席には自由に特殊防護スーツを着用した四名の保安局員たちが座り、その中にはEZ110の姿もある。穏やかな微笑を浮かべ、EZ136へ向かって手を振っている。
不意に、EZ110の横に座していた
「お疲れ、サーティス」
「ありがと、トリプル」
トリプル――EZ
「しっかし、暴走している市民多いわね」
「その
とEZ110。手拭いでEZ136の額の汗を拭ってくれる。心優しい友人である。EZ136はにっと笑って明るい声で応じる。
「どういたしまして、イレブン」
保安局は900ナンバー各区へ調査隊を派遣したわけだが、元より数の少ない執行官や医務官を多く派遣できるはずもない。故に、構成メンバーは執行官と医務官はひとりずつ、監視官と
だが、この96/97調査隊にはひとりだけ、本来いてはならない顔がひとつある。EZ136は吊り上がった眼を据わらせて、正面で機材をいじる、ぼさぼさ頭の
「で、トゥトゥ。あんたはなんで付いてきたのよ」
呼ばれた当人は手を止めた。彼も特殊防護スーツを着ているが、彼は
「いいじゃあないですか。現地で直に視たほうが、改良案が出ると言うものです。ワタシは厭だったんですよ。こんな中途半端な
ぶうぶうと彼、EZ
但し、ネーミングセンスはポンコツであるため、名付けだけは他の開発者らで募って行う。(それでもこの厨二的なのは如何なものか、というものが多いのは否めない。)故に募集時間が無かった物は実に残念な名称となり、〈助けるぞう君〉もそのひとつだ。
EZ136は深々と嘆息すると、やや怒気を含めた声を鳴らした。
「ならせめて、もう少しr999a1/r998a1 から離れている地区担当にくっついていけばよかったじゃない」
「全部断られたんですよー」
当たり前である。
それは無用な友情関係を持つことによる互いに感情的判断を下さぬようにするための一種の予防線のようなものである。
眉を顰めるEZ136に対し、EZ022 はケラケラと嗤いながら、
「でも、ほら。同期ならゴリ押しでいけると思いまして」
「あんたねえ!」
がばりと立ち上がり、詰め寄る。あたふたとしたEZ110が「落ち着いてサーティス!」と今にも殴りかかりそうなEZ136に抱きついて留めた。すると突然に、EZ022の奥に座していた肩辺りまで届く白髪をざんばらに流した
「いやあ、君ら仲いいねえ!EZナンバーは数が少ないから、結束力もあるのかな?」
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