第15話 成長と指名依頼
そういえば最近、ステータスを確認していないな…と思って、ガニーの宿の部屋で私はステータスを開いた。
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名前:ヘルミーナ
種族:
性別:女性
外見年齢:15歳(実年齢:0歳)
基礎Lv:70
保有魔力:12579400/12579400
『所持スキル(アクティブ)』
《水魔法》Lv:10(MAX) 《火魔法》Lv:10(MAX) 《風魔法》Lv:10(MAX) 《土魔法》Lv:10(MAX) 《光魔法》Lv:10(MAX) 《闇魔法》Lv:10(MAX) 《時空魔法》Lv:10(MAX) 《無属性魔法》Lv:10(MAX) 《瞑想》Lv:10(MAX)
《剣術》Lv:10(MAX) 《槍術》Lv:10(MAX) 《戦棍術》Lv:10(MAX) 《体術》Lv:8 《隠密》Lv:10(MAX)
《鍛冶》Lv:6 《料理》Lv:10(MAX) 《調合》Lv:10(MAX) 《錬金》Lv:5 《裁縫》Lv:5
『所持スキル(パッシブ)』
《魔法効率化》Lv:10(MAX) 《魔力回復力上昇》Lv:10(MAX) 《魔力制御力上昇》Lv:10(MAX) 《解体》Lv:10(MAX)
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…《剣術》と《槍術》、《戦棍術》もレベルMAXになったことだし、そろそろ別の武術系スキルを覚えた方がいいかな?…ああ、保有魔力についてはもう気にしないことにしたよ。
「剣、槍、メイスと来たら…弓とか、投擲とかの遠距離物理かな?」
ちょっと一旦『箱庭』に帰って、箱庭ポイント交換の『スキル』タブを見よう。
《弓術》…200Pt
《投擲術》…200Pt
《暗器術》…200Pt
《刀術》…200Pt
箱庭ポイント交換で、気になった武術系スキルはこれら4つだった。暗器に刀、忍になれるね!
全部交換、と。ついでに『武器・鉱石』タブで『初心者の弓』、『初心者の投げナイフ』、『初心者の暗器セット』、『初心者の刀』を各100Ptで交換した。なお暗器セットには色々入っていた。仕込み鉄扇とか、糸とか色々。
そして、そのまま『箱庭』で武術の訓練を始める。まずは弓から、的は土魔法で作って、次々に矢を放ってゆく。ちなみに矢も土魔法製だ。最初は的に掠りもしなかった矢は、それでも徐々に的に当たるようになってきた。やがて直射だけではなく曲射なども出来るようになってきて、スキルレベルが3に上がった時点で弓から投擲に切り替えた。
その調子で、《投擲術》、《暗器術》、《刀術》もスキルレベルを3まで上げて、訓練を切り上げる。レベル3までなら比較的早く上がるのだけど、これ以降は実戦で上げてゆくことになる。そちらの方が早く上がる気がするし。
という訳で翌日、ガニーの周辺にある迷宮のうち、"初心者向け"と言われる『薬草の迷宮』へとやって来ました。ここは迷宮に入れる最低ランクである『銀の三』ランクから入れる迷宮で、その名の通り薬草や月光草などの魔法薬の材料が採れる迷宮であり、魔物はそこまで強くないらしい。なお最下層は第15階層とのこと。
さあ、訓練開始だ。
〜数時間後〜
あれから、片っ端から魔物を仕留めてまわった私は、その成果に満足していた。
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…(略)…
《剣術》Lv:10(MAX) 《槍術》Lv:10(MAX) 《戦棍術》Lv:10(MAX) 《体術》Lv:8 《隠密》Lv:10(MAX) 《弓術》Lv:5 《投擲術》Lv:5 《暗器術》Lv:5 《刀術》Lv:7
…(略)…
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以上がステータスの武術系スキルの部分である。この通り、新たに取得した4つのスキルレベルが5まで上がった。《刀術》だけレベルが高いのは、身近に接近してきた魔物を刀で斬り捨てていたからだ。
「今日はこの辺にして、帰ろうかな」
達成感もあるけれど、疲労感もある。なので、早々にガニーの宿へと戻ると部屋へと入った。そこから王都の屋敷に《転移》して、イライザに少し遅めの昼食を用意してもらった。
なお昼食はデミグラスソースのオムライスだった。うまー。
さて、午後からは、『箱庭』で裁縫をすることにした。というのも、アイリーンとカレンの分のお給金袋を用意するためである。他の皆と同じように、可愛い柄の布袋にそれぞれの名前を刺繍してゆく。ついでに、アグネス達の分も含めて8人分のお財布を作ることにした。前回、お手製のお給金袋で喜んでもらえたので。
「んー、どうせなら、色々と機能を付けたいよね」
ということで、巾着型の財布にチャームを付けることにした。チャーム部分はもちろん、私お手製(?)の宝石を付ける。土台はミスリルにしておこう。この前大量に手に入ったし。
そうして出来たのが、こちら。
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『幸運の財布(巾着型)』
・カーバンクルが作り出した宝石があしらわれた"幸運を招く"財布。
・なくしたりしても自動的に手元に戻ってくる機能がついている。
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成し遂げたよ。これで紛失や盗難を気にしなくとも良いね。もちろんお財布には各人の名前を刺繍したよ。
「という訳で、はいコレ。皆にプレゼント」
その日の夜。王都の屋敷に帰って皆を呼び集めると、それぞれにお財布を手渡した。付いている機能について説明すると、皆は驚いたり神妙な顔になったりしていた。けれど、一様に喜んではくれたので、良しとする。
翌日は、朝から『箱庭』の作業小屋にいた。目的は、鍛冶をするためだ。作りたいのはオリハルコンの剣と槍とメイス、ヒヒイロカネの太刀と短刀。だけど、おそらくオリハルコンやヒヒイロカネを扱うのに《鍛冶》のスキルレベルが足りない気がするので、ミスリルの剣や槍、メイス、太刀、短刀を作ってレベル上げをしたいと思う。
炉でミスリルを鋳溶かしてカンカンしてゆく。相変わらずのゲーム仕様なので、カンカン形を整えてゆくだけのお仕事です。そして出来上がると柄の部分まで勝手に仕上がる不思議。もう慣れたけどね。
その調子で、次々とミスリル製の武器達を作ってゆくうちに、《鍛冶》スキルのレベルが上がってゆくのが分かった。スキルのアシストが強力になってゆく上に、イメージした細かな意匠を実物に反映させることが出来るようになったのだ。もはや"鍛冶とは?"というような能力だけど、便利なのは間違いないので、積極的に使っていこうと思う。
やがて、《鍛冶》スキルがレベルMAXになったことを確認すると、ようやくオリハルコンとヒヒイロカネの武器作製に入った。
そして出来上がったのが、こちら。
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『オリハルコンの剣』
・オリハルコン製の剣。
・作り手の技量により、切れ味が上がっている。
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『オリハルコンの槍』
・オリハルコン製の槍。
・作り手の技量により、切れ味が上がっている。
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『オリハルコンのメイス』
・オリハルコン製のメイス。
・作り手の技量により、硬度が上がっている。
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『ヒヒイロカネの太刀』
・ヒヒイロカネ製の太刀。
・作り手の技量により、切れ味が上がっている。
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『ヒヒイロカネの短刀』
・ヒヒイロカネ製の短刀。
・作り手の技量により、切れ味が上がっている。
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相変わらずシンプルな表記だ。分かりやすいけれども。でもこれで、私の戦力の底上げは出来たかな。午後からは、ガニー周辺の迷宮で試し斬りをしてこよう。
「ええ…嘘でしょ…?」
午後。ガニー周辺にある迷宮のひとつ、『
というか、『ロックゴーレム』も『アイアンゴーレム』も、『ミスリルゴーレム』すらもスパスパ斬れるんだけど。オリハルコン怖い。
「予想外にメイスの出番がなくなってしまった」
ゴーレムなどの硬い敵用に作ったのに、オリハルコンのメイスはいつ使えば良いんだ。…まあいいや、とりあえず撫で斬りにしたアイアンゴーレムとミスリルゴーレムを回収しよう。こいつら、鋳溶かしてインゴットに出来るのだ。鉄とミスリルは何やかんや使い道があるので、売らずに取っておくことにする。なお、ロックゴーレムからは魔石だけを回収した。
しばらく迷宮内で鉄とミスリルを集めてから、私はガニーの冒険者ギルドへとやって来た。目的は2階の資料室で、まだ行ったことのない迷宮についての情報収集をしようと思ったのだけど…ギルドに入るなり、待ち構えていたらしきサブギルドマスターのエリアスさんに2階の応接室へと連行された。応接室にはギルドマスターのローナさんがすでにいて、「突然ごめんなさいね」と申し訳なさそうに微笑んだ。
「ヘルミーナさんに指名依頼が来ているのよ。ちなみに相手はこの国の国王陛下よ」
「…は?」
「そういう反応になるわよねえ…」
「とりあえず、依頼書をお見せしますね」
エリアスさんから渡された依頼書には、"『人形の迷宮』のミスリルゴーレムの素材を最低50体分納品してほしい"旨の内容が書かれていた。納期は3ヶ月後で、"最低50体"なのでそれより多ければそれも買い取ってくれるらしい。
「…戦争でもするんですか?この国」
「縁起でもないこと言わないのよ、ヘルミーナさん。まあそう言いたくなる気持ちも分かるけどね」
「使者の方に聞いた話だと、古くなってきた兵装を一新したいらしいですよ。あとは、隣国のユジェルド王国への輸出用でしょう、かの国ではミスリルは採れませんからね」
「なるほど」
「指名依頼だけど、嫌なら断っても良いのよ?無理難題を吹っ掛けてきているのはあっちなんだし」
あ、やっぱり無理難題なのね、この依頼。でも…
「受けますよ。実はさっきまで『人形の迷宮』でゴーレムを狩ってたので、ミスリルゴーレムなら余裕で狩れます」
「無理は…してないようね。納期は3ヶ月後だから、輸送の時間も考えると時間はそんなにないわよ?」
「それも大丈夫です。私、王都に《転移》できますし、大容量の《アイテムボックス》もあるので」
「…大丈夫そうね。はー、どこまで規格外なの?貴方。まあミスリルなら腐らないし、《アイテムボックス》に詰めても構わないでしょう」
そういえば、《アイテムボックス》には時間経過があるんだったね。今回は無機物のミスリルだから、インベントリのことはバレないだろう。
ちなみにこの指名依頼、報酬はミスリルゴーレム1体につき5金貨、つまり500万ベルで、最低50体なので最低でも2億5000万ベルが貰える。輸送の手間を考えると割りの良い依頼とは言えないけれど、私にとっては楽に稼げる良い依頼だ。それに、迷宮は出入りする度にリセットされるので、狩りすぎとかを考えなくても良い分、気が楽だし。
「では今日からしばらくは、ミスリルゴーレム狩りに力を入れますね」
「無理はしないでね。…受けてくれてありがとう、ヘルミーナさん」
「ご武運をお祈りしています」
「大げさですよ」
そんな会話を交わしてから、私は冒険者ギルドを出た。
それから1週間ほどかけて、私は『人形の迷宮』でミスリルゴーレムを狩った。1日20体をノルマとして、1週間で140体ほどを狩ったのだけど…これ、全部買い取ってくれるのかな?
「問題はないでしょう。あちらも出来るだけ多く欲しいようだし」
冒険者ギルドでローナさんに相談してみたら、こんな言葉が返ってきた。
「というか早いわね、まだ1週間よ?」
「頑張りました」
「頑張りすぎよ…疲れたでしょう?納品が終わったら、少しゆっくり休むと良いわ」
「そうします」
ちなみに納品の際は、ローナさんも付き添ってくれるそうだ。明日から馬車で3週間ほどかけて王都ナディアリスタまで行く、と言っていたけど、そこは私が一緒に《転移》することを提案した。
「ローナさんを、王都にある我が家に招待しますよ。そうすれば往復分と王都滞在分の約ひと月半はゆっくりできるでしょう?」
「それは大変有り難いけれど…良いの?」
「もちろん。では、明日の朝に迎えに来ますから、準備しておいてくださいね」
「わかったわ、ありがとう」
それから私は宿に戻って、宿の主人に明日チェックアウトすることを伝えると、部屋へと入って王都の屋敷に《転移》した。そして、すぐにやって来たアグネスにお願いする。
「明日の朝に、ガニーの冒険者ギルドのギルドマスターをお客さんとしてこの家に連れてくるから、客間の準備をお願いできる?ひと月半くらいは滞在する予定なのだけど」
「かしこまりました。ほかにご要望はございませんか?」
「そうね…3日後の夜に歓迎パーティーを開こうか。イライザに料理の仕込みをお願いしておいて」
「ドラゴンのお肉がまだまだ沢山ありますが、それを使ってもよろしいですか?」
「もちろん。むしろドラゴン肉をメインでお願い」
「かしこまりました」
そのあとは、『箱庭』に帰って果実酒を作ったり、お菓子を作ったりして過ごした。
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