第6話

 映画の撮影現場。光に満ちたセットで、美咲は完璧に役を演じていたが、内心では不安と緊張を抱えていた。全ての撮影が終わり、藤原は彼女のそばに近づいて、穏やかに話し始めた。


「美咲さん、デートのこと、考えてくれましたか?」藤原の目は彼女に固定されていた。「合同で記者会見し交際を発表すれば、あなたのキャリアへの影響も最小限で済むと思うんです」


 美咲は少し間を置いてから、静かに答えた。「藤原さん、あなたは素晴らしい人ですが、私の気持ちは他にあります。ごめんなさい」


 藤原は少し落胆した様子を見せたが、美咲の幸せを心から願う言葉を残した。「分かりました。美咲さんの幸せを願っています」




 拓海は美咲を拒絶してから何もする気が起きないでいた。そこにインターホンが鳴る。拓海は動くのも億劫だったが再度インターホンが鳴らされたところで玄関を開けた。訪問者を見て目を丸くする。


 俳優の藤原祐司だった。「入れさせてもらってもいいかな」拓海は驚きつつも、彼を中に招き入れた。


 藤原はまず謝罪した。知り合いの雑誌記者から色々と聞き出し、拓海の住所を探ったことを明かす。拓海が驚きで声が出せない中、藤原は自身が美咲に振られたと報告した。藤原は確認するように、拓海に美咲との関係を聞く。


 拓海は藤原の真剣な表情に押され自身の気持ちも含め包み隠さず話してしまった。


 藤原は拓海に助言をした。「美咲さんのこと、あなたが一番考えているんだろう?だったら、正直な気持ちを彼女に伝えるべきですよ」


 拓海は藤原の言葉に動揺する。「でも、僕なんかが……」拓海は劣等感から勇気が出せないでいた。


「愛は地位や名声じゃない! あなたの気持ちが大事なんです!」藤原は拓海に力強く語りかけた。


 藤原の言葉に励まされ、拓海は美咲に対する本当の気持ちを伝える決意を固めた。


 拓海は美咲と連絡を取り、夕暮れ時、拓海は美咲に会うため、彼女の待つ公園へ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る