第13話:大飯食らいの妖怪。
「小春、大丈夫かな・・・心配だな」
「俺も行けばよかったかな・・・」
一平太が小春の心配をしていると家の戸が開いて、めでたく小春が帰ってきた。
「ただいま」
「お〜小春・・・心配したぞ」
「無事で帰って来てよかった・・・追い剥ぎに襲われなかったか?」
「大丈夫だよ・・・」
「で?・・・おめえひとりじゃねえか?」
「その、うんがいなんたらって妖怪はいなかったのか?」
「一平太さんには見えないよね・・・」
そう言うと小春は、何かを唱えた。
するとデカい鏡に手と足がついた化け物が小春の後ろに現れた。
一平太は腰を抜かすくらい驚いた。
「わ〜でけえ鏡・・・」
「へ〜そいつが、うんなんちゃらって妖怪かい?」
「
「飯、腹一杯食わしてくれたら、なんでも聞いてやるよ」
「飯って・・・肝心の食、食べるクチがねえじゃんえかよ」
「大丈夫なの・・・鏡がクチに変わるから・・・」
「ろくなもの食べてないんだって・・・」
「お〜そうか、俺の言うこと聞いてくれたら腹一杯飯食わせてやるよ」
「そういえば、私もお腹ペコペコ」
腹が減ったと言う雲外鏡に小春は飯を炊いてメザシを三匹と鶏の卵を
一個つけて出してやった。
雲外鏡は飯がよほど美味かったのか、おひつの飯を全部平らげた。
飯をたらふく食った後、狭い部屋の中で大の字になって、いびきをかいて
寝てしまった。
余計な体力を使わない妖怪だ。
「それにしても、よっぽど腹が減ってたんだな」
「これで役に立ってもらわないとタダ飯喰らいだよな」
「お腹がいっぱいになったから大丈夫ですよ」
「さてと・・・藤兵衛から知らせが来ねえとこっちから乗り込んでいって
嫁も付き添い女もいなかったらまだ出直さなきゃならねえからな・・・」
結局、その日は藤兵衛からの知らせは来なかった。
次の朝から、雲外鏡はまた飯を腹一杯かっ喰らった。
「おいおい、早く決着つけええと俺たちが、おまんま食えなくなるぜ・・・
俺の給金だって多いわけじゃねえからな」
「大丈夫ですよ、知り合いに農家やってる人がいますから、お米や野菜なら、
タダで分けてもらえますから」
「漁師の人にも知り合いいますし、牧場やってる人も知り合いにいますし・・・」
「小春の交友関係って広いんだな・・・妖怪まで連れてくるなんて凄すぎないか?」
「困っ時に、知り合いが多いと得ですね」
つづく。
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