第18話 舅優作


 エリは義父がただの汚らわしい男のはしくれだと分って、夫がいない時には気が気では無いので。そんな時には岐阜の実家に身を寄せていた。田村家も最近は副業を複数抱えていた。蚕業の他には小作農家に金貸しも始めた。こんな事も有り生活は安定していた。


 それでも…どうしても帰らなければいけない用事が出来た。姑が無事に退院出来たのだが、かといって直ぐに何から何まで出来る訳も無いので、家に帰って姑の介護が待っている。


 それでも…これでエリは安心した。いくら何でも姑がいるのに手は出さないだろう。それから……夫の清もいつもいつも仕事で外泊している訳ではない。


 本当は舅の顔を見るのも嫌だったが、1歳過ぎの梨香子も「おうち……おうち……」とせがむので、重い腰を上げたエリだった。梨香子にすれば家に帰ればお金に物言わせどんな玩具でもあるので、こんな貧乏地主の家では退屈で仕方がないのだ。


 だが、折角退院の許可が下りたというのに、姑は薬のせいなのかよく眠る。先生から過眠症だと言われた。先生がおっしゃるには薬の副作用らしい。睡眠薬で眠らせているのかと、思うぐらいよく眠る。


 一方の舅はといえば、以前は政界入りを果たしていたが、体調が悪かった事も有り引退していた。だから今は無職と言っても過言ではない。

 地主と言っても口で厳しく小作人に、「不良品を出すな!」と怒鳴るくらいで仕事らしい仕事などない。小作人たちが作物を作ってくれるからだ。あと副業は息子が飛び回ってくれている。


 健康優良体の舅は姑が眠りについているのを見計らって、またしてもエリに近づいて来た。またエリにしてもしょっちゅう里に帰る訳にも行かない。やる事は山積みだ。家族の三度三度の食事に洗濯。昔は全部手洗いだったので1日仕事だ。幾ら使用人がいると言ってもそうはいかない。ましてや、子守はエリがしなくてはならない。


 ある日の事、梨香子がお腹を空かせて泣くので、子供部屋に入りお乳を飲ませていると、またしても優作がこっそりと忍び足でやって来た。


 やっと梨香子を寝かせつけて部屋を出ようとすると、優作が勢い良く部屋に入って来るなり一気にエリの後ろに回り襲いかかって来た。


使用人たちは皆出払っているその隙を狙って襲って来たのだ。


「ヤッ止めて下さい。ヤ ヤッヤメテ―――ッ!」

 

 逃げ惑うエリ。だが、転んでしまい捕まってしまった。とうとう抵抗虚しく目をギラギラ血走らせ、ただの獣となった優作は今度こそは、この美しい若いエリを思いっきり楽しもうと力の限り押さえつけて、着物を剝ぎ取り半裸状態のエリとやっとの事念願だった行為に及ぼうとしている。


 するとその時障子戸がス―――ッと開いた。それは姑カヨだった。

 

「あなた!何て事をしているのですか、はしたない。エリさん早く着物を着なさい」


「ううん!もう折角良い所だったのに……お前みたいな何の取り柄も無い女が偉そうに。フン!婚儀の頃は織物問屋のお嬢様で持参金で良い思いも出来たが、その後オヤジさんが亡くなってからと言うもの、跡継ぎの弟の出来が悪くて、こっちがかなりの支援をしてやった。その恩も忘れて偉そうに……文句があるのなら言ってみろ。俺に盾突けた義理か、さっさと出て行け!この金食い虫が!」


「……それでも…エリは清のお嫁さん。なんて事をウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァ~~~ン😭ワァ~~~ン」


「うるさい!折角良い思いが出来ると思ったのに……清には言うなよ」

 そう言うと尚もエリを押さえ付け行為に及ぼうとする優作。


「お母様……どうか……どうか……タッ助けてください!」


「あなた……どうか……お止め下さい!」


「何をぬかすか、さっさと出て行け!」

 そう言うと妻カヨを蹴飛ばした。


 こうして…エリは抵抗虚しく獣と化した巨体の舅の剛力には勝てず、犯されてしまった。


「ウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァ~~~ン😭ワァ~~~ン😭」

 こんな獣に身を任せた自分を呪い延々と泣くエリ。


 一方の姑カヨはこんな汚い男の正体をまざまざと見せ付けられ、更には絹の様な美しい肢体のエリに強い嫉妬の炎を燃やしながらも、愛する清の妻であることと可愛い孫梨香子の母には変わりないので、憎む事も出来ないのであった。


 だが、一つだけハッキリした事が有った。この男優作は生きているのに値しない卑劣で最低の男である事だけは今ハッキリ分かった。息子清の手腕で十分家は回って行く。こんな獣など……生かしておく必要がどこに有るのか?


「今までもこんな体の弱い何の取り柄も無い私を、追い出したいばかりに、散々屈辱を辛酸を舐めさせられて来た。それでも弟が不出来で援助をして貰わなければいけなかったので、どんな事にも耐えて来た。ある時など芸者との本番をわざと目の前で見せ付けられた事が有った。アイツの汚い仕打ちに絶えて来れたのも息子清が大きくなり、跡を継いだ折には、こっちが今までの復讐をしてやろうと思っていたから絶えられたのだ。今に見ておれ!」


 まぁ……金が腐る程有って……最近まで政治家の要職にも就いていたので、自分中心に地球が回っているを地で行く豪放磊落で、思い上がりの塊の、馬鹿に付ける薬はないの典型的男だった。だから……女を女とも思わない幾らでも替えの有るオモチャぐらいにしか思ていない最低男だ。


 やがて恐ろしい事件の幕開けが………?









     

















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