第13話生みの苦しみ、書けない苦しみ

浜野は天城を連れて、会社の休憩室に来た。

「どうしたんですか浜野さん!」

「お前、今文章が書けていないんだろ?」

天城はギクリという顔をした。

「ごまかすな、ちゃんと話せばおれが相談に乗ってやるよ。」

普段の素っ気ない態度とは裏腹に面倒見のいい一面を見せた浜野、天城は胸に閉まった苦しみを明かした。

「おれはいつも、肝心な時に筆が止まってしまうんだ……。おかげで賞レースの締め切りに間に合わなかったこともあった、おれは小説家に向いてないんじゃないかって考えたこともあった。」

「なるほど……、確かに小説家にとって書けなくなるのは致命的だな…。だけどスランプを乗り越えてこそ、いい作品が書けるんだ。」

「わかっているけど……、一度もうダメだと思うと何も考えられなくて…。」

「それならダメだと思うなっ!!」

突然浜野が荒げた声で言った。天城はドキッとしてそのまま呆然となった…。

「いいか、プロでもアマでも作家は書き続けることしかできない!何度も賞レースに落ちようが、筆を止めてはいけないんだよ!」

「浜野さん……。」

「くじけそうになったら、オレがついてる!だから作品を必ず完成させるんだ!」

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