第10話落ちぶれの経緯(3)

昨夜から天城は周藤と児童小説作品部との間に何があったのか気になった天城は、昼食の時間に社員食堂で渡辺に思い切って質問してみた。

「ねぇ、理真さんが周藤さんのこと裏切り者って言っていたけど、どういうこと?」

「えっ!?なんなの急に!?」

「なんか、周藤さんっていい作家なのに理真や浜野が嫌っているようなんだ。一体、どうしてだろう?」

渡辺は橋を置くと、周りをキョロキョロしながら天城に小声で

「周藤さんの『十二支兄妹』って作品が、大川児童文庫の作品だったことは知ってるよね?」

天城は知っていた、初刊を買った時そうだったからだ。

「それで『十二支兄妹』は絶大な人気が出て、やがてコミカライズしてみないかという企画が出た。」

コミカライズとは、漫画化という意味だ。

「それで漫画部のkuriさんが書くことになったんだ。そしたら一気に人気が出て、それを見た上がいっそこのまま漫画にしてしまおうと言い出したんだ…。」

その件は天城も知っていた、児童小説で人気が出た『十二支兄妹』はコミカライズされてから3ヶ月後に、少女漫画として出版されることになったのだ。

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