第9話落ちぶれの経緯(2)

それから共作の日々で夜遅くまで大川出版社に残っていた天城。時刻は午後七時過ぎ、小休憩しようと社内の自販機でコーヒーを買っていた時、周藤と会った。

「天城さん、こんにちわ。」

「周藤先生、どうも…」

「作品の方はどう?順調?」

「はい、少しずつではありますが……」

「ふふ、それはよかったわ。そうだ!来月新作が発売されるんだけど、もしよかったら原稿を見せてあげようかしら?」

「ええっ!?マジっすか!!いや、ネタバレになるので今回は遠慮します……。」

「そう、でも私の作品のファンだということは、素直に嬉しいわ。」

ここで天城はあることに気づいた。

「あれ?周藤先生って確か、児童小説作品でデビューしたんじゃなかったけ?」

「ええ、そうよ。漫画を書いているのはkuriだけど、漫画の原作は私よ。」

「何しているのですか?」

理真が険しい顔で質問してきた。

「あぁ、理真ちゃん!今天城くんと話していたところよ。」

「天城さん、仕事が残っています。早く行きましょう。」

「えっ、どうしたの急に……?」

「いいから早く!あんな裏切り者から離れて!」

理真は強引に天城の腕を引っぱると、そのまま理真に引きずられてしまった…。

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