第5話共著

こうして天城は、大川出版社の児童小説作品部にて作家三人による共著に挑戦した。

タイトルは「ユーモニクスの扉」、これは街に突如現れた扉をめぐり、生まれ育ちの違う七人の子どもたちが扉の秘密を追い求める冒険をする物語である。

「ここにサスペンスな謎を入れて欲しいんだ。」

「なぁ、ここの展開はこれでいいか?」

「ねぇ、この子がこの子を好きになるというのは…」

三人よれば文殊の知恵というが、小説作品はそうはいかない。なにせ三人とも書いているジャンルが違うので、時に先の展開をどうするかでケンカした。

「おい!この先は船が沈んでパニックになるとこだろ?なんで舞台が陸地なんだよ!?」

「えー、別に陸地でもいいじゃないか!」

「おい、それよりもあの子が離脱するのがおかしいよ!せっかくこの子といい感じだったのに…」

「仲間の衝突は冒険に付き物だろ?これは恋愛小説じゃない!」

「それより、ここの謎はどうするんだよ!?」

そのせいでこの部署はやかましくて、さらに周りから嫌われた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る