第4話入社

大川出版社を出た城と沙奈は、駅前のイタリアンカフェにて食事をしていた。パスタをフォークで巻取りながら沙奈は言った。

「君さえよければ、私の推薦で雇うことができる。君は文系大学卒だし」

「伯父さん、こんなコネ入社できませんよ…。それにいくらおれが文系大卒だからって、最近は全く書けてないし…。」

「君の原稿を見せてもらったけど、私は本当にすばらしいと思った。しかし小説賞を取ろうが取れまいが、簡単に売れないのがこの業界だからね…」

ここで沙奈は自分の本心を語った。

「だから私は新しい小説の形を作ろうと思うんだ。」

「新しい小説の形……?」

「あぁ、複数人の作者が力を合わせて、新しい作品を創るんだ。そのためにはミステリー要素がある君の文章力が必要なんだ。」

新しい小説の形……、この言葉に天城は心惹かれた。

そして一週間後に、天城は大川出版社へ入社するのだった…。


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