第3話がけっぷち

伯父さんもとい沙奈部長は、天城に二人の男を紹介した。メガネをかけている方は浜野正志はまのしょうじ、太っている方は渡辺光夫わたなべみつおという。

「沙奈さん、いくら部署が大ピンチだからって、自分の甥っ子を雇うのはどうかと…」

浜野は沙奈に文句を言った。

「仕方ないよ、コンテストから外されたんだからさ。いつまでも新人が来ないんだ」

ここで天城が手を上げて二人に質問した。

「あの、コンテストから外されたというのはどういうことですか?」

「大川出版社が小説賞を出しているのは知ってるな?」

天城は頷いた、そのミステリー部門に応募したことがある、結果は落選してしまったが…。

「その小説賞から児童小説作品が外されてしまったんだ、つまりここには新人作家が一人も来ないということ。」

「今はぼくと浜野さんで書いている、だけど一度もヒット作を出してないんだよね…。」

予想以上の大ピンチな状況に、天城は言葉が出なかった。

それからしばらく仕事場を見学していた天城は、ただつらい現場を目の当たりにしただけだった…。





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