第5話 息子の英語力とは
我が家の息子は、私の母校である商業高校に在籍中で、ただ今2年生。春には進級し進路も決めなければならない。本人は、県外に進学を希望している。まぁ、私も反対はしないのだが、少し寂しがり屋さんなのが気にかかるところ。
県外で1人暮らしできるのかどうか。そこも心配なところ。
でも本人の希望は叶えてやりたいところでもある。
今までは、息子の欲しいものをネット通販で購入するときは、私名義でジャングルの奥地から購入していた。だが、今回は違う街から購入したいという。
まぁ、1人暮らしの練習も兼ねて自分で購入させることにした。
初めてという事もあり、私に確認しながら自分のスマホで手順を進めていく。
商品をカートに入れ、支払いを代金引換にし、代金引換の意味を私に確認しながら進めていった。無事に購入手続きが終わると満足げにドヤ顔をしてみせ、商品が届くのを心待ちにしていた。
商品が届いたのは翌々日、お年玉をはたき、買ったものはスニーカー。
受け取るとすぐに、「ねぇねぇ、開けていい?」と目をキラキラさせながら聞いてくる。
「あんたさんが買ったもんだけん、開けたかったら開けらっしゃい。」
(あなたが買ったものだから、開けたかったら開けなさい。)
と私が言うのと同時に段ボールを嬉しそうに開けていた。
「ちょっこし履いてみるけん。」
(ちょっと履いてみるね。)
そう言ってスニーカーの中の詰め物を出し、片足履いてみると。
「あら?あれ?サイズが違うけん?なしてだ?」
(あら?あれ?サイズが違うよ?どうして?)
と何やら大慌て。
「どげしたかね?」
(どうしたの?)
と見かねた祖母が声をかけた。すると、
「足の幅がチョー狭い。長さも短い。足が呼吸困難で死にそうだ。」と、いう。
「サイズ間違えて注文してない?」と私がいうと、
「いや、しゃんことない。ちゃんと26センチ注文したに。」
(いや、そんなことない。ちゃんと26センチ注文した。)
と半分ふてている。
もう片方のスニーカーを私が手に取り、よく見ると、確かに幅が狭い。何やら細長いのだ。私がスニーカーについているタグを確認すると、タグにはウィメンズと記載されていた。
「あんたさんさ、これ女性ものじゃない?ウィメンズって女性ものの意味だないかいなぁ。」
(あなたさ、これ女性もののじゃない?ウィメンズって女性ものの意味じゃないかな?)
「は????」と眉間にしわを寄せつつ目を見開いて私を見つめる息子さん。
「ググってみない。」
(ググってみなさい。)
と私が言うと。すぐさまスマホで確認し始めた。
「ほんとだ。女性ものだ」
「でも、メンズってあったけん。男物だと思っとった。」
(でも、メンズってあったから。男物だと思ってた。)
と肩を落とす息子。
「じゃぁ、その前についとるウィは何だと思っとったかね?」
(じゃぁ、その前についてるウィは何だと思ってたの?)
と私が聞き返すと、息子は大きく手を広げ
「ウィーメーンズ。私達は男だ!って意味だと思っとった。」
(ウィーメーンズ。私達は男だ!って意味だと思ってた。)
と胸を張って豪語した。
「あんたねぇ・・・・」少々あきれ顔の私だったが、息子の目はマジだった。
息子のその顔を見て、私も祖母ものたうちまわって笑ってしまった。
「そりゃ、あんたさん、足のがいな女の人のスニーカーだねぇ。幅が狭いのも納得だわ」
(そりゃ、あなた、足が大きい女の人のスニーカーだねぇ。幅が狭いのも納得だわ)
と、私が言い始めると同時に息子は返品手続きを検索し始めた。
「今回はいい勉強になりました。」
と言いながら肩を落とし返品準備を始める息子。
「今度は間違えるじゃないよ。」
「わかっとるけん。もう間違えらんし!」
(わかってます。もう間違えないし!)
とぶつぶつ言いながら梱包していた。
息子よ、母も高校時代は英語が得意ではなかった。それを受け継いでしまったか。商業高校は普通高校と英語の授業が違うもんね、ってことにしとくか。
では、みなさんご一緒に! ウィーメーンズ!!
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