第2話 うちんちの後期高齢者

強面の父が亡くなって8年目、母も80回目の誕生日を迎えた。

 この母には、幼い頃から今はなき貸本屋へ連れて行かれ、私はマンガ好きになった。貸本屋にある、あらゆる分野のマンガを読み倒し、私の中にある知識の5割以上はマンガからの吸収と言っても過言ではない。

 母はその後、ゲームにハマり、スーパーファミコンに始まりニンテンドー3DSまで全てのゲーム機を手に入れ孫と共にゲームにいそしんできた。孫達がiPhoneを手にする様になると、母も父が亡くなったのを機にらくらくホンからiPhoneに機種変更した。理由は、【ゲームがシャカシャカできらんけん】(ゲームがサクサクできないから)だそうで・・・

いまや、iPhoneでのゲームにハマりまくっては、薄暗い中夢中になってやっている。そして、私に叱られるのだ。

「しゃん、暗んこんだとこでやっとーだないわね。」

(そんな暗いところでやらなくていいでしょう。)

すると、

「指先の運動は、認知症予防にえーかと思って。」

(指先の運動は、認知症予防にいいかと思ったのよ。)

「編み物しちょって、目が疲れたけん気分転換にゲームしちょった。」

(編み物してて、目が疲れたから気分転換にゲームしてたのよ。)

が毎度の言い訳。

それは余計に目を酷使してるんじゃないかえ?

認知症予防は編み物でいいんじゃないかい?

物には限度ってものがあるからね。

お気をつけあそばせ。


まぁ、寝る前に自分の部屋でTVの大画面でスーパーマリオをやってるのは見て見ぬふりしといてあげるわ。ばーちゃんのお楽しみだもんね。

そんなうちんちの後期高齢者。

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