第3話

女は体洗い用のタワシのコーナーを隈なく見て回った結果、シルクのような肌触りのするタワシと適当な長さの柄がタワシに付いていて背中を洗うのに重宝するひと品の合計ふた品を買った。

男は女との絆を深めるために、やはり同じふた品を買った。

店を出てからすぐに女が言った。「 お腹空いたわね。」

「 そうだね。俺は今、カレーライスが食べたいな。」

「 私はお寿司が食べたいわ。」

「 じゃあ、お互いの意見を尊重してオレンジジュースを飲みに行こう。」

「 どうしてそうなるの? オレンジジュースだけでは物足りないわ。」

「 じゃあ、キミの幸せのためにお寿司を食べに行くから、さ来世くらいまでは恩に着てよ。」

「 おかしなことを言うわね、顔に似合って。そんなあなたを好きになったわ。」

「 俺はキミを知る前からキミが好きで好きで堪らなかったよ。」

それから、二人は顔を見合わせた後、長い間笑い合った。

余程気が合ったのであろう。二人はやがて結婚した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

男女関係 小説太郎 @shousetutarou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る