第57話 八王子のある配信者の動画とそのコメ欄(動画コメ欄SIDE)

「すみませんが貴方……もしかしてニンジャマスター?」

『すまんが今は話しかけないでくれ』


「水飲みますか?」

『ああ……それは助かる』


 そう言って忍者風のフードを外した男がペットボトルの水を飲む。


『今は5階層だよな?』

「ええ、そうです」


『じゃあ、もう少しで出口だな。水をありがとう。感謝する』

「あ、待ってくださいよ」


 黒装束の男が走り出して、その後をもう一人が追いかけ始めた。



≪というわけでどうも、こんばんわ。皆さん、蓬田清十郎よだせいじゅうろうです。今日も俺の配信を見てくれてありがとう。

もうご存知かと思いますが、俺は先日八王子ダンジョンの5階でニンジャマスターを目撃しました≫


【もちろん見たぞ】

【生ニンジャマスターはどうだった】

【長壁さんとセーラを除けば一番近くまでニンジャマスターに寄った男】


≪特別ガタイが良いってわけでもないし、水呑んでる時の顔は普通にそこらにいるオッサンみたいだったんだけどさ≫


【お前、それは言い過ぎだろ】

【ニンジャマスターに向かって何言ってんだ】

【無礼者め!】

【棟梁殿に何という言い草】

【これは打ち首待ったなしですわ】


≪いや、聞けって。

近くにいるとなんていうか服越しでもオーラがあった。プロスポーツ選手とかみたいだった。

動画で見るより1000倍雰囲気ある。あれは生で見ないと分らん≫


【そういうもんか】

【生で見ないと分らんと言われてもなー】

【会えないんだから仕方ないだろ。レアキャラ過ぎるんだわ】


≪そう言う意味では会えてよかった。25階層とか行く人ってあんな風になるんだな≫


【戦闘とかはどうだった】

【そうそう、それよ】


≪帰り道の巨大蛇サイドワインダーのことだろ。俺でもあの位は倒せるんだけどさ。刀抜いて投げただけで、6匹の首が一瞬で飛んだからな≫


【強すぎる】

【お手軽過ぎて草】

【RPGの戦うコマンド並みのお手軽さで敵を倒しておる】


≪あと、刀とか剣とか4本も持ってた≫


【弁慶?】

【武器コレクターってわけじゃないんだろうけど】

【ていうか、武器ってどこで手に入るんだよ。ダンジョンの深層とかに武器屋とかあるのか?】

【ドロップアイテム持っていったら売ってくれるとか】

【髭の親爺とかがいるんだな。今日は何にする?見たいな感じで】


【ところで、あの日のニンジャマスター、なんかすごい疲れてたよね】


≪それはそう。マジでだいぶ疲れてる感じだった≫


【あのドラゴンを秒殺するニンジャマスターが疲れてるとか……どういう状況なんだよ】

【何と戦ったんだろうな】

【つくづく配信してくれないのが惜しまれる】

【どこまで潜っていて何をみているんだろうなあ、まさに世界の深淵だろ】


【今回もドローンは無かったよな】

【何しにダンジョンに行ってんだろう。謎だわ】

【完全無言配信で良いからドローンだけでも連れて行ってほしい】


≪そして、スペシャルなお知らせ!今度、俺はセーラと長壁さんのチャンネルとコラボすることになりました≫


【おおお、マジか】

【これはうらやましい】

【いーな、いーな!!】

【俺も混ざりたい】


≪疲れていたところで最初に発見したからかな。なんかそういう声をかけてもらえた≫


【ツイてやがるな】

【で、生ニンジャマスターとまた会えるわけ?】


≪そこまでははっきり伝えられてないけど……ワンチャンあるかもと期待はしている≫


【クッソ楽しみにしてるわ】

【セーラとかのチャンネルでもニンジャマスター自身はあんまり出てこないからな】

【これはレアなものが見れそうだ。楽しみにしてる】


【それにあの二人に会えるのも結構いいよな】

【ボーイッシュとお嬢様の美少女コンビだもんね】


【羨ましい。お前に天罰が下ることの祈ってる】

【そうだ。いいことがあった分、不幸も振り注ぐべきだ】



 4章は此処までです。

 続きはちょっとプロット考えるのでお待ちください。

 家の場所を割られるエピソードとか、もう一つの勢力のアプローチとか色々考えてるんですけど、ちょっとまだ纏まってないので。


 他にも色々と書いてたり、一部は書籍化企画が進んでますので、よかったらそっちの方も読んでみてください。

 

 ここまで読んでくれた皆さまに百万の感謝を!

 引き続き応援いただけると嬉しいです。

 

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