第22話 弟子の成長・下

【おお!スゲェ!】

【美少女二人という時点ですでに尊い】

【今後も二人ペアで活動すんの?】


【つーかめっちゃ強くなってるやん】

【これはニンジャマスターの薫陶の賜物】


【長壁さん!その氷はなんなんだ。必殺技?必殺技なのか?】

【俺も弟子入りさせてくれ】


【というかニンジャマスター本人はいねえのかよ?】

【棟梁殿はそう簡単に姿を見せぬものぞ】

【ていうか、ソードフィッシュ倒す動画ってほとんど見たこと無い。良いものを見た】


 コメントがズラズラと流れていく。


「どうですか、師匠!」

「やりましわたわ!」


 二人がドヤ顔で言うが……


「いや……凄いな。いつの間に?」


 ここ5日間ほど連絡が無かったのはこんなことしていたからなのか。

 正直言ってソードフィッシュは楽な相手じゃないから、戦るなら俺が付き添いたかったところだ。

 まあ勝ったからいいのかもしれないんだが。


「師匠のおかげです!」

「そのとおりですわ。草ヶ部様」


「いや……俺は何もしてないぞ」


 確かに練習にはつきあっていたが、ここまで強くなってるとは思わなかった。 

 勝手に成長したって感じにしか思えん。


「いえ、そんなことはありません。師匠の動きのすべてが最高のお手本です」

「あのモンスターを倒せるということを実際に見ると気の持ち様が変わるのです」

 

「それに師匠に恥じない私でありたいので!」

「強くならなくては深層にお供出来ませんから……草ヶ部様の行かれる場所は何処であろうとご一緒したいです」


 二人とも深層に行けるかは別として強くなるだろうとは思っていた。

 しかしこんなに早くソードフィッシュを倒せるとは。


「セラちゃんが一緒だと心強いよ」

「長壁さんもいい動きでしたわ。さすがね」


 そう言って二人が頷き合う。

 仲がいいのはいいことではある、ただ。


「ただ、次はこういうことをやる時は俺に一言言ってくれ。ダンジョンでは負ければ死だ」


 強くなったと思った時ほど落とし穴がある。

 油断したり、無理をしたりして手痛い傷を負う……これは俺も勿論経験はある。


「あの……はい、すみません。草ヶ部様」

「すみませんでした、師匠」


 二人がしゅんとした顔で俯く……ちょっと言い過ぎたか。


「だが、強い奴に挑まないと強くはなれない。よくやったな」


 RPGなんて、子供のころにやったドラゴン・ブラストシリーズくらいだが、現実に経験値は無いが、経験値というシステムはよくできている。

 自分が強くなればなるほど、強い敵と戦わないとレベルアップできない。

 そして強い敵を倒すことは大きな経験になる。


「はい!師匠」

「草ヶ部様……私を心配してくださるんですね。あの、とてもそのお言葉、嬉しいです」


 一転元気よく長壁さんが言って、蘭城さんはなにやら意味深な口調で俺の手を取った。


「師匠!よかったら、あの……いっぱい褒めてください!あたし、結構頑張ったんです!」

「ああ…‥よくやった。あのチルタを短期間でここまで使いこなすとは大したもんだよ」


 相性がいいんだろうというのもあるが、ここまで使いこなしが早いとは思わなかった。

 というか、カンも鋭いんだろうな。俺は天都を使いこなすまでに結構時間がかかったんだが……恐るべき順応性の高さだ。


「また褒めていただけるように精進します!」


 嬉しそうに長壁さんが言う。

 

「私には祝福のハグをお願いします」 

「ここで?」


 蘭城さんが立ち上がって両手を広げるが……カフェの店内だからそれなりに人がいる。

 流石にここではどうだろうか。


「……では、後ほどで」


 ちょっと不満げな顔をして蘭城さんがまたソファに座った。



 続きは昼に更新します。


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