ドロップアイテムを使って会社を作ろう
第18話 蘭城さんの父親・上
2章開始します。
引き続き応援よろしくお願いします
◆
あの後、長壁さんのSNSアカウントは色々と大変だったようだが……幸いにもというべきか、俺には特に累は及ばなかった。
彼女自身がニンジャマスターじゃないことはバレたというか知られたわけだが……それでフォロワーが減ったかというとそういうこともないらしい。
なんでも、俺というかニンジャマスターに繋がっているということで、蘭城さんも長壁さんもフォロワーが増えたそうだ。
なんか、面倒ごとを押し付けている気がするが、このくらいは勘弁してもらおう
というか、八王子で蘭城さんを助けてから1週間しか経っていない。
体感時間ではなんか1か月くらいは経った気がするぞ。
今までなら朝起きて借金の額を考えて嫌な気分になるところだが、それもなくなった。
これもきちんと文書になったが、それでも今一つ実感がない。
戦わないといけないというのと、借金のことがいつも頭に中にあった。
そのことを何も考えなくていい朝は久しぶりだ。
昔見た映画で、何十年も収監されていた男が釈放されても居場所ややることがなくて娑婆になじめないなんて場面があったが、そんな感じだ。
何をしたもんだろうか。
昨日の二人の戦い方を思い出す。稽古の付け方でも考えておくべきだろうか……柄にもないな。
スマホには長壁さんからは、今日は一人で頑張りますという絵文字付きのメッセージが来ていた。
そんなことを考えていたら、インターホンが鳴った。
「今出るよ。待ってくれ」
一声かけてドアを開けると木林が立っていた。
◆
いつも通り一部の隙も無くスーツを着こなしているが、珍しく一人だ。
いつも蘭城さんに付き従っているから、二人ペアのいうイメージが強い。
「おはようございます、草ヶ部様」
そう言ってビシッとした動作で木林が頭を下げてくれた。
立ち居振る舞いを見ているとこいつもかなり強い気がする。ボディーガードも兼ねているのかもしれない。
「今日はあんた独りなんだな」
「はい、今日はお嬢様は大学です」
木林が答えてくれた。
そういえば今は4月だから世間的には学校がある時期だよな。
「で、今日は何の用だ?」
「草ヶ部様。今日はお手数ですが我が主に会っていただきたい」
「主?」
「蘭城隆三様です」
木林が言う。
「……何の用だ?」
蘭城隆三が巨大財閥である蘭城財閥の社長だってことくらいは俺でも知っている。
戦うのとは別の意味で緊張する話だな。
◆
いつもの車で走ること30分ほど。
なんでも八王子の郊外に別荘を持ってるらしいが……細い山道を走って着いた家は、森の中に広い庭を持つ瀟洒な住宅って感じの白い壁の洋風の平屋建てだった。
サッカーが余裕で出来そうな広々とした庭は完璧に手入れされている。
ていうか、此処は城か何かか?
「ではここで暫くお待ちください」
通された部屋は広いホールだった。
高い天井を見上げると天窓から明るい太陽の光が差し込んできている。
白と茶色にシンプルに塗り分けられた壁には大き目の風景画が掛けられていた。
ベージュ絨毯の上に置かれたソファや机もこれまたシンプルなデザインだがつくりの上質さは何となく感じられた。
出てきたコーヒーも信じがたいほどに美味しい。
コーヒーに疎い俺には説明できないが、とりあえず美味いことくらいは分かる。
暫く待っているとデカいドアが音を立てて開いて一人の男が入ってきた。
後ろには木林が従っている。
さすがの俺でも新聞やテレビでも見たことがある……蘭城隆三だ。
◆
続きは昼に更新します。
面白いと思っていただけましたら、ブックマークや、下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価をしてくださると創作の励みになります。
感想とか頂けるととても喜びます。
応援よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます