第十六話「いつか絶対に」
歌劇同好会が設立されてから一週間、設立者であるティーナはリーダーとして忙しくしていた。
どうやら合唱クラブの生徒に呼吸法や発声練習法を教わったらしく、現在の彼女はそれらをノートにまとめているところだ。
差し入れとして紅茶を淹れて持っていくと、ちょうど作業が終わったところだった。
「終わったー!」
「お疲れ様、大丈夫?」
「えぇ、結構疲れるけど楽しいわよ」
「それなら良かった」
無茶をして倒れない程度に今後も頑張って欲しい。紅茶を一口啜ったエリナは突如不敵な笑みを浮かべた。
「ユイカも覚悟しときなさいよ」
「何を?」
「今度のクラブでユリアーネ様から話が行くと思うけど」
そんな前置きの後、彼女はとんでもないことを口にした。
「歌劇の台本、アンタ達文芸クラブに依頼することにしたのよ」
「へぇ――うっそぉ!?」
一瞬そのまま流しかけた私は思わず叫んだ。
「反応少し遅くない?」
苦笑しているエリナに私は興奮気味に尋ねる。
「じゃあ、もしかしたらこの先私が考えた物語をエリナが演じてくれることもあるかもしれないってこと!?」
「かもじゃない、絶対あるわ」
彼女はそう断言した。
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