第2話 星、欲しい

それにしても外が騒がしい。エアードームか、ただ跳び跳ねるだけなのに楽しそうだ。誰が考え出したのか、大したもんだ。あんなに子供たちがボンボンしているのに、いまにも倒れそうで倒れないものだ。

その上、結構な人気ものだ。どんなイベント会場でもレギュラーメンバーになっている。風船もだけれど、ポワンポワンするものは心地よい。これは同意する。

あ、風船割れた。破裂音とともに一気にぺしゃんこ。ふふん、おっとここは笑っちゃいけないとこだ。これがもしエアードームのエアーだったら…ムフフおっと、ついブラックな想像をしてしまった。

「なぁ、星、いつなくなったのかな。」

『さっき、それスルーされた。』

ふん

「なくなっているのに気づいたのが、休み明けの月曜日で金曜日はあったかな?そうだ防犯カメラに映ってないかな?」

『あれ、一番上にあるから普段からよく見えへん。防犯カメラはあかん。土日の休みに設備点検があって電気系統はみんな切られとる。そやさかい、映像は残ってへん。』

「もしかして、最初から置き忘れ?」

『はぁ?星、置いたの君やろが。ぼけとんのか。置いた置いたって自慢しとったやん。』

ツリーを設置したのは生徒会と何人かの教員。その時点で誰かが何か細工したのか?

「ううん、確かに置いた。でもあれって、いつもの星だったのかな?今年初めてツリーに触ったから、いつもの年のと同じかどうかもわからない。」

『なんか言い出しよった。次は何が出るか?』

腕組みして考え出してしまった。いつまでかかるのだろうか、もう夕方だ。夕日がきれい、明日は天気。

じゃない、大量の風船だ、風船を配っていた係員が手を離したみたいだ。風船が木に引っかかって、大騒ぎになっている。

高い竹馬に乗った大道芸人が四苦八苦して取っている。フワフワ舞い上がった風船はやたらと赤が多い。個人的には黄色のジェット風船が好きだ。心が踊る。

「わかった、星に細工がしてあって、時間が経ったら消えるようになってたんだ。」

はい、どこかで聞いたことのある説が出てきましたよ。

『ドライアイスはあかんで。』

「ん!氷やわ。」

もっとあかんのきた。

「あ、でも氷やったら小さくなっていくのを誰かに見られたら終わりだ、それに周りが濡れる。じゃ、一気に消えるものか。」

もはや、入れ替え説で定着。違うと思う、絶対違う。窓の外をぼんやりと見ていたら、視線を感じた。

「そぅか…鹿太郎、ヒントくれてたんだ。あれね、風船、星形風船が割れて消えたんだ。」

うんうん、と一人で納得して頷いている。

『へ?そないなヒント、出してまへん。ただ暇やったから見とっただけやねん。それに風船やったら、あんさんが置いた時にボヨボヨしてるからいくらなんでもわかるやろ。』

あからさまに呆れ顔をするのは不憫なので、なんとか堪えた。そのうち気づくだろう。

「だめだ。風船やったら、金色がない。」

あ、そっちですか。なかなか思考回路が面白い。コメントしづらい。

『……』

「……では最初から、本物ということで。」

一周まわって元に戻りました。ふー。

「星に紐をつけといて下から引っ張った、ていうのはどうだ。」

『いくら作り物いうたかて、もみの木の葉っぱ、なめたら痛い目あうで。枝が横に広がってるから、引っ張りにくい。』

「ましてや土日は工事関係者がウロウロしてたから、引っ張ってたら見つかる。」

ほんとうわからないのか、本気で考えているのか、不思議だ。しょうがない教えてやるか。







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