第8話 急すぎません?☆


「………う…ンンっ!」


角度を変えられて、だんだんキスが深くなる。


この姿勢辛いし、力入らないし、どうすれば…と眼を開けると、魔王と目が合う。


「ふむ、少し姿勢が辛いか。」


何か感じ取ったのか、俺を抱え上げると何やら移動を始める。入ってきた扉の反対側にまた扉があり、開くとそこはベッドルームのようだった。



生々しいな…っ!!

こちとらまだ心の準備が出来てないんだぞ!


「こちらなら心配ない。なに、夜までには親元に帰してやる。繋がりさえもてば良いのだからな。」


ベッドに下ろされ、魔王も上着を脱いで迫ってくる。


俺もいつの間にか上のボタンが外れており、素肌が露呈していた。


「…!やっ……!んー…っ」


シャツを広げられ、素肌が空気に触れる不安に思わず拒絶反応が出るも、また深いキスで口は閉ざされる。


魔王の手が胸を探り始め、突起を見つけてクリクリと指の腹でいじられる。

何とも言えず、少しくすぐったい感じもするが、唇は離れず、更に上顎を舐められる。



なんだこれ…気持ちい……っ!



ぞくぞくと背筋を通り、脚先がびくっと動いてしまう。


「キスが好きなんだな。感度も良さそうだ。初めてか?」



「…ノーコメントで…っうあっ!!あぁ…!」



乳首を爪で弾かれる。


「余裕がありそうだな。ほら、ここの突起、こんなに赤くなってるぞ。…舐めてやる」


「あ…っ!やぁ……ぅあっ!!」


初めてすぎる感覚でよく分からないが、生暖かいもので乳首の先端が転がすように覆われており、自分の声が制御出来なくなった。


「反対側も弄ってやるから安心しろ。」


「あ…あぁ!やだ……っ!やめ…て……っ!!」



狙いを定め、逆も責められて、先ほどまで舐められていた方はまた、指先で遊ばれている。

たまに爪で弾かれるのも刺激になり、自分の中心に熱が溜まっていくのがわかる。



「……っ!」


やばい。本気で気持ちよすぎる!!



「全身舐めてやるから、……そこは最後にしてやる。」


「ふぇ…?!な、や……っ!!」


中心に布越しに触れられるも、すぐに手を引いてしまう。

耳に舌を入れられ、吸われ、耳朶を甘噛みされる。

首筋にも唇を落とし、舐められる。



「指先までキレイだな。村育ちにしては、だが。」


そう言って指先、腕、腋窩全て舐められ、甘噛みされる。


「や、やだ……って!」



「……?番になるのだろう?お互いの体の相性も見ないとな…?」


ひっくり返されて背中を舐められるとぞくぞくが止まらない。腰に響くような感覚が走り、快感の渦が逃げ出せずに暴れているようだった。



「……ひっ…!そ、そこは舐めないで…!」


そのまま後ろの破れ目まで舐められていまい、羞恥で泣いてしまう。



「ひぅ…っ!い…やぁ…ぁっ!!」


「…泣くな。そうだな……魔族の声は催眠に向いているし効くからな、試してみるか…?」


「…はぇ……?なに…?」


魔王に表に返され、涙を拭われる。

既にされるがままで、抵抗などない。



「例えば、『今から舐めるところは今までの倍、感じる』」


「え…、ぁああああっ……!!!や……ダメダメっ…!……ああああっ!!」



自分の中心に舌を這わせ、思いっきり吸い上げられる。

視覚でも気絶しそうなのに…目が離せず感覚が倍になり一気に高見へと誘われる。



「……良かったみたいだな。」


魔王は舌を出し、出された白い液体を手に貯めるとそのまま俺の臀部の破れ目に塗りつけ、指を行き来させる。



「……っ!ぁ、もぅ…助けて……!…だやだ…、!」



力が入らず、声だけで抵抗するも、魔王は起き上がり、頬に唇を触れて囁く。


「……まだまだこれからだろう?番はお互いの体を繋げないと成立しない。入れてやるから、大人しく絆されてろ。」



「……っあ!何…!やっ…!」


中で指が探るように動く。

やはり抵抗があり、不快指数が上がる。


「拡げないと、怪我したら大変だしな。…このへんか……?」


「……んっ、うぇ…?」


ある1点を押すと、びくっと腰が跳ねてしまい、先走りも出てしまった。


「前立腺だ。気持ちいいところだからな。かわいい反応を見せろよ。」



「や……!あぁ!ぁ……!!…お、おさないれ…、そこやぁぁあ……イくっ……ぃ…!!!!」



絶頂し、パタパタと液が飛ぶ。


指はいつの間にか3本入っており、力も入らなくなっていた。


「…いい顔になってきたな?」


額同士をコツンと当てて、こちらを見つめてくる。



どちらとも無く、静かに唇が合わさり、直ぐに深くなる。

お互いの舌を探り、絡めて快楽を追っていると、魔王のそれが己の中に入ってきた。


舌を噛みそうだったが、彼の親指が歯と歯の間に入り、そちらを噛んでしまった。


「あと、少し…っ!」



「……、っぅ!!」


ぐぐっと押し入り、奥まで入ってくる。


髪を撫でられたり、キスをしてくれて、ようやく呼吸を思い出したくらい、圧迫感が強い。


「……そろそろいいか、動くぞ?」


「……ん。だい、じょう……ぶっ…、あ!!」


腰を固定され、引き抜かれたらまた深くなる繋がりに、されるがままだった。


腕にしがみつき、動きに合わせようとするも上手くいかない。



「俺も余裕がない……」


「あぁ…!あ、ぁ、ぁぁあ…っやだ、い、…いっちゃ…!!」


「一緒に、イクぞ…ぐっ…締まる」


「あ、いっ……!いくぅ……っ!!!」



「…………っ!!!!」




奥に打ち付けるように中に出され、番としての儀式は終了したのだった……。








お互いに息を整え、何となくベッドで抱き合っていると、不意に魔王がこちらを見つめ口を開く。



「……ユーリ…。私の名を教えよう。…ハガラスだ。」


「……ハガラス…?」


「あぁ、普段はラスと呼べ。魔族の真名は他の者には秘密だからな。この世でお前しか知らない。」



「わかりました。ラス様…。俺は…」


「調べたから知っている。ユーリ。」


「いつの間に……」


「生体認証が得意なものでな。実物を見たら名前とスキル、生い立ちはざっくり分かるものだ。」


チートじゃねぇか……

くそ、まだちょっと、普通に顔合わせるの恥ずかしいな……。


「しかし、まさか暖炉に仕込みされるとは思わなかったです、信用ないんですね、俺。」



「逃げられたくなかっただけだ。…《賢者》殿が手に入るなら、これはチャンスだったからな。許せ。あと敬語はいらないぞ。名前は人前ではそれでも良いが番になったからな。2人きりの時は呼び捨てで呼んでくれ。」



「………これが番の印…?」


「ああ、左の薬指に印が浮かんきたか。これで晴れて、番として繋がったな。」


月桂樹のような黒い葉のツタが薬指を1周している。

ラスの方にも同じ模様が付いていた。


「この指輪で隠しておくんだぞ。お前はこれから人間界でも生活するのだろう?」


「あ、ありがとう。確かに…」



ふいに目の前に現れた指輪。金の指輪で印が隠れるくらいの太さ、紫がかった黒い石が付いてる。


「私の気配が濃すぎれば、勘の鋭い人間には不信がられてしまうだろう?これがあれば印を隠せる。指輪をしていることもわからない。」



薬指にはめられた指輪を見ながら、どんな術式か気になってしまう。

きっと高度すぎて、俺には分解出来ないのだろう。

賢者は知的好奇心は強いものの、魔道士ほどの実力はない。


その後、身なりを整え、誓約書みたいなもので、お互いに行き来する時のことなど、細かい取り決めをする。

あっという間に夕刻となり、俺はしばらくは人間界にて過ごし、勇者御一行殲滅作戦を立案するために魔王城に定期的に通うことになった。



門の前まで移動し、ラスは見送りに来てくれた。

さっき俺を案内してくれた従者もいる。




「……じゃあまた2週間後、ここに来ます。」


「……あぁ。」



ここは外だし、まだ魔族の何人かは俺を信用していないだろう。とっとと、帰ろう。

そう思い、礼をしてからふいにラスと目が合う。




あれ、こんなにさっき近かったっけ………?

なんで顎に手かけてる??


俺からは完全に視覚になった従者と門番の、動揺が空気でわかる。



「ま……魔王様………?!」


「………ぇ…んっ!」



「……待っている。私の《賢者》。」



ちゅっと音がして、ようやくキスされたことが認識できた。



「………っ!!!!」


驚きと恥ずかしさで一気にラスの体を押しのける。


なんて野郎だ!!この魔王め!!!



「…こういうことは、外では禁止です……っ!!!」



「敬語はいらんと言ったのにな…」



「プライベートとは分けましょう!!次、誓約書に書き足しますからね…!!」




熱が上がり、わかりやすく赤くなっているであろう顔を、片腕で覆い、魔王を睨みつける。



迫力なんてないだろうけど。



ラスはふっと、満足そうに笑った。



こうして、俺は帰路につくのだった。

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