生物としてのヒト・食性について①

 ヒトの食性については雑食です。

 肉食でも草食でもありません。

 よって、ヴィーガニズム(完全菜食主義)については健康上、決しておすすめできません。

 体質に問題がない限りは肉を断つことは辞めたほうが良いです。

 また、肉だけを食べるということもエスキモーやイヌイットのように生で新鮮な肉と内臓、そして多めの動物性脂質を食す生活をしない限りはビタミン不足を起こすため、無理があります。

 赤身肉は国際がん研究組織(IARC)によると、「おそらく人に対して発がん性がある(グループ2A)」に分類されています。以下、同リスクグループを記載した厚労省のリンクです。

 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/kikaku29_1_siryou2_bessi2.pdf


 北極探検化のヴィルヒャムル・ステファンソンらは伝統的な極地民族と同じ食生活行うことで健康を保つことが出来ていました。帰還後、タンパク質を増やし脂質を控える食事をしたところ、強烈な便秘などの消化疾患を患いました。その治療研究によると摂取カロリーをタンパク質2割、脂質8割程度のバランスでないと健康に問題が出るようです。赤身肉はエスキモーやイヌイットの食事として摂取を控えています。赤身肉は犬の餌にするというのは本多勝一氏のルポでも読みました。


 余談ですがエスキモーやイヌイットが糖質を摂るようになってからは糖尿病や肥満などの健康被害が出始めているようです。民族単位での食生活は数代で肉体を大きく変えるため、民族としての食生活から大きく外れる食事は何かしらの病気のリスクを高めます。


 ヒトの元々の祖先は完全な草食動物でしたが、約260万年前の第四紀氷河時代に突入した時に果樹などの大きな植物が育たなくなりました。

 この時代より狩りを始め、雑食となったのです。

 脳はおよそ40%がタンパク質、60%が脂質で構成されていますが、肉食をすることにより脳が発達したと言われています。

 脂質はよく悪者扱いされますが、おそらく糖質の方が悪影響が大きいです。

 間氷期に突入し、温暖化したために農業と牧畜が始まりましたが、この1万年程で糖質の摂取量は2~10倍程度になっています。

 脳がそれ以前の人類より小さくなってきているという研究結果が10数年前に発表されましたが、脳機能の効率化なのか食性の変化による退化なのか研究者でも意見が分かれています。


 どちらにせよ、人類は肉食として進化してきたわけで好き嫌いは別として肉と脂肪は必須なのは間違いありません。


 地球環境に大きな変化がない限りはヒトは肉食を辞めることはないでしょう。


 肉以外に話を移します。

 ヒトはビタミンCを合成できないことは有名です。

 ビタミンCを自前で合成できない動物は霊長類以外では珍しく、生き残っている種は食事によって賄えるために生存できてきたと考えられています。


 ビタミンCを合成できない霊長類以外ではモルモットが有名です。

 彼らは実験動物として使われていた理由のひとつがビタミンCを合成できないため、と言われています。

 繁殖力としてはいまいち他の齧歯類げっしるいと比較しては弱いため、現在ではマウスやラットが実験動物の主となっています。マウスはハツカネズミ、ラットはドブネズミの改良種ですが両方とも20日程度で増えます。モルモットは妊娠期間が60日程度で産む数はモルモットの方が少なめと考えるとモルモットを実験動物にするメリットはビタミンCを合成できない以外は殆どないのです。


 ビタミンCは完全に不足すると壊血病となります。死に至る病で、長らく原因不明とされてきた航海病でした。

 現代ではよほど特殊な状況でもない限りは起こり得ない病気ですが、不足すると体調不良の原因になりやすいのでビタミンCは適度に摂りましょう。


 ちなみにヒトほど何でも食べる脊椎動物は他にいません。この雑食性こそがヒトの強みではないでしょうか。

 人間の食べ物は動物に与えると良くないものが多々あります。

 イヌやネコに対してのたまねぎ、チョコレートが毒物であるのは飼われている方はよくご存知でしょう。


 それ以外でもペットや他の動物に対して危険な食べ物を次回、紹介したいと思います。



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