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生物としてのヒト・身体能力について

 動物界でのヒトについて、実はそんなに弱くないという事実は昨今有名になってきたのではないでしょうか。


 運動性能から見ると、たしかに同程度のサイズを持つ別の生き物よりは弱いことは間違いないです。

 イヌですら脅威です。オオカミは体重が大きくても50kg程度ですが、武器がなくては平均個体としては負ける可能性が高いでしょう。


 当然、群れとして戦うことが基本となりますが実はそれはオオカミやライオンに限らず普通にやることです。戦術行動すら本能的に取ります。


 狩りの上手さというか適正ではヒトは動物としては抜群の能力があります。

 狩られる側ではなく、狩る側としてはヒトは準備と経験さえあれば最強とも言えます。


 まず、人間の持久力はとんでもなく高いです。

 持久力の原因の一つは全身の発汗ですが、ヒト以外ではウマくらいではないでしょうか。カバは目的が違うので割愛します。

 ウマは発汗しますが、その分持久力があります。襲歩しゅうほ(全力疾走)では5分程度が限界ですが歩くだけなら人間より少し早めで同じくらいの時間歩けます。当然、水分やミネラルが失われるという欠点はあるものの、持久力は発汗によって伸びています。


 なぜ発汗が有利なのか。

 それは排熱の問題です。

 イヌは排熱のための発汗ができないため、走った後は口から息を吐いて排熱をします。イヌが運動後に荒い息をしているのはそのためです。「パンティング」という行為です。ネコは排熱したい場合はパンティングはせずに体を舐めて排熱させます。ネコがパンティングをしている場合は体調不良の可能性が高いので注意してください。


 発汗による長時間の追跡能力はもとより、狩猟をするヒトの場合は動物の特徴を知識として知っているためフンや足跡から狩猟対象を見つける能力にも長けています。


 先程も書いた通り、人間は体重単位での力は弱いです。

 しかし、武器を持つことができます。特に槍は木でよければ簡単に作成でき、扱いも難しくないため最もよく使われた武器でした。50万年前には使われていたようです。木の槍でも殺傷能力は十分です。数人がかりで槍を使えば巨大な生物も狩れますし、肉食獣から身を守ることもできます。

 マンモスが絶滅したのもヒトによる狩猟の結果だという説が有力です。


 しかし、人間が最も優れた能力を持った攻撃行動は「投擲とうてき」です。

 物を投げるという行為自体は霊長類では珍しくないです。サルやゴリラも投擲をします。クマも上手くはないものの、物を投げることができます。


 ただ、人間の投擲の上手さはそれらの動物とは比較になりません。

 圧倒的にコントロールに優れ、速度も高いのです。

 石を投げるという行為はおそらくヒトが生き物として進化する上で獲得した能力なのでしょう。


 投石は古代の戦争において最も敵を殺した武器、という説もあります。

 狩猟としても防御としても使われてきたのは間違いありません。


 ちなみに人間が攻撃する場合は拳で殴るよりも何か物を投げた方が明らかに威力が高いです。

 幼児が積み木を投げたりすることもあるでしょうが、当たると当然めちゃくちゃ痛いのでお分かりいただけるかと思います。

 鍛えれば人間相手ですら即死させられるほどの威力になります。

 足の踏み出しエネルギーを腰の回転を加え、腕を振るエネルギーまで加えて手から物を発射する、という行為が投擲です。

 足、腰、腕の筋力を「投げる」ということに使えるということです。

 野球を見ればわかるでしょうが、その上でコントロールもできるので能力として本当に強いのです。

 他の動物にはない特質と言えます。

 投擲だけでも狩られる側の他の動物にとっては脅威です。


 体重当たりの筋力は動物としては低いものの、投擲や武器を含めると攻撃能力が異常に高いのがヒトという生き物だといえます。


 知能があってこそ、でしょうが実は人間は他にも強い特質があります。

 次回はその特性である「食性」について説明します。



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