社会性と生物の意義、人類の発展について②

 生きる意義とかそういうものを結論に書こうと思っている文章の二つめです。



 前回は、人類は遺伝・口伝という自然界における情報伝達に加え、文字による伝達という形に残るものを発明したという話でした。

 文字により様々な学問が発展しました。

 食料の確保や生産、保存食を作る知識のみならず生きるための知識そのものが、個人の頭ではなく石板、壁画、紙などに残すことができるようになったのです。


 複雑な進化を遂げた文化や科学知識ですが、原初は生きるための知識だったのです。繰り返し調べ、実験し残していった記録をもとにまた別の人が研究をする。


 こうやって技術はどんどん進歩しました。


 さて、その間に技術の進歩に直接寄与しなかった人々は多く居ます。

 ほぼ無名の彼ら彼女らは彼ら彼女らの人生を生き、死んでいきました。それは果たして無駄だったのでしょうか?


 私は無駄だったとは思いません。

 多くの人は食料を生産したり、何かを建てたり、作ったり、商売したりして生きてきたはずです。もちろん、悪人もいたでしょうがこうやって文明がここまで来れたという時点できちんと生産的行動を積み重ねた人々の功績なのでしょう。

 研究者を支えるのにはしっかりした食糧生産を始めとする一次産業の安定が不可欠です。裏舞台の人たちの努力があってこそです。


 現代は複雑になり、一次産業以外の産業が増え、自分の仕事の意義が見失われがちなところがあるかも知れません。

 しかしながら、人の活動に無駄というものはそうそうありません。

 途中で人の活動の旨い汁だけを吸う人間がいるのは確かですが、それは人の活動に価値があるからこそ起こるものです。

 生み出すものが何であろうと価値があれば生き残ります。

 時代には早すぎて価値はあるけど理解されないものも多数生み出されていたりもしますが、それはそれとして……。

 作られた時には評価されなくとも素晴らしいものが再評価される可能性はあります。


 ネガティブな考えを持っていると、「自分が無駄である」「生きている意味がない」と思ってしまうのは仕方がないところがあるかも知れませんが、人は生きているだけで他者に影響を与えています。貴方が生きていることで救われる人がいるならば、それは無駄な生ではないでしょう。

 何かを書き残すことで他の人に勇気や共感を与えることも有意義なことです。

 共感を与えていなくても最悪、反面教師であっても良いではないですか。


 今書いているこれがそんな大それたものであるとは思っていませんが、何も残さないよりは何かの役に立つかもしれないですよね。

 自分の価値を否定するのは割と簡単です。

 しかし、価値があるなしは実は自分だけが決めるものでもないです。

 人との関わりが人の価値を変動させます。

 誰とも交わらずに天涯孤独に生きる人でもない限りは他の人に対しての価値があるのですよ。天涯孤独に生きた人の生ですら意味を見出したり、その人の功績を見出したりするのもまた「人」です。


 人との関わりは大きな力となるのです。

 その交わりがネットだけであっても。

 今はネットで自分の価値を示すことのできる時代です。

 文章なり、絵なり、場所と時を選ばずに自由に表現を残し、見てもらうことのできる時代だというのは過去にはなかったのです。

 作ったものが娯楽だとしても、それは見る人に活力を与えるものであったり何かの原動力となったりする素晴らしいものだと私は思います。



 貴方が何かに打ちひしがれて、動けなくなってしまったとしても。

 そのことを誰かに訴えることはできます。

 それは価値があることなんじゃないでしょうか。


 生き物として子を残すことを最上とする考えは確かに間違いではないです。

 それがないと種としては終わってしまいますから。

 しかし、それだけではないのが人間です。

 子を残すことだけが目的ならば子育てが終わった後の人間には価値がないことになってしまいます。そうではないでしょう?

 子を残す以外にも種に貢献することができる方法が多々あるのです。

 たとえ肉体や精神に何らかの障害をもってしまったとしても。

 治らない病で苦しむことになったとしても。


 そこから自分の思いや技術や言葉などの何かを残すということは素晴らしいことだと信じています。

 それで当事者が救われないとしても、無意味な生ではない。

 私はそう思います。


 自らの存在を無意味と断ずることはナンセンス、というお話でした。



 次回のテーマは未定ですが、また思いついたら書きます。

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