弱肉強食・適者生存の勘違い

 ・弱肉強食は正しいのか


 前回、環境問題について書きましたがその関連で。

 今回は生物学を少しでも学んだ人なら当然の話かも知れませんが、個人的には勘違いが多いように思う弱肉強食、適者生存について。

 長くなりそうなのでいくつか分割するつもりでいます。



 世の中は弱肉強食だと言われていますが、これは本当にそうなのでしょうか。

 確かに弱いものは強いものに食われます。

 捕食の瞬間を見れば明らかです。

 しかし、大型肉食動物も個体として弱ればそれより弱い肉食動物の餌となります。

 群れで狩りをする動物だと自分より強い種を捕食することもあります。

 弱肉強食を「種」の話だとすれば、単純な弱肉強食の理論は自然界ですら成り立っていないのです。



 生態系に含まれる種として見てみると、弱いものを食べ尽くすと捕食者も道連れとなります。

 捕食者は被捕食者の生命に頼る依存関係にあります。恐竜の絶滅時には植物が大量に絶滅し、それを餌にする草食動物が、そしてその肉を食す恐竜が順番に死に絶えたわけです。

 恐竜の中で生き延びたものが鳥類と呼ばれるようになり、それ以外の恐竜は化石にその姿を変えたのです。

 現在の爬虫類に恐竜からの直系子孫はいません。

 コモドオオトカゲは爬虫類として進化してきたものです。

 なお、翼竜は鳥類の祖先ではありません。

 恐竜、翼竜、海竜は同じ次代に生きたいうだけであって、別種の生き物です。


 話が恐竜の分類に逸れましたが、滅びたからといって恐竜が弱者であった、とは言えないです。

 あの時代の陸地において最大の繁栄を誇ったのですから。


 適者生存という点も誤解があるように思えます。

「適応生き残った」 というのは正しくないです。

「生き残ったから適している」 です。

 おかしな日本語になりますが「生き残ったから生き残った」 でしかありません。


 生物学的に優生学が正しくないことはもう知れ渡っている事実でしょう。

「強いから勝つ」

「優れているから生き延びる」

 なんていう単純なものではないのです。


「運」としかいいようのない現象が種の生存と進化を支えてきたわけです。

 また、「機能として合理的」でないものも生き残ってきたという点からも複雑性が見て取れます。


 身も蓋もない言い方をすると、種に関しては

「生き残ったという結果だけが全て」

 ということになります。


 そういう意味では恐竜はまだ負けていないのですよね。

 子孫を残しているのですから。


 今回はこれまでで。

 ここから「生きる意味」とは、などというテーマに繋げたりできるかなと思ったり。

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