第7話 バレンタイン

今日は、男子にとって夢のようなイベント



そう、バレンタインである。


しかし、クラスでのけものにされている僕は、毎年親からのチョコと購買のおばさんからのチョコだけだ。


「すみません、メロンパンとあんぱんください」



「はい、ハッピーバレンタイン。まいど」



「あ、ありがとうございます。」



この、些細な一つのチョコでも嬉しかったりはする。



クラスに戻ると、男子は全員ソワソワしていて、チョコをもらうために待機しているように見えた。


その時クラスのマドンナ的な人が声をあげて言った。


「男子たち!安心して!私がこのクラスの人の分、全員作ったよ!」



「マジで!?ありがとう!」


「神様だー!」


「あぁ、女神よ、、、」


そうして一人一人の席に回る。


僕ももらえるかと思ったが、、、


「あ、田中くんごめんね〜ちょうど切れちゃった。」


まぁ、どうせそんなもんだろうと思っていましたよ。


「大丈夫ですよ、、、」


「マジでごめんありがとー!」


その後、僕はもらえなかったショックもでかかったが、クラスからよりのけものにされた感が嫌で寝てしまっていた。


「よーし、コレで授業は終わりだぞ!」


「「ありがとうございました」」


今日も僕は、屋上に行きご飯を食べる。あと購買のチョコ


「よーっす!田中!」


そこには、いつもの数倍元気な金子さんがいた。


「ど、どうも」


「ねぇねぇ!今日何の日か知ってる???」


「ば、バレンタインデーのことですか?」


「そうそう!」


金子さんは、思いっきり頷きバッグの中を漁り出す。


「はい!コレ!」


「も、もしかして、、、」


「ふふふ!バレンタインなのだ!」


初めてチョコをもらった感動で涙が出そうになってしまった。


「ねぇねぇ、ちなみにさ!このチョコ本命?義理?どっちだと思う?」


「ぎ、義理ですかね、、、」


「ちなみに、本命チョコは手作りでハートの人が多いらしいよ!」


「そうなんですか?」


「あっ!用事忘れてた!!!またね!」


僕が聞いた瞬間、金子さんはそそくさと屋上を出て行った。


気になった僕は、ないであろうがチョコの包装を開ける。


「!?」


そこには、丸いクッキーの中にハート型のチョコが入っているクッキーが入っていた。



これこそが、僕が求めていたバレンタインデーなのかもしれない。そう思い僕のバレンタインデーは、あっさりと終わった。

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放課後あそこで会いましょう あーる @aarunan

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