第13話 始まりの狼煙 もう1人の転生者

雅と白の結婚式が無事執り行われた。

その裏では魔王軍が密かに動いていた。

時を遡ること雅がこの世界に転生する少し前のことだった。


俺、夜神月 白夜(やがみ びゃくや)は車の中にいた。警察に補導され保護者を呼ばれたからである。その時だった、あの事故が起きたのは

俺の乗っていた軽自動車が前のトラックを抜こうとしてスリップし、俺はシートベルトをしておらず、何かとぶつかった拍子に俺は車の外へと放り出された。そして対向車に跳ねられた。

「あ、俺死んだな。あーあなんで俺こんな目にあってるんだろ。学校では問題児で家では喧嘩の絶えない生活をして俺ばっかりこの世の不幸を味わなくちゃいけないんだよ、クソがっ」

「ふふふっ君、あと少しで死んじゃうよ?」

「お前は誰だよ。」

「私?私はね〇〇〇だよ」

「は?聞こえねぇよ」

「ふふ大丈夫いつかわかる日が来るさ」

「それはねぇな俺はもうすぐ死ぬんだからからさぁ」

「君は生きたくないの?」

「生きてても、不幸しか俺には寄ってこない、俺がもし助かったとしてもまた不幸が寄ってくる。」

「君は変わりたいの?」

「変わりたい、か違うな俺はこの狂った世界をぶっ壊してやりたい。」

「そうなんだ。なら、ぶっ壊してやりなよ。」

「はぁ?」

「君には転生して新たな世界に行って好きに生きていいよ。君が転生する世界は壊され壊し滅ぼし滅ぼされの弱肉強食の世界だよ?」

「俺はまだ行くって決めてない。」

「このまま死ぬほうがいい?」

「死にたくはない、本当にその世界で俺は自由に壊していいんだな?」

「あぁ君にその力があるなら」

「わかった。転生してやるよ。」

「ふふふ君面白いね。」

「あぁそうかい。」

「それじゃ私は他の仕事をしに行くからさよなら」

「ああ」

「それじゃ行ってらっしゃい。」



「ここは?どこだ。」

白夜の目の前には一面真っ黒な大地が広がっていた。

「おい、お前ここで何してる。」

「あぁ?」

白夜はそう言って振り向くとそこには漫画でしか見た事ない生物がいた。

「お前は誰だ?何をしにここへ来た。」

「人に名前聞く時は自分から言うべきだって習わなかったのかよ」っと行き良いよく目の前の生き物の頬を殴りに右手を出した瞬間白夜の右手は切り飛ばされた。

「ギャァァァァァァ 腕が俺の腕がぁぁぁ」

「お前の国の文化では人に名前聞くと同時に殴り掛かる文化があるのか?」

「う、うるせぇ俺の腕切り飛ばしておきながらなに呑気なこと言ってんだよ。」

「うるさいのはお前の方だ。」

「はぁ?」

「お前は俺様に喧嘩を売って負けたんだ。敗者は勝者の言うことを聞くこと。さっきの質問だ。お前は誰だ?何をしにここへ来た?」

「はぁはぁ、俺は夜神月白夜高校1年だ。」

「夜神月白夜かコウコウイチネンとは何か知らんが名前はわかった。次の質問に答えろ。」

「俺は名前は知らないやつからこの世界で自由にぶっ壊して生きていいって言われて転生?ってやつをしてここにいる。」

「転生か、まさかお前勇者か?」

「違うだろ俺は世界をぶっ壊しに来たんだぜ?そんな俺が勇者な訳ないだろ?」

「それもそうだが、お前は俺より弱いのが何よりの証拠だ。」

「何、言ってんだ。」

「普通勇者なら自己治癒力があるはずなのにお前の腕からの血は止まっていない。(ブリザード・アクセル)」

白夜の右手が一瞬にして凍った。

「う、ありがとう。」

「自分の腕を切り飛ばした相手に礼を言うか変わった男だな。気に入った。俺の部下になれ白夜。」

「てめぇの部下だと?」

「あぁ」

「嫌だと言ったら?」

目の前の男は白夜の首元に手を添えた。断れば死という事だろう。

「わかった。俺がお前の下につけばいいんだろ?」

「主人に向かってお前とはなんだ。」

「だってお前名前言わなかったからな」

「俺様の名前は憤怒のサタンだ。人は俺様のことを魔王と呼ぶがな、貴様にはサタンと呼ぶことを許そう。」

「あぁそうかい。それはありがたいお言葉ですサタン」

「敬語はよせ貴様らしくない。」

「そうかよ。それならサタン、俺の事も貴様じゃなくて白夜って呼べよ」

「いいだろう。白夜、お前はこの世界をぶっ壊したいのか?」

「あぁ」

「ならもっと強くなれ俺の方を並べられるくらい強くなれば世界の一つや二つ壊せるだろう。」

「ならサタン俺にこの世界のことを教えてくれ、そして俺を強くしてくれ。」

「いいだろう。」

そして月日が経ち白夜が魔王軍幹部として威力偵察のつもりで近くの山(神雷)へと部下を連れ出向いていた時あの光景を見た。

白夜が元々いた世界での空手の技に似たあの攻撃をそして俺が初めてサタンと出会った時に聞いた自己治癒力を持った人間がいることを知った。

「これはサタンに知らせないとな。お前ら急いで魔王城へ帰還するぞ。」

急いで魔王城につきことの次第をサタンに伝えると

「やはりか、」

「やはりかってどういうことだ?サタン」

「白夜がこっち側に転生して来たということは相手側にも白夜と同じように転生して来た者がいるのではないかと考えていたんだ。」

「それじゃアレをやるんだな?」

「あぁ白夜、今回の作戦お前に任せる。そして好きなだけ暴れて来い。」

「あぁわかっている。」

「死ぬなよ。我が友、白夜よ。」

「わかっているサタン」

部屋を出ると屋敷の中庭で訓練していた兵士たちに例の作戦を実行する事を伝え、準備させる。

「待っていろ勇者とか言う転生者俺がお前を討つ」








今回はここまでとさせていただきます。どうだったでしょうか?雅と白夜同じ世界から転生して来た彼らがぶつかるのももう少しですね。次回もお楽しみに。

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