第41話 羞恥心は投げ捨てるもの
『へー、遊具作っただけでそんなことになるんだ。』
私と美菜、今後はルルーという名で接することになった親友と遊具の情報交換をしていました。
『チェスは問題ないように見えたけど、遊具の内容によっては魔道具になっちゃうんだね。それにしても偉大なるチェスの発案者ナツメねー…。』
『え、みっちゃん…いや、もうるーちゃんの方がいいですかね。それなんの話?』
ルルーがポツリと呟くと私はそれに反応をしました。
『それがね。王都では歴史書に載せるべきなのではというほどチェスが人気になっちゃって、なんでも戦術士の育成にも貢献できることが王都で三日前にわかったらしいんだよね。』
『へー…。え?』
これは意外、遊んで職業の経験値が蓄積されるものなの?
確かにチェスは戦略性が必要になるから間違ってはないのですが…今後他の職業にも経験が上昇する遊具誕生しそうですね;
でもそっかー、農具を使うと職業経験値が蓄積されるのと一緒と思えばそうですね。
『私ただ遊具開発しただけなんだけど…。』
『いや、私も始めそう思ったんだよ。でもなっちゃん、戦術士の経験値ってどのタイミングで蓄積されると思う?』
『えーっと…確か戦略を立てて指揮をした時ですね。…なるほど。』
若手ほどそういう機会がなく今は平和で初期の技術やスキル獲得でさえ困難なので、それが一気に解決できる可能性があるということですか。やばい代物なのでは?
それよりもまた私が歴史書に載る可能性があるのですか。
『えー、また私歴史に残るんですか?すごい恥ずかしいのだけど…。』
『もう今更じゃない?神狼の妻としてもどうせ残ると思うし、あの本みたいにまた書かれるかもよ〜。』
あの本、あの本かー…るーちゃん見ましたね。
少し頭部を片手で押さえるとフィニーが心配そうに見てきましたが大丈夫ですよ。でもなんでしょうねこの感じ、美菜…いえルルーならもっといじってきそうなんですけど…。
『るーちゃん聞きたいことあるのですが。そっちでも何かありました?』
『あー…うん、あの本ってさほぼ真実だったでしょ?』
まあルルーも隠れて見てそうですしね。
『うんとね。実は…同じようなことフェイルに言ったよなーって思ってさ。』
『エロフに?』
『だからなんでエロフって言うのかなー…。』
女湯を覗き見する男エルフをエロフと言わずしてなんと言うのですが。
『だいたいるーちゃん優しすぎるのですよ。怒るときは怒らないと。』
『それ人のこと言えます?なっちゃん。』
『こほん!』
ごめんなさい。人のこと言えませんね。
でも叱るときはしっかり叱ったと思いますよ?ただ子供?達がすごく増えちゃってちょっと困ってるのだけです。…たぶん。
『でもそうですか…。どおりでエロフのヘタレ感が強いと思いましたら…。』
『あははー…ただコココ街で遭遇したとき『私のマイハニー!』って言いながら会いに来るのはやめてほしかったよね。しかも立て続けて『あぁ、時間がどれほど経っても種族が変わろうと変わらない君の美しさを僕が見間違うことはないのさ。むしろ愛が燃え上がるというもの!』っていっててめっちゃ恥ずかしかったよ。』
『…それなんて公開処刑なんです?』
感極まるとフェイル兄は止まらないからなー…。
それにしても一発でルルーがわかるあたりさすがフェイル兄と言うべきか…、外見的特徴はドワーフとしか書いてないはずなんですけどね。
『その後、自分の言ったこと恥ずかしくなってマントで顔隠してたけどね。』
『えぇ、珍しい。』
あのエロフが羞恥心持ってるのですね。てっきり投げ捨ててるものだと思ったのですが…。
『そう?フェイル私といるときはすごいキザっぽくなくて穏やかなんだけど…。見え張ってるって言うんだっけ?』
『え?』
おっとまさか100年経って身内に新たな謎が増えるとは私思いませんでしたよ。
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