第39話 人生ゲームは呪いの魔道具だった?
ギルドの用事が終わって2時間後。
「…なぁナツメ、これ売れると思うか?」
「売れる以前の問題じゃないですかね;」
新しい遊具を作るために色々試行錯誤していたのですが。
全てうまくいくわけでは無くゲーム次第では問題が発生することも多々ありました。その中でも『人生ゲーム』は作成した瞬間、嫌な予感がしたので誰もいない平原で試したのですが…。
「マスに書かれた内容が現実に作用するなんて誰が想像できます?」
「流石に危険すぎる内容は反映されないみたいだがな…。」
ゲームが終わる頃になると私達はずぶ濡れになった状態で背後には魔物の死骸が山積みになっていました。
なぜこの状況になったかというと『魔物が出現して一回休み』のマスに止まると魔物が出現したり、『水に濡れて一回休み』のマスに止まると上空から青空なのに水が滝のように落ちてきたりしたからです。
「しかもだ『罠に引っかかり一回休み』のマスに止まるとトラバサミが出てくるのは流石にどうかと思うのだが…。歯が無いから痛くなかったがな。」
「ダンジョンでやったら床がいきなり無くなったりしそうですよね。」
どうやらこの世界では周囲の魔素量次第で何の変哲も無い紙に書かれたことでも作用することがあるらしく、今回はまさにこの類とのこと。
次に私達は全部『魔物出現マス』に入れ替えて試したのですが、何の反応もすることなくサイコロを振ってゴールしただけで終わりました。
「なるほど…。運試しというランダム性が条件で現実に反映されるのか。」
「えー…。人生ゲームは公にしないほうがいいですね。」
残念でなりませんね。
私達がいるからという可能性もあったのですが、魔素が高い場所でゲームしてしまうと再現できてしまう可能性があったからです。
それにはフィニーも賛同して跡形もなく消し飛ばそうとしたのですが。
「あら…、壊れない。」
「ぬ、原初化してしまったか。」
アイテムの原初化…つまりこの世界に真新しい魔道具として固定されたため壊れない魔道具になってしまったみたいです。
うん…つまり私はこれが初めての原初の魔道具を作ったってこと?
「うわー…、なんか本当に呪われたゲーム作ったと思うと嫌ですね;」
「うむ、本来喜ぶべきであろうが流石にこれは…。」
これからはもっと慎重に作るものを考えたほうがよさそうですね。
「この感じだと『カードゲーム』なども危ういかもしれないですね。」
「む、それはどういうものなのだ?」
フィニーに簡潔に説明すると首を捻り考え始めました。
「確かにそれは危ういかもしれぬな。例えるなら熱が入りすぎて詠唱になり得るものを発言すると勝手に魔術が発動してしまう。『○○召喚』とかの類は特に危険で魔物も召喚対象になるときあるからな。」
そういう意味では私の前いた世界は娯楽を作りやすい環境にあったというべきなのでしょうね。
まさか魔術の概念がこのような形でデメリットになると思いませんでした…。
「あぁ、だから図書館には魔素除けが敷かれているのですね。」
「そうだな。魔術本の内容が事実の場合、魔素の蓄積が弱い者でも周囲の魔素が強ければ読み上げるだけで勝手に魔術が発動してしまうからな。」
今思えばなぜ図書館に魔素が少ないのかずっと気になっていたのですが、意外な形で知ることができました。
そういえば前はそれどころじゃなくて気になっても聞かなかったこと多かったですね;
「うーん、そうなると人生ゲームも魔素除けがあれば普通のゲームとして楽しめそうですけど魔素除け自体高価でしたからね…。」
「王都半分買えるくらいの金額だからな。」
やっぱり人生ゲームの類は諦めたほうが良さそうですね。
私はそんなことを思いながら新しい遊具について考えるのでした。
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