第36話 神様は自由人です
マーゼは一息つくとバングに簡単に説明しました。
『そもそも神の愛し子は神様が相当気に入った相手にしかつけないことぐらいお主でもわかるだろ。つまり婚儀の時に高確率で主催として降りてくる…ましてや神の愛し子と神獣だぞ。』
「すまん、そういうことか…。確かにそれだと誰にも文句は言えないな。」
『それに我の予想だと…、ナツメよ。あれのために自ら魔族になっただろ?むしろそれが本命か。』
「うん、神様も気がついてると思います。」
「他にあるのか?」
フィニーの目の前でこれいうのはものすごい恥ずかしいのですが、私は恥ずかしがりながら覚悟を決めて語りました。
「…聖獣か神獣との子供を宿すためです。」
フィニーがめっちゃ固まってこっち見てる!
あー…転生三日目にしてすごい恥ずかしいんだけど、やっぱ穴に潜りたい。
私が顔を真っ赤にしているといきなりフィニーが立ち上がりドアの方に向かっいました。
「ふぅー…すまん。ちょっと頭冷やしてくる。」
『おい、犬っころよ。』
「どうした。」
『周りに迷惑かけないようにな。』
「あいわかった。」
会議室から出たフィニーは3時間戻ってきませんでした。
その後、西の砂漠を全速力で駆け回る白い狼を見たという情報が耳に入ってきたのは次の日のことでした。
◇◇◇
私はギルドから出た後、南西側にある教会に足を運びました。
その教会は少し質素で豪華ではなかったのですが庭はきれいに手入れをされ、穏やかな空気が流れており一歩足を踏み入れるだけで違いが分かるほどでした。
この感覚はしっかり聖域化してる証ということでもあります。
教会のドアに近づくと一人のシスターがお辞儀をしながら出迎えてくれました。
「迷える子羊さんこんにちは。」
「こんにちは…。なんかこの姿だとそのままの意味に聞こえてしまいます。」
「ふふ…、そうですね。今日はどのようなご用件で?」
私はシスターへギルドマスターからの手紙を渡すと彼女は中身を確認した。
「時は来たのですね…。少々お待ちを」
彼女はそのように喋るとわかっていたかのように教会内へ入っていきました。
少し時間がたつとドアが開きそこには普通の住民と駆らわない服装のおじいさんが立っていました。
「このような姿で申し訳ない。先ほど買い物をしておったので…。」
「あなたは?」
「わしはアーシル・ラータというもので司祭をしております。」
「家名持ちは珍しいですね。」
この世界では家名持ちは少なく、家業や仕事を継ぎ続ける人が家名を持つことが多数でした。そのためその家名を聞くとどういう職業についているのかすぐにわかるという利点もあるが正体もバレやすいため長所と短所はしっかりあります。
「ほっほっほ、よく言われます。」
アーシル司祭はそのように答えたあと私をまじまじと見ました。
「ふむ…、確かに手紙の通り聖女様と同じ気配がしますな。」
「わかるのですか?」
「えぇ何年も聖女様を見ていますから、外だとなんですし中で話しましょう。」
私は司祭に促されるように教会へ入ると左右には木の椅子が並び、目の前には大きな女神の石像が建てられていました。
「はて、先ほどまであそこに人はおらなんだような…。」
司祭がそのように語ったので私は目を凝らしてみると、そこにはどこかで見たことある姿の銀髪の女性が立っていました。
「あれ…神様?」
『ふふ、来ちゃいました。』
「なんと!」
司祭様が拝みだしちゃいました。
『アーシル様楽にしてください。私は愛し子に会いに来ただけですので。』
「神様、それは無理ありますよ。いきなり来られてはみんなびっくりしちゃいますって;」
先ほどのシスターもびっくりしてちらちらこちら見てますし…。
『それはそれは…変装でもした方が良かったかしら?』
神様は冗談交じりで笑っていました。
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