第35話 規格外の本当の意味
バングさんから聞いた話によれば、聖なる鐘の作成者は不明で情報を求めているということだったのですが。喋りにくいんですよねー。
そんなことを考えているとバングさんは視線をずらしてニービスさんの方を見ました。
「ところで聖女の婚約者で有らせられるニービス様と師であるマーゼ殿がなぜここに?」
『それは我から説明しよう。』
マーゼさんが一通り説明するとバングさんが再び悩み始めました。
頭痛いでしょうねこれ。
「はぁー…、あそこの司祭たちは頭がとことん硬いからな。」
『わかるわー。』
多分神の愛し子だとわかると連れ去ろうとするくらい硬いでしょうね。あそこの組織…なんか神罰が行きそうで怖いですね。
「それにしてもそうか、聖女様がそんな状態だとここの司祭殿がおっしゃっていたことも理解できる。」
そういえばこの村の教会まだ行ってませんでした。
ここの会話が終わったら補助職業選びに行きましょう。
「どのように言っていたのですか?」
「『民を思い続けた聖女様が救われる日がもうすぐ来る』とおっしゃっていたのだ。」
ニービスさんが質問するとバングさんがそのように答えました。
「…だから神様は私たちに『私の愛し子になってくれないかしら』と言われたのか。」
私がポツリと呟くとフィニー以外全員こちらに視線を向けました。
やっばー、完全に私無意識でしたね。
少しの間をおいてマーゼさんはため息をつき次のように述べました。
『はぁー…、だからお主ら…特にお主は『規格外』と呼ばれるんじゃよ。』
うん、懐かしいですねその言葉。
「規格外?なんですかその言葉は…」
『バングよ。英雄ナツとミナの詳細を知っておるならわかると思うが、ミナは確かに勇者や聖女の適正を持っておった。だがナツは違う。』
「違う?」
『神や邪神の分類になるのじゃ。』
「はぁ?」
バングさん驚いてますけど私をみてますけど私も初耳です。
『よく考えてみろ。普通の人間が神域に行けて素手で神や邪神を殴り飛ばせると思うか?』
「…それはそうだな。」
私も思いましたけど確かに邪神も神様ですからやっぱ殴り飛ばすって異常だったのですね。
フィニーはわかっていたという感じでものすごく頷いていますけど…。
『普通なら職業、能力を持ってしても素手だけで神と邪神には勝てん。だがやってのけてしまったからの。』
「だから規格外なのですね。」
『そうじゃな。それにお主らは特に魔素と瘴気の適性率もおかしかったからのう。まぁ魔素と瘴気が少なければ普通の人と変わらないのじゃがな。』
確か魔素と瘴気は体内に保有できる量は有限でしたっけ?
魂の強さで変わると神様からは聞きましたけど…。
「マーゼ殿、これを聖女教会連合に話すとまずいからひとまずここの話だけにしておこう。鐘の件も…今南南西に向かっているフェイルがなんとかするだろうな。」
『それが賢明かの。』
「私もそうしてくれると助かります。」
私がそう言って頭を下げた後、ニービスさんが少し考えて口を開きました。
「もしナツメさんが大陸北部の浄化を続けてくれるのなら、マリンセルの体調はかなり改善することになるということですよね?」
「そうなりますね。」
「それで思ったのですが…、いっそナツメさんが神狼さんとの婚約を公にすれば良いのでは?」
「…やっぱりそうなりますよね。」
「そうなるだろうな。」
『そうなるじゃろうな。』
「いや、まてまてまて!ナツメ殿までなぜ納得してるのだ!」
バングさんだけ納得できてないのも無理ないのですよね。
それにしてもニービスさんからその言葉が出てくるのは驚きましたが…。
「私は元々そうなることを望んでましたからそれが早くなっただけです。フィニーも私から離れる気は無いですよね?」
「そうだな。」
「だとしてもだ、他の獣人が黙ってないぞ?」
バングさんがそういうとマーゼさんが腕を組んで口を開きました。
『そのことだがバング、神と獣人どっちが上だと思う?』
「そりゃあ…、神様の方が優先になるが。」
そう彼が呟くとものすごい勢いで冷汗が出はじめました。
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