第34話 悲しき社畜聖女に救済を
聖女マリンセルの体調がよくないと聞いた私は助けてあげたいと思い考えているとニービスが語り出しました。
「僕は…そうですね。最近毒の沼地が浄化されたという情報を耳にして、マリンセルの助けになりたいと思いここに来たのです。」
「浄化?」
「はい、浄化です。その原因が光の柱にあるんじゃないかと思って…」
ふむ…、そういえば聖女の細かい仕事知らないのですよね。
「ニービスさん、もしかして聖女の仕事に各地の浄化って入ってるんです?」
「え?…そうですね。主な仕事がそれなのですが…。」
『ふむ。なぜそれを聞くのかのう。』
「いや…もしかしたら大陸北側はなんとか浄化出来そうかなーって思いまして…。」
二人とも硬直しちゃいましたね。
うん、もう慣れてたので手短に話しましょうかね。
「フィニー、説明お願いできます?」
「ん?ナツメが神の愛し子で体液を大地や川に流すことにより瘴気や毒を浄化できるって話か?」
ふむ…、今度はフィニー見て硬直してますね。
まさか二人とも知らないとか?
『いや…すまん。それは本当か?』
知らなかったー!?
「むしろなぜ魔神なのに知らな…あー、そうかあれは一部の魔神やギルド上層部の人間、そして神獣と聖獣にしか知られてなかったな。」
『わしはずっと聖女だから浄化できると思っとった…。』
「それも正しいのだが神の愛し子なら職業問わず可能だな。」
私があれだからたぶんそうなんですよね。
そういえば美菜は今鍛治士でしたっけ?
「…フィニー、神の愛し子がもしね。剣とか物を作るじゃないですか。」
「あぁ。」
「その作成物ってどんな作用すると思います?」
「普通なら何も変わらないと思うが…。ただ神の愛し子が別の職業に生まれたことが前代未聞だからなぁ…。まあ聖女は自由に動ける身でもなかったのもあるが。」
「でも聖女は聖属性の付与もできましたよね。」
「「……。」」
フィニーと私は顔を見合わせていると、マーゼがその様子を見てか声をかけてきました。
『どうした?そんな顔をして。』
「いや、これからもっと頭痛くなりそうなことが増えそうだなって;」
『?』
◇◇◇
受付嬢を通してニービスとマーゼが来ましたとギルドマスターのバングに伝えるため私達はギルドに向かったのですが…。
会長室に案内されるとバングがめっちゃ顔の眉間を押さえて座席に座っていました。
会長室は事務室の奥にもう一つ部屋があり、大きなソファーが数個並ぶ12畳くらいのそこそこ広い部屋で様々勲章などが飾ってありました。
現在はギルドマスターが極秘情報をやりとりするために使っているとか。
「あぁ、すまん。みっともない姿を見せたな。」
「いえ、だいたい私は察したので…。」
「立っているのもなんだ。皆客席に座ってくれ。」
全員がソファーに座るとバングが立ち上がり、ソファーにどかっと座ると報告書を机の上に置きました。
「今朝報告が来てな。コココ街のギルド通達で聖なる鐘の作成完了という報告が上がったのだが…聖女様がその場にいなかったという報告も同時に来ててな。」
「コココ街?」
私が首をかしげるとフィニーが答えてくれました。
「確か70年前に出来た街だな。邪神が滅んでからは街や村が新しくできているからそこはゆっくり覚えていけば良いだろ。」
「わぁー、それは楽しみ。」
100年前は王都除くと大陸の大きさに対して、約5箇所の街や村しかなかったから休憩できる場所が増えることは良いことですね。
「おほん、それで単刀直入に聞きたいのだが…ナツメ殿が言っていた。もう一人の神の愛し子か?」
その言葉を聞きニービスとマーゼがこっちを見ました。
相変わらずその視線は痛いのですよね。
「親友がどこにいるかはわかりませんが…。聖なる鐘の件が本当なら今そこにいると思います。」
「儂の鼻も距離的にそこから匂いを感じ取っているから確定であろうな。」
さすがフィニー、神狼の名は伊達ではないですね。
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