第30話 忍者な聖獣クラムと神狼 その2
「フィニ〜…私を殺してぇー!」
「ふむ、それはできぬ相談だな。」
朝方私は恥ずかしさのあまり布団を被り悶えていました。
いやー、若いって怖いですね。言いにくいこともさらさら言えちゃいますし迷いもないです。
晩も恥ずかしかったんですよもちろん。
でも恥ずかしさより嬉しさが勝っちゃって〜…切なくて〜…。
「うぅ…、だいぶ思い出しましたけどなんでここまで詳細わかるのですか!」
「そりゃぁ、フェイルがペラペラ喋ったからな。隠密してたのはあとで知ったんだが…。」
「くそぅ…自分のことになればヘタレになるエロフめ。」
「あとライルとミナも覗き見していたらしいしな。まあ覗き見を提案したのはミナみたいだったがな。」
「…確かにやりかねないから否定できない。」
今度会った時問い詰めてやりましょ!
そんなこんなで真っ赤になりながら部屋を出て階段を降りいき、メルウに本を返したわけですがマルンに私の顔が真っ赤なことを指摘されました。
「どうしたんですか!風邪でも引いたんじゃ…。」
「いや、ちょっと本を読んで思い出しちゃって…。」
「本…、あぁ昨日の御伽噺本の!」
「うあぁうー…。」
どんな反応すればわからないまま再びうつ伏せになったのを私を見てか、フィニーが補足を入れてくれました。
「えー…そのな、本を読んでナツメは大体思い出したらしくてな。今朝からこの調子だ。」
「なるほどつまり、本の書いてある内容は本当でそれで悶えているとね。」
「皆まで言わないでー。」
穴があったら入りたいですね。
そんな調子でいるとメルウが微笑みながら言いました。
「おかあさんとおとうさんはラブラブだからね。」
「そうだな。」
フィニーそこは恥ずかしいから嘘でもいいから否定してください。
「それで実際本の通りに言ったの?僕はそこのあたりが気になるなー。」
「うん…、だいたい言ってます。」
少し落ち着いて起き上がり素直に話しました。
いやー、自分の物語を読んでここまで恥ずかしくなったのは初めてですね!
「それでおかあさんこの後どうするんですか?」
「ギルドに石板をおいて行動する予定ではいるのですが。」
フィニーが聖獣クラムの場所に行きたそうにしてるんですよね。
「できればなんですけど…おとうさんとおかあさんには一度聖獣クラムのところに行ってほしいんですよね。」
「え?いいの」「いいのか?」
私達の反応を見てメルウがきょとんとしてますね。
「なぜそのように聞くのです?」
「メルウ、それは親心わかってなさすぎよ。」
マルンが言うとメルウは何かに気が付いたように両手を口に添えました。
「あ、ごめんなさい。私じゃなくてクラムの方がおかあさん達に今日会いたがってるみたいだったんです。なんでも鍛えてほしいとか。」
聖獣クラムも鍛錬好きだったのですね。
でも今日ですか…。
「ねえフィニー、今日はとりあえず会うだけにして本格的な鍛錬は明日の方がいいと思うのですが。メルウも念話でクラムにそう伝えてくれます?」
「あぁ、そうだな。」
メルウは意味が分からず首をかしげているので私から説明をしました。
「今日は私の降り立った場所にギルドが調査しに行くっていうから…その…多分フィニーの鼻息だけで被害出ちゃうと思うのです。」
「あー…、わかりましたおかあさん。」
「え?鼻息だけで?」
マルンがそのように返答をするとフィニーが頷きました。
私はフィニーの能力知ってるのもあるのですが、神狼になるとその能力も規格外になることも安易に想像できるのですよね。
「簡単に言えばフィニーの職業は天雷士なのです。『天を操り雷を呼ぶ。息を吹きかければ嵐となりて目前の物は何者であろうと消し飛ばす。』確か基礎職業が魔術士で天測士との複合職だったですかね。そして神の称号が付くならそれは『天雷神』となると…。」
「ひぇ…。」
マルンは私の説明を聞いて青い顔していました。
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