第26話 邪神封印の場所はいつも賑やか。
着いた頃にはお昼を過ぎており、少し大地がオレンジかかってきた印象を受けていました。
そして邪神が封印された場所を中心に周囲からはトンカチの音や、ツルハシが大地を叩く音にトロッコがゴロゴロ縦横無尽に駆け抜けている光景を見てわくわくしました。
そういえばここら辺の洞窟内部って私は見たことないのですよね。
「ん?お前達は?」
私たちが周囲を見回していると大層な髭を生やして鋭い目をしたドワーフが、作業服を汚した状態でのしのし歩いてきました。
失礼だと思いますが重量感ありそうですね。
「む…、ジロジロ見るな恥ずかしいではないか。」
恥ずかしがり屋さんでしたか。
「あぁすまない。儂達は見学に来ただけだ。」
「おう、呼び止めてすまんな。見学をぜひしていってくれ。」
さすがドワーフ、対応が軽いですね。
そんなことを思っていると遠方から大声が聞こえてきました。
「親方ー!この場所どうします?」
「親方というな!恥ずかしいじゃないか!…そこは木の棒で支えろ!」
「あい!わかった!」
あーわかるー。姉御と呼ばれた時の感じと似てますから何となくわかります。
「それにしてもいつもこんな感じで賑やかなんですか?」
「そうだな。俺等はここで寝泊まりして採掘に勤しんでる。」
ちょっと気になったので聞いてみることにしました。
「ここではどんなものが掘れるんですか?」
「ん?そうだなー…。まずは希少な魔物の骨だな。」
そういえばここら辺モンスターハウス状態でしたもんね。
「それでこれが竜の卵だろ?」
うんうん。
「そしてあそこに突き立ってるでかいのが瘴気の極大剣だろ?」
うん…ん?
「んであそこは強固な扉を設置しているが部屋の中には折れた武器の数々があるな。」
ん〜〜〜〜?
「それにして誰があんなもん作ったんだろうな。折れた状態でも相手の寿命を吸い取る武器だとかで禁忌指定される代物だぞ?」
多分私が拳で折りましたね。
再び別のドワーフから声が聞こえてきました。
「親方ー!それは外に情報漏らさない約束ですよ!」
「そうか?あっはっは、じゃあ忘れてくれ客人。」
「む、そうか。なら忘れよう。」
あ、はい。
「えっと…あの極大剣の方は大丈夫です?」
「あぁ、なんかある人物が機能を無くしてくれてな。瘴気の元があれだったらしいが今はただの極大剣になってるな。」
「それも極秘情報です親方!」
「あれはいいだろ!今は日緋色金(ヒイイロカネ)の塊だぞあれは、加工できるやつここにはいないんだぞ?」
「それが極秘情報なんですって!」
軽いなー、と思いながらふと周囲を見回してみると妖精達が土いじりしながら遊んでいました。
うーん、無邪気で可愛いですね。
「それにしてもお前達何者なんだ?やたら妖精に好かれているようだが。」
ん?そういえば自己紹介まだでしたっけ?
首を傾げてみるとフィニーが頷いてますね。
「私の名前はナツメと申します。今は職業占術士をしています。」
「そして、儂はフィニーと言う。」
「なるほどなぁ…。俺はボン、職業は採掘士だ。掘るのが好きなおじさんと思ってくれ。」
自己紹介が終わりボンが続けて話し始めた。
「それにしてもここはあれだろ?英雄達が最後に全力を出して戦った場所なんだろ。」
「…そう聞いてます。」
実際そうなんですよね。
邪神を滅ぼしてから元の世界に帰るまで弱パンチ一発で魔物が吹っ飛んでたのでかわいそうに思ったほどなんですけど…、やっぱ化物ですね当時の私。
「一回手合わせしてみたかったぜ。」
あのーボンさん。その一人すぐそこにいるんで安易な発言やめてくださいね。
私?私はまだ力のない子羊ですよ。
そんな感じでボンさんとあれこれ会話をしていると日が沈み始めました。
「それじゃ私達は帰りますね。」
「わかった。」
そう言うと妖精さん達はピタリと動きを止め再び私にくっついてきました。
「…あっはっは、これはエルフが見たら驚く光景だな!」
「…ほんとにそう思います。」
でもなんだかんだ嬉しい私がいるのですよね。
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