第12話 皆の平和を祈って、エロフを旅立たせる!

その質問答えなきゃダメです?

いえ、神の愛し子はバレてもいいんですよ正直…。

でも私のお漏らしがきっかけで浄化されましたなんて言えますか?

いやー…無理ですね。


「そのことなんだが…、ナツメが沼地に流れる川の上流で体液で汚れた衣服を洗っていたのが原因なんだ。特にナツメの体液…例えば血とかでも流れると浄化してしまうんだ。」


ありがとう、フィニー!

よし、何とかお漏らしのことだけはバレずに済みそうですね。


「…一体どういうことだ。」

「これはすぐに公にしてほしくないのですが…。私が神の愛し子だからです。」


あ、バングさんとフェイルがめっちゃ驚いてますね。

あははー、そりゃそうですよね。ですがフェイル兄、これからあなたが大変になりますよ。

なぜならまだ私の爆弾発言が待ってますからね。


「そして私はもう一人、神の愛し子を知っています。」

「ちょとまて、ちょっとまて…一人じゃなくて二人だと!」

「バングさんごめんなさい。今止めるわけにはいかないのです。私はフェイル兄に問いかけないといけないのです。もうここまで話すともう一人…誰が神の愛し子なのかわかりますよね?」


その後すごく長い沈黙が流れました。

どれくらい長かったのでしょうか実際の時間は短いのですが、おそらく空気がそうさせたのでしょう。

本当は穏便にやりたかったのですが。まだフェイル兄がこの場で暇を持て余してたんで急がせないといけませんしね。

美菜のために急がせなくてはなりません。


「はぁ…、自分で言うのもなんですが鈍ってしまいましたね;あれだけ兄弟たちがすぐにヒントをくれたのはそういうことだったのですか…。フィニーが急がせるはずです。」

「私の知る美菜は嘘はつけても隠すことが大の苦手でしたから…いつかぼろが出ると思います。私は神狼がすぐ来てくれたけど美菜はフェイル兄にしか頼めないのです。そうなる前に助けてあげてください。」

「…ありがとうナツメちゃん。これが終わったらすぐ出発する。」

「いや、それはいいんだが…そのもう一人の愛し子とはいったい誰なんだ;」


私は一息ついた後バングに説明をしました。


「南南西の光の柱…そこに降り立った人物は私の親友にして、転生した英雄の一人ミナです。今の名前は私もわかりませんけどね。」

「は?じゃあ南東の光の柱に降り立ったのは…」

「その…私です。はい」

「はぁー…。」


あーバングさんごめんなさい。

前日の真夜中に転生したばっかりなんです。


「つまりあれか。ナツメ殿は光の柱が出現したと同時に神狼はすぐに現場に急行、旅を共にし前日ここに来た。それでナツメ殿と同時刻に南南西にミナ殿が転生して降りてきたと…。」

「我もナツメが神の愛し子だと初めわからなかったが、我と波長が合ったからな。」

「一つ聞きたいのだが南南西にミナ殿が転生した理由はなんだ?ランダムなのか?」

「あ…えーっと。」


私がフェイルを見たと両手を挙げて呆れたように喋りました。


「フェイル兄の故郷が近くにあったからなのですよ。」


あ、フェイル兄がプルプル震えてますね。


「あぁ!つまり私に会いたいがために南南西に!急がなくては…。」

「待て待て待て!行っていいからそのサインの山書いていってくれ。」

「く!障害め片づけてやる。」


うわ、めっちゃ早。


「待っててね!マイハニーーーーーーーッッッッ!!!」


書き終えるとフェイルはものすごい勢い事務室から退場していきました。


「ふー…やっと行ったか。」


フィニーが言うように確かにやっと行きましたね。

あれなら2日で行けるでしょう。

なんだかんだフェイル兄も体力お化けなのですよね。


「…なんかすまない。穏便に住んでいきたかったのだろう?」

「あー…あはは、いつかバレますしいいんですよ。ただー…まさかここにあのエロフがいたとは思わなかったんで;」

「エロフ…あっはっはっはっは。フェイルのことか?そりゃ違いねぇ。」


一段落ついたので先ほど出発したエロフの伝説について語ることにしました。

その後、バングとフェイルの過去に関して語り終えた後、上機嫌で私の提案にのってくれました。


「はぁー…笑った笑った。わかった。明日南東には調査だけ向かわせるようにしよう。」

「ありがとうございます。」

「だが魔王さんに関してはどう動くか予測できないが…。」


その返答に私は首を振りました。

魔王がどういう性格か知っているため、きっと探しには来ないのだろうとわかったからです。


「あの子は多分気が付いてると思うから気にしなくていいですよ。」

「な…そうか100年前に魔王と友人になったのって英雄ナツだったな。」


そういうことです。


「神狼に関しては…調査は神狼から許可もらったとしても大丈夫か。」

「あぁ、それで構わないぞ。本来ゆっくり移動する予定だったのだが…。」

「いや、気にするな。大体『英雄ナツと神狼の恋物語』は本になるほど有名だからな。故郷にいる娘が毎回読んで毎回泣いてるんだ。」


えー…私初耳なんですけど!


「もし真実伝えたら泣いて喜ぶんじゃないか?」


やめてよ恥ずかしい。


「それはもう少しお預けでお願いします。」

「了解。」

「それじゃ、わざわざありがとうございました。」


それにしても外からの声聞こえないから防音はすごいんだろうなとドアお開けた瞬間。


「「「おーーーーー!」」」


突如一回からでしょうか大歓声の声が聞こえてきました。


「こりゃー、ナツメ殿の占術はすごいみたいだな;ここで働くか?」

「…考えてみます。」


フィニーと一緒に一階にゆっくり降りてみると、たくさんの人が石板の方に集まっていました。

カリナさんも夢中になってみてますけど仕事大丈夫です?


「嬢ちゃんあれすごいな!」


そんなことを思っていると横から一人の冒険家の方が話しかけてきました。


「説明を受けて試したのだが、あんな選択式の占術見たことがねぇ。だがどうして選択式なんだ?」


多分この世界にはグラフはあってもレーダーチャートという見方がないのでしょう。だから見るのもただ見るだけでも新鮮なのだと思います。

それに大体占いは一番良い結果しか言わない人多いですからね。

だからおのずと答えは出るのですよね。


「私は人の選択に関しては無限にあると思ってるのです。たとえ誰かに指図されようとやりたいことをやれば良いと思います。」

「…そうだな。」

「ですが、必ずみんながみんな迷わず未来を選択できるわけではないですよね?そういう人を助け視野を広げてあげることも占術士の仕事なのだと思いますから。」

「はっはっは、確かにそうだな。いいこと聞いた。」


軽く会話を終えると私なカリナさんのに声をかけました。


「お仕事は大丈夫ですか?」

「うへへー…看板もって可愛いですね…。は!ナツメさん。」


あぁ…この場にまた一人小人マニアが誕生しそうですね;

この感じ美菜を思い出しますね。


「今回試運転も兼ねてたのですが…。これだけ好評でしたら占術の費用は1回1銀でどうですか?」

「へ?そんなに安くていいんです?」


え、安いんでしょうか…。

あの石板数百年単位で長持ちするってドワーフさん言ってましたから費用もそこまでかからないのですよね。水式はともかく…。

あと置いとくだけでも目の保養にもなりますし、たまに石板の外へ散歩に出たりするんで見てるだけで面白いのですよね。

占いが始まるとワープで戻ってきます。


「無理を言わなければ一日ずっと持ちますし、小人達は私が指示を出したらしっかり聞きますからね。あ、でも余裕があれば石板を拭いてあげれば喜びますよ。」


私がそう言って布で表面をふきふきしてあげると小人達が整列してお辞儀をしました。


「「「おーーー…!」」」


なんか女性以外に男性も食いついてみてるの面白いですね。


「あーん…きゃわわ。」


カリナさんに関しては私なんか危なそうに思えてきました。

後で拭きすぎないように注意をしておかないといけませんね;

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