第20話 この狼イケメンすぎる!

おじいさんはあのあと石版を譲ってもらう時いいものを見せてもらってお金は受け取れないと言っていましたが、小人達が看板で『今までありがとう。だから受け取ってほしい。』と本心を伝えてくれたのでちゃんと3金を渡すことができました。

しかしまぁ、その後が大変でおじいさんぼろぼろ泣いちゃって手を離してくれなくて大変でした。


「大変だったけど…、100年前との違いを改めて実感できて楽しかったです。」

「そう思っているならよかった…。そういえば宿でも探すのか?」


それも考えたのですが。


「せっかくなんで昔みたいにフィリーと一緒に野宿したいな。」

「…いいのか?」


…しっぽ振ってますね。


「うん、久しぶりにフィリーと一緒に眠りたいと思って…。だめかな?」

「ぐふぅ…!」


四つん這いになっちゃいました。

えっと…フィリー大丈夫ですかね?あ、四つん這いから起きました。


「ナツメ…儂を悩殺しようとしないでくれ!」

「え?」

「いや、なんでもない。」


えーっと…別に悩殺しようとしてないです。

甘えてるだけなんですけど、…そういえば前回もこんなことがありましたね。

確かあの時美菜から変なこと言われましたっけ?

『夏はさ普段計算高いけど、相手のピンポイントを躊躇なく踏み抜いて悩殺するのは控えたほうがいいよ。そこはものすごい天然で鈍感なんだから。』だったかな。


「う…うーん。歳とっても天然の部分は治らないんですね。」

「…まぁ、儂はナツメのそういう部分も好きだがな。」

「そういえばフィニー。」


私は歩みを止めてフィニーを呼び止めた。


「私のこと聞かないの?」


私はちょっと怖かったのです。

前の世界でのことを話すと嫌われるのじゃないかと、おばあちゃんなんだと伝えると離れるんじゃないと、結婚したことを話すと突き放されるんじゃないかと、そして子供がいたことを話すと失望するんじゃないかと。

そんな悩みを語るとストレートに返事が帰って来ました。


「…前世は前世だ。今こうして儂のところいるのだ100年たってもほとんど変わらないお前がだ。」

「フィニー…」

「ただまぁ、君の前世の子供や夫のことを聞かせてくれ。儂は嫉妬もするがお前の全てを知りたいくらい欲深いからな。」


…わぁ私絶対顔真っ赤だ。

フィニーがイケメン過ぎて私が辛いです。

何ですか、私もフィニーの全て知りたいですよ!でも、悩み全部吹き飛んじゃったじゃないですか!


「ふむ、ということは次母親になってもきっと良い母親になるのだろうな。」

「ぴぃん…」


やめて、私をニコニコしながら見ないで!

はぁー、熱いです。

冷蔵庫があったら頭をダイブさせたいです!

くそぅ、こうなったらカウンター食らわせてやります。


「そ…その、何年たってもあなたに会いたいなって…思ってました…。」

「…すまん考える時間をくれないか。」

「え?」


あ、これはまずいやつですね。


「…決めた。儂と一緒に幸せになろうか。

「ふ…ふぁい…」


お姫様抱っこしないで、なんか私の脳内で最終回手前の映像が勝手に流れ始めてる気がします!

ちょっと待って。ちょっと待ってください。

エンドロールさーん、エンドロールさーんまだ流れないでくださいね!

物語はまだまだ続きますからねー!


◇◇◇


あのあと二人で野宿をすることにし、焚き火をしながら私達はたくさん昔話をしてました。


「あはは、確かに夏の孫なら達成するな。」

「否定できないのが辛いです…。」


孫がボクシングのトップに立ったといわれた時は血を否定したかった気がしました。


「それにしても幸せそうな終わりで安心した。」

「そうかな…、そうかもしれないですね。」


でも、片隅にはフィニーがいたんですよ。だから今はそれも叶ってもっと幸せなんだなと思いました。




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