第18話 呪いの石版になった理由
「実はこの石版は、この場になかったものなのじゃ。」
うん、はい知ってます。
王都マリンに最後は置いてましたからね。
「50年前かのう王都マリンでとある貴族の執事をやっておったのじゃ。それで当時の主人が闇市からあの石版を高値で買ったらしくての。なんでも英雄が何かに使った石版だというのじゃ。」
私の物だから知っています。
「それで当時の儂らは使い方がわからなくての。学者にも頼んで確認してもらっての、別に道具が必要なのだろうと結論が出たのじゃが…。それでも使い方がわからなくての。」
私の物だから使い方も知っています。
なんか知ってる状態で、他人から考察を聞くのも楽しいものですね。
「いくら試しても良い成果が出ないためご主人が怒って砕こうとしたのじゃが…。それはそれは硬くてのう。」
硬いでしょー。
ドラゴンが踏みつけても壊れない特別製でございます。
「壊れないからさらに激怒したご主人が軽かったため廃棄場に捨てたのじゃが…。」
軽いでしょー。
子供でも持ち上げれるほど軽いんですよー。
「それが間違いだったのじゃな。ある日先代聖女様が大変お怒りになっての主人が重罪人になったのじゃが、その理由が盗み出されたあの石版じゃった。」
聖女様そんなに大切にしてくれてたんですね。
「その後聖女様から許しと石版を探すことに命じられての。探したのはいいもののすでに廃棄場にはなく儂は罪の意識から石版を探す旅に出たのじゃ。」
そんな罪を感じなくていいのにー…。
「そして儂は商人として活動して30年前にやっとのとある場所で石版を見つけたのじゃが、落書きだらけでとても汚れていての。きっと貴族の子供達が大人になったのでいらないと捨てたのじゃろう。」
そういえば週一で綺麗に磨いてましたからね。
綺麗にしないと占い結果がうまくいかないので綺麗好きなんですよ石版。
それに調理台にも使えますし重宝してました。なぜかあの石版を使って作った料理は美味しくなったんですよね。
あれ、フィニーさっき涙ぐむところありました?
「それで罪悪感から儂が綺麗に磨いたのじゃが…不思議なもので何年たっても美しさが失わなかったのじゃが。問題はその後じゃった。」
流れが変わりましたね。
「聖女様にあの石版を返そうとしたら兵達が持つたびに転んで運べない事態になったのじゃ。そして聖女様が触れた時初めて理由を知ることができたのじゃ。」
その後一呼吸を置いておじいさんは再び語り始めました。
「『この石版は貴族を毛嫌いしたようです。私のところにいるよりあなたと共にいた方が良いでしょう。』とな。きっと儂が見つけれなかった間にすごくひどいことをされたのじゃろうな。」
相当怒ってるんでしょうねー。
「そして共に旅をして今に至るのじゃが、未だに客のことを嫌っておるのじゃな。触れようとすると大体転ぶか大怪我をするのじゃ。」
「よし!やっぱり私買います。」
「お嬢さん聞いておったのか?」
なんと言われようとも答えは変わらないんですよね。
「ちょうど夜…フィニー、今人の気配はありますか?」
「ぐす…ん?特にないな。」
「ちょっと…ちょっと待つのじゃお嬢さん。」
おじいさんが止めようとすると私は静止するように次のように答えました。
「本当の使い方。知りたくありません?」
「…なんじゃと!」
「そういうことで少しお借りしますね。」
そういうと白く綺麗な石版の前に立つと一呼吸しました。
前の冒険ではたった半日だけだったんですよね。
「またこうして再会できたことも運命なのでしょうね。」
そして、私は思いっきり石版を持ち上げると…。
「うわ!」
後ろに尻餅をつきました。
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