第16話 素材を売るときは慎重に…

うん、100年前のやらかしがボディーブローのように聞いてきますね。

たぶん取引所から出ようとすると妖精たちは引き止めてくるのでしょうか。

私こう見えて親バカなんで絶対甘やかしちゃう。(前世の経験)

まあこんなにくっつかれると周囲の目が気になるので『くっつかなくてもまた会いにくるからね。』と念じると満面の笑みで離れてくれました。

うん、可愛い。


「どうやら満足して離れてくれたみたいです。」

「あっはっは、面白いものが見れて俺は満足だ。…で何を買いに来たんだ?それても売りにきたのか?」

「そうですねー…。ちょっとこちらに慎重にこれを見て欲しいのですが。」


私は人気の少ないところに手招きした後アイテムバックから一枚の葉っぱを取り出しました。

なんか直感でこれをぽんと出すと大事になりそうなのでそのようにお願いしました。


「うむ…。」


言われたように店主は慎重に確認しようとするとみるみる顔色が変わっていきました。

いや、そんな気はしていましたよ。

手入れの時に杖についた葉っぱから異様な気配漂っていたんですけど、鑑定ないんでわからなかったんですよね。

せっかくなんで二枚もらってきたんですが…。


「こ…これ聖樹の!…おっと。」


店主は出そうになった声を抑えながら周囲を見ました。

そして誰も見ていないのを確認すると


「お嬢さんどうやって手に入れたんだ!」

「はぁー…、やっぱりそうなりますよね;」


うーん、これは今入手方法を言わないほうがいいですね。


「ごめんなさい。今はそれをお答えできません。」

「しかしだ…。いや、わかった客の秘密は尊重しないといけないしな。」

「ありがとうございます。」

「それでだ…。これ…『聖樹の葉』売りたいって話なのか?それはここだと無理だぞ?」


ここからが本題です。

道中フィニーが教えてくれたことの中に基本的に高価すぎるものは王都や魔王城付近で売るほうが確実だと言われました。

理由としては特定の場所では高価すぎてお金が足りず一度に買い取れないのだとか。そこで店主にある提案をしました。


「ちょっと早急にお金が欲しいので、契約書で手を打とうかなと思います。」

「…どう言うことだ?」

「そうですね。この葉一枚でいくらですか?」

「そうだなー…。100金くらいか。」

(1金=約10万円・1銀=約1,000円・1銅=約10円と言う単位ですね。)


簡単にいえば約一千万円になるわけですが…。

それにしてもこの世界のお金って六面ダイスに王家の印のついたようなデザインでサイズもサイコロのそれなので、慣れるまで時間かかりましたがコロコロして遊べて面白いんですよね。(お金で遊ぶなとは思いますが。)

ちなみに錬金術で金・銀・銅は作り放題なので、現在は金・銀・銅の価値は少ないですが…電気製品ができたら話が変わりそうではありますね。


「じゃあ8ヶ月間、月に10金払うと言う契約をすればどうです?」

「はぁ?確かに可能だが…残りの20金どうすんだ。それに初対面だぞ?」

「葉の管理費ということで…それに悪い店主なら妖精さん達は集まりませんですから。」

「…ぶ…ぶぁっはっはっは。」


店主は大声で豪快に笑だしました。その音量の大きさにフィニー耳塞いじゃって、狼なのでうるさいのでしょう。

そして笑い終えると何度も頷いて右手を差し伸べてきました。

要は交渉成立ということですね。


「面白い!俺の名はガーベだ。その取引に応じよう。」

「ありがとうございます。私の名前はナツメです。」


その後、契約の魔法紙にお互いの名前を書き終え、取引が完了し終わったので取引場を後にしようとしたのですが…。


「フィニ〜…、妖精さん達がまたくっついて離れてくれないですー…。」

「ふふ、何年も会えなかった親なんだ。仕方ないだろう。」


私が妖精達に解放されたのは夕方になってからでしたとさ。


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