幕間 社畜の聖女様、社畜から解放される時が来る

光の柱出現から五日後。


「はぁー…」


王都マリン

その煌びやかに彩られた一室で休んでいる私…名は聖女マリンセル。先日巡回が終わったあと疲れのせいか目の下にくまができため息をついていましたの。


「女神さま…、私は人々の平和のために尽力してきたつもりです…。」


私は間違っていたのでしょうか。

近辺の境界を回りお祈りを済ませたあと馬車に揺られ十日間、北から南へ各地を視察し神の愛し子として浄化の活動を行っていたのですの。

400年間浄化をがんばってくれた母上のために私もそれに習い努力をし、そして10年前に周囲の反対を押し切り優しく逞しい邪神様と結婚して幸せになったことは良かったのです。


問題はその後でしたの。

8年前母上がお亡くなりになってからも私はがんばってきました…。しかし私一人では対応が間に合わなくなり睡眠を削ってまで民のため尽力してきたのです。

それでも目の前の地図に赤ペンまみれで記された場所に向かい浄化するには、私の体調を万全にしなければいけませんの。


「…困りましたわ。邪神様のせいではありませんのに…。」


最近、私が浄化の力が弱まったせいか邪神様を追い出す案が出てきてしまいましたの。私は何ども疲労のせいだと告げたのですが頭の固い司祭様たちは邪神様のせいにして聞く耳を持ちません。


「あんなに愛してくださるのに離れ離れになると私…どうすれば…。」


女神さまは時が来れば助かりますと言ってくださいました。

でももう限界です…。

二つの光の柱の件とか、神狼の大移動とかこれ以上倒れてしまいそうで…。


「聖女様!大変です。」


こんな時に何ですの。


「南西のコココ街周辺と…北の毒の沼地が浄化されたと報告が…。」


え、何それ…私知らないの。


「そのため、聖女様は数日間自由になさって大丈夫とのことでした…。」


…休み…とれるの?


「やった~~~~……zzz」

「せ…聖女様ー!!」


◇◇◇


数日後

邪神様とたくさんデートしたり、しっかり睡眠をとった私は全盛期以上の力を取り戻し予想外の力を発揮して周囲から驚かれたのでした。


やっぱり休暇は大事ですのね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る