第13話 ギルドにて心当たりありすぎます。 その3

そんな感じでお姉さんは挨拶してくれたものの、私の外見をまじまじ確認したあと首を傾げて訪ねてきました。


「えっと…迷子ですか?」


初手これは辛い感じがします。

フィニーには離れておいてと頼んでたのできっと子供に見えたのも身長110センチという外見のせいですね。(実際0歳、中身60歳)


「えっと、名前はナツメと申します。ギルドカード作るためにきました。」

「あ、…あ〜失礼しました。ここの村の子供達はギルドカードを作ることが少なかったんでつい…。」


確かに平和になったので親も死ぬことがないと考えると、これも平和になったことによる必然なのでしょう。

でも私は早めに登録しておきたいんです。

お金がないですしその母親も神様なんですよねー。困ったことに…。


「えっと、年齢はお伺いしても?」

「12歳になりますね。(嘘である)」


簡単な質問に答ると受付のお姉さんが席を外し受付場から奥の部屋へ行きました。そして20分くらいたったころ、再び戻ってきた時に事件が起こりました。

ギルド入口のドアがものすごい音を立てて開くと、息を切らしながら入ってくると民族的な衣装をまとった男性が大声で叫びました。


「た…大変だ!ぜぇ…どっ毒の沼地が浄化されてる!」

「なんですって!?」


あ~何ということでしょう。

ものすごい心当たりがあります。


「えっと…毒の沼地って?」


だめもとで聞いてみることにしました。


「え…えぇ、20年前錬金術士たちが危険な薬物を作ってしまい置いとくだけでも二次災害を引き起こしかねないのでそれを投棄した沼が近くにあったんです。」


週三で状況を記録していて今日は偶然確認する日だったのだとか。

場所を尋ねると地図を取り出しその場所に指をさしてくれました。

そしてその沼地から目で川に沿っていくと、私が服を洗濯していた場所にたどり着きました。

伏線回収がこんなに早いなんて…こら、フィニー笑わないでください。


「光る柱に神狼の大移動…毒の沼地の浄化と一体どんな奇跡が起ころうとしてるのでしょう。」


いや、ほんとにそうですよね。

私のせいです。ごめんなさいで済む話じゃないですよねー。


周囲がざわついていると突如高身長で美青年、黄緑長髪で白く綺麗なローブをまとったエルフが入ってきました。


「どうしたんだい?そんなに騒いでしまって…これじゃ綺麗な子たちが不安がるでじゃないか。」


そこには英雄の一人フェイルが立っていました。

先ほどまでざわめいていた空気が一瞬で静まり返ったあたり相当な権力者になったのでしょう。それにしても…相変わらずちょっとチャラい言動が慣れないです。


「ん?君は…」

「お初にお目にかかりますフェイル様、ナツメと申します。」


注目されるのは少しまずいのですが、逃げ場がないので私がそのようにしゃべるとフェイルは眉毛をピクリとあげました。

周囲からは一瞬なんでわからないと思いますがわたしが見逃すはずない動作ですね。


英雄の一人フェイル。

偽装を得意としたエルフで暗殺術、性格偽装、変装に長けていました。

そのわりに素の性格は一見チャラく見えますが計算高く、情熱にあふれた男ではあるのですが…冒険中擬態して女湯を除く変態でもあったんですよね。

当時鑑定持ちの私が毎回とっちめてたのですが楽しい思い出でした。

別れの時は普段泣かないくらい大泣きしてたのを思い出します。


「これはこれは美しいお嬢様ではないですが。こちらにどのようなご用事で?」


視線を合わすこの素振り…、今度はあなたが私を試してますね。


「そうですね。ギルドカードを登録したのち、資金の準備をしたあと南南西へ向かおうと思っております。」

「そうですか。見たところここでは見ない顔だったもので…」

「先ほどあそこの素敵な獣人様に助けていただいて、連れてきてもらったところなんですよ。」


あ、素敵という言葉でフィニー照れてますね。


「…あの方とお話しても?」

「構いませんよ。」


笑顔で対応することにしました。

エロフのことですから神狼とわかってるんでしょうね。

…何か久しぶりの心の読み合いで疲れちゃいました。


これでまだ一日目なんですよね…。

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