第10話 自分の体で試してみたいこと
そりゃ世界が平和になりますよねー。
いやいやいや…、なんで私の方がツッコミに回るのでしょうか。
聖女と邪神が結婚?聖女を愛し邪神を信仰するものは断罪する聖女教会連合いましたよね?
「えっと…ごめんなさい。フィニー、変わりすぎてて私この世界がまた別の異世界なんじゃないかと思ってます。」
「いや、気持ちはわかる。たった100年でこれだからな。」
そうたった100年です。
きっかけがなければこうならないのです。
「そうなったのも魔王と昔の我らが友人になったのがきっかけなのだとか。」
…きっかけとしては十分ですね。うん。
これからは全部私達のせいのつもりで聞きましょう。
「それだけ100年前の出来事って大きかったんですね…。」
「そうだな…。お前達が来てから世界が変わったようなものだ。」
悪さをするものは片っ端から倒してながら各地の貧民を救って回って冒険してましたからね…。
そして、種族の枠組みで見ず同じように接したこともありました。
「平和でなかったら神様はお前たちをここには呼ばなかっただろうな。純粋に見て欲しかったのではないか?」
「そうですね。でも…娯楽は作ろうと思いますよ。」
この世界には娯楽を意味するものがないのですよね。
生きていくのが精いっぱいすぎてたので…例えるなら休むというのはあるのですが寝て起きて仕事して会話しながら休憩するだけでボードゲームとか、カードゲームとかが存在しないのです。
前来たときは簡単なしりとりゲームをフィニーやみんなと一緒に遊んでいましたのである程度広まってると思いますが…。
「おぉ、それは楽しみだ。」
フィニーはワクワクしながら尻尾降ってるあたりそういうのがまだ少ないのでしょう。
「そのためにも私は錬金術士、美菜の方は鍛冶士で何か作る予定なんですよね。」
「だが今は占術士しかないのだな。」
そうなんです。今は占術士しかないのですよね。
しかし、占術士の有用性を広めなくてはいけないため自ら占術士となっているのですが、もう一つ目的がありました。
「ちょっと占術士で確認したいことがありまして…魔族の進化ですね。」
「魔族の進化…なるほどそういえば今は羊人だったな。」
昔の旅で『幸運の月羊』という極めて珍しい魔物がいたので、生まれ変わるなら魔物に近い魔族だとどうなるのか試してみることにしたんです。
魔物図鑑の中にスキル『幸運のタロット』というのがあったので占術士のスキルと同じものだと思います。
ちなみに魔物は特定のスキルを覚えることによって進化するので、未発見のものが多かったり大変みたいなんです。レベルじゃないんですよね。
フィニーに聞くと今でも魔物使いの人達は大忙しなんだとか…。
そうこうしているうちに邪神封印の場所を遠目で確認できるところについたのですが。なんか石材が建物のように連なってて…あ、澄んだ川が流れてます。
そしてあれは水車かな?いやー…昔と違って空気がおいしいですね。(2回目)
「…って村が出来てるー!」
あれー…人が普通に死にそうになるほどの瘴気でしたよね?
あ、魔族の人たちがほとんどですよね。きっとそうですよね。
「ちなみにだが…遺跡の採掘現場になってるから人族もたくさんいるぞ。しかもギルドもある。」
人族もいたー!
そしてギルドもあるんです!?
私びっくりして目を見開いたままフィニーの方見ちゃったじゃないですか。
そして何ニヤついてるんですかこのイケメン狼め、やたら顔が良くなりましたよね。
狼ですけど嫌いじゃないです。
「もう驚きすぎて疲れちゃいました。」
「そうだな。『聖なる火』なしに呼吸したら『自我のない魔族化』する大地がこんなに豊かになったなんて…当時の人たちからすると夢物語だろうな。」
聖なる火とは邪神の封印の場所へ行くための灯でそれがなければ呪われた大樹を境界線とし、それを越えると魔物と変わらない自我のない魔族となりました。
その時は偵察部隊の方たちがいて初めて分かったことなんですよね…。
あの犠牲は元の世界に戻っても忘れたことがありませんでした。
ちなみに聖なる火といいますが、その実態は世界樹の葉を使った薬品何ですよねー。時々思うんですけどわかりにくい名前をつけるのはどこの世界でも変わらないんですね。
正直危なかったら引き返そうと思ってましたけど、もうこの場所はその必要はなんだなと改めて私は思いました。
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