幕間 神の愛し子は意味不明
「…これはやっちゃったな~。」
私は美菜、今はルルーとして生まれ変わりました。
銀髪小柄で褐色肌の美少女のドワーフなんだけど…。
鉱山から降り立った後、すぐ街に向かったんだ。
コココ街といってふざけたような名前なんだけど、コココ様という鶏の聖獣を信仰していて鶏にやさしい街。
建物はイギリス色が強めで街道を歩くだけで野良の鶏に遭遇したり、鶏のシンボルマークがついた店が立ち並んでるんだよね。おもしろいよね!
それで資源豊かで基本人族のヒューマン(人間)が住んでるけどドワーフやエルフもたくさん見かけるし、魔族もたくさん来て観光スポットになってるんだって。
100年前はそういうのなかったし、平和になった証拠みたいな感じで頑張ったかいがあったなって思う。
それで話が変わるんだけどさっそく武器屋に顔を出して、ドワーフのドルさんという人に一回試し打ちしたいということで鍛冶場を借りたんだけど…。
「なんだこれは!お嬢ちゃんいったいなにしたんだ?」
うん…なーんにもしてないのよ。
普通に鉄打って丁寧に作ってただけで材料も変えてないの。
「あははー…私でもわかんない;」
「おいおい、筋はいいと思ったが聖なる力を宿した短剣なんて早々作れるもんじゃねぇぞ。」
なるほど、これが俺何かやっちゃいましたか状態なのか。
うーんでも困った。多分神の愛し子効果なのかな意味不明だなぁ。
どうしよう…それじゃこうしよう。
「えっとー…ドルさん。それあげるんで…秘密にしてほしいんですけど驚かないで聞いてくださいね。」
「あ…あぁ…。」
「私…神の愛し子みたいでしてー…そのせいで多分短剣に付与されたんじゃないかなーって…。あはは~…。」
あ、ドルさん固まっちゃいましたよ。
おーい…もしもーし。あ、戻ってきた。
「すまん、少し整理させてくれ…。」
「はい。」
「これは普通に造ったんだよな。」
「はい。」
「それで聖なる力が宿ったんだよな。」
「…はい。」
「でその理由がお前が神の愛し子だからと。」
「……はい。」
「何をやってそうなった。」
「えっと…、私にも細かい理由はわかんないです。」
多分ほんとのこと言っちゃうとこの町がお祭り騒ぎになっちゃんだよね。
そうなると夏の捜索も始まりそうだから言えないのがなぁ…。
何故かコココ様も最近頻繁に現れるって情報流れてるし、英雄の一人が駆け付けてきそうだしどうしたものか。
あのエルフ直感がずば抜けてるから…うん!しんどい!
「はぁ…わかった。これ以上お前に探りはしない。」
「ありがとうございます。」
「ただ一つ頼まれてくれないか?」
おっと、何かの依頼かな?
「最近コココ様のお気に入りの鐘と小槌の劣化が激しくてな。依頼が来てるんだがどうにも俺の手じゃ聖なる力を込めるのは厳しいのと、最近王都マリンの聖女様が忙しいんだ。」
王都の聖女が忙しい?なんでだろう。
「詳しくは分からないが神狼の大移動があってな。被害はないんだが移動先の現地巡回しなくちゃいけなくなった…って大丈夫か?」
「あ、ダイジョブデス。」
あれー、神狼と聞いてあいつが思い浮かぶぞ~…。
夏のこと溺愛してたからなぁ。
いや、でも待て。まだあいつと決まったわけじゃない!落ち着け私。
「それで…その神狼はどっちの方向に行ったのですか?」
「あぁ、確か…ここからだと北北東だったかな。」
あいつだーーーーー!
夏のいる場所絶対わかってる!
「いや…遠方の魔族の友人ってのも珍しいと思いますが、その友人が北に住んでるからちょっと心配になっちゃって…。」
「そうか。確かに神の獣なんて移動するだけで甚大な被害が出る可能性があるからな。そりゃ心配だな。」
「そうですね;」
次会ったときどうするかなー。
神の愛し子二人そろいました!って前代未聞の大騒ぎになっちゃいそうで私怖いなぁ。
世界の終わりとかにならないよね?
あ、私たち別に悪じゃないからならないか。
こほん。ひとまず目の前に仕事が来たから集中しないと。
「ひとまず…コココ様の鐘の件引き受けたいと思います。」
ドルさんはそれを聞いて喜んで頷いてくれた。
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