第4話 大樹で…変態だー!?

私は呪われてた大樹の周辺を観察していると、大きな杖のようなものは間違いなく私が使っていた杖だというのがわかりました。

一年間愛用していた杖ですが最後は拳になって使わなかったけど、今でも常に持って一緒に旅した日を思い出せるくらい相棒に近い杖でした。


「でもこれ持って行っちゃうのは違うよねぇ…。」


今でも周囲を癒してくれているなら手入れだけでもしてあげようと杖に手を伸ばした瞬間でした。


「その杖に手を出す奴は何者かあああああああ!あ、べっぴんさん。」


ドッパーーーン

大樹の上から叫びながら泉の方に何か落ちました。


「大丈夫ですかー!」


私は落ちた場所に近づくとびしょびしょになりながら手足が見えないほどの白毛に覆われたの老人が這い出てきました。


「大丈夫じゃ…大丈夫…じゃなーい!お主は何者じゃ!べ…べっぴんさん。」

「あの落ち着いてください。」

「落ち着けるか、あの聖杖は儂が守っておる!いくらお主が綺麗だからと渡さぬぞ!ぜ…絶対に…絶対に渡さぬぞ!あ、綺麗…。」


私はちょっと危うくないでしょうかと思いつつひとまず挨拶することにしました。


「とりあえず落ち着いてください。私はー…ナツメです。昔は夏と呼ばれていました。」


ひとまずここにくる前の名前と前に呼ばれていた名前を話してみたのですが果たして反応は…。


「ナツメで昔の名前は夏か…ん?夏…夏のう…。」


あれ…そういえばこの方の声どこかで聞いたことあるような…。

そういえばここ呪われた大樹でしたよね。ここで会ったのは確かー…。


「あー!まさかあなたは!」

「もしやお主は!」


悪寒を感じたのでひとまず先手必勝することに。


「この変態め!聖拳『シャインドライバー!』」に見せかけたただの拳である。使えないですからね。


「バカなー!…と思っていたのか効かーん!」

「と見せかけた光魔術『ライトー!』」


私の拳が光り輝いて聖なる力が周囲を包み込んだ。


「バカなー!しかし、効かーん!聖霊になったからな!」

「く、変態も聖霊になれるのですね。」

「今度はわしの番じゃなくらえー!」


ボン!ドッパーン!


変態が掴みかかってきたところ巨体の白いビックベアが変態を殴って泉にぶっ飛ばしました。あ、すごく優しい目で見てくれた。そういえば今の私の見た目十数歳くらいだったよね。


その後自分の仕事が終わったかのように定位置に戻っていたあと、再びびしょびしょになった変態が泉から這い出てきました。


「く…邪魔が入らなければ触れたのに…。」

「やめてください。相変わらずエッチなんですから…。」

「変態だからな!」

「認めないでくださいよもう…。」


なんだかんだやりとりを終えた後、私は老人が準備してくれた席に座り真面目な会話を始めました。


「まさか再びお主に会えるとはの、通りで動物達がざわめくはずじゃ。杖に込められた魂は忘れぬということかのう。」

「ありったけの力を込めてここに置きましたからね。まさかこんなことになってるなんて…。」


周囲を改めて見回すと大地は生い茂りたくさんの木々は揺れ動いていますし、妖精達もこの場所を気に入ってるということなのでしょう。


「わしが森の主に吹っ飛ばされたということはここでの立場はお主が上じゃろうて…悔しいのぅ。べっぴんさんがすぐそこにおるのに。」

「あの人にバレたら食い殺されますよ。今の私じゃ止められないですし…」

「む、あのお主にぴったりくっついていた狼かの?おぉ…怖いのう。」


そんな会話をしていると私はその狼のことがふと気になったので聞いてみることにしました。


「そういえばあの子はどうしてますか?」


私は軽い気持ちで聞いた時ちょっと後悔することになったのです。


「ん?今は神狼になって駆け回っとるよ。」


うわぁお、これは大変なことになりましたね。

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